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どうなる?海外生活をするときの年金(2ページ目)

海外に移住した場合や海外に転勤する場合の年金の取扱いについて、解説します。諸外国との通算協定についても、触れています。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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海外で働く人のための社会保障協定とは?


日本の企業から海外にある支店や現地法人、企業等に派遣される場合、勤務地である外国の年金制度への加入を義務付けている場合があります。その場合、日本の年金制度と外国の年金制度の2つの制度に加入しなければならなくなります。

このため、「保険料を二重に負担する」、「加入期間の短い国の制度では、年金給付が受けられず、保険料が掛け捨てになる」という問題が発生します。

例えば、日本からアメリカに転勤した場合、以前は、以下の図のように両方の国の社会保障制度への加入義務がありました。
 


この問題を解決するために「社会保障協定」という2国間の協定の締結が諸外国と進められています。この社会保障協定が締結された国については、協定の対象者は、いずれか一方の年金制度にのみ加入することになります。原則として、その人が働いている外国の年金制度にのみ加入します。

しかし、一時的(5年以内と見込まれる場合)に協定対象国に派遣される場合は、引き続き日本の年金制度にのみ加入することになります(下図参照)。

<一時的(5年以内)にアメリカに派遣される場合>
 


このように、日本と居住国どちらの年金制度に加入するのかは、滞在する期間により異なります。
 
滞在期間 加入する年金制度
5年以内 日本の年金制度
5年を超えた場合 外国の年金制度
 ※ただし、ドイツ、イギリス、韓国は申請により8年まで、他の国は上限を設けず、申請により日本の年金制度が選択できる
長期滞在 外国の年金制度


なお、上記の考え方は、会社員だけでなく自営業者にも当てはまります。例えば、日本の自営業者がアメリカに移住すると前ページの通り、国民年金に任意加入できます。

一方、アメリカで自営活動を行った場合は、協定の原則通りにアメリカの年金制度に加入することになります。ただし、その自営活動が一時的(5年以内)なものであれば、アメリカの年金制度への加入が免除されることになります。

ちなみに、これまでに協定が締結された国と現在話し合いが進められている国は以下の通りです。
 
ドイツ 平成12年2月協定発効
イギリス 平成13年2月協定発効
韓国 平成17年4月協定発効
アメリカ 平成17年10月協定発効
フランス 平成19年6月協定発効
ベルギー 平成19年1月協定発効
カナダ 平成20年3月協定発行
オーストラリア 社会保障協定に署名済み,現在準備中
オランダ 社会保障協定に署名済み,現在準備中
スペイン 現在交渉中

将来もらえるのは日本の年金?それとも…(次ページへ)
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