会社員が病気やケガで仕事を休む場合の調整です

健康保険との調整

会社員の場合、病気やケガで仕事を休み、その間給与が支給されないと、健康保険に加入しているので、傷病手当金が健康保険から支給されます。傷病手当金は仕事を休んで給与が支給されない日1日につき標準報酬日額(標準報酬月額の30分の1)の3分の2が支給されます。仮に、標準報酬月額が36万円ならば標準報酬月額は12,000円(=36万円×1/30)で、傷病手当金は1日につき8,000円(=12,000円×2/3)となります。

この傷病手当金と老齢年金、または障害年金を同時に受給できる場合、原則として年金が支給され、傷病手当金は不支給となります。ただし、老齢年金または障害年金を360で割った金額と傷病手当金の支給額を比較して傷病手当金の支給額の方が高い場合は、その差額が傷病手当金として支給されます。

例えば、上記のように傷病手当金を1日につき8,000円支給される人が、仮に障害年金を年間360万円が支給される場合を考えてみましょう。年金総額を360で割った金額は1万円です。傷病手当金の支給額8,000円を上回るので、傷病手当金は全額不支給になります。
 

また、もしも障害年金が年間180万円支給される場合は、360で割った金額が5,000円で、傷病手当金の支給額8,000円を下回ります。したがって、傷病手当金が3,000円(=8,000円?5,000円)支給されます。
 

なお、傷病手当金は健康保険のみの給付で、自営業者やフリーランスが加入する国民健康保険からは支給されません。また、健康保険の被保険者本人のみに支給され、妻や子どもなど健康保険の被扶養者には支給されません。

労災保険との調整

会社員の場合、障害の原因となった病気やケガ、あるいは死亡事故が、通勤途中や勤務時間中に発生した場合、労災保険から保険給付を受けることができます。労災保険から受けられる年金給付には以下のようなものがあります。
【労災保険から支給される年金給付】
年金給付 支給要件
傷病(補償)年金 仕事中または通勤途中の事故による病気やケガが、治療を開始して1年6ヵ月経過しても治癒せず、障害等級1~3級に該当する場合に支給される。
障害(補償)年金 仕事中または通勤途中の事故による病気やケガが治癒した後、障害等級1~7級に該当する障害の状態にある場合に支給される。
遺族(補償)年金 死亡時に、死亡した人の収入によって生計を維持されていた一定の遺族がいる場合に支給される。

※仕事中の事故が原因で支給される年金は「補償」のついた年金、
 通勤途中の事故が原因で支給される年金には「補償」がつかない。

労災保険の保険給付の原因となった事故により、公的年金も支給される場合があります。もし、労災保険と公的年金の両方がもらえる場合は、公的年金が全額支給され、労災保険からの年金が以下のように減額調整されます。
【労災保険と公的年金の減額調整】
  傷病(補償)年金 障害(補償)年金 遺族(補償)年金
障害厚生年金 0.86 0.83 ?
障害基礎年金 0.88 0.88 ?
障害厚生年金+障害基礎年金 0.73 0.73 ?
遺族厚生年金 ? ? 0.84
遺族基礎年金 ? ? 0.88
遺族厚生年金+遺族基礎年金 ? ? 0.80

※労災保険からの年金が減額され、公的年金は全額支給される。

ただし、労災保険からの年金の支給額は公的年金の年金と計算方法が異なり、障害等級や遺族の範囲なども異なります。

労災保険は適用の対象が原則として労働者を1人でも雇用する事業所で、法人・個人企業を問いません。また、労災保険の適用される事業所で働く人は、正社員だけでなく、パートやアルバイトもすべて労災保険の適用を受けることができます。労災保険は保険料を全額事業所が負担するしくみなので、公的年金や健康保険のように給与から保険料が天引きされることがありませんが、労災保険への加入は労働者を雇用する事業所では義務付けられています。

以上のように、公的年金が2つ以上受給できる場合の原則は「1人1年金」ですが、受給権者の年齢により2つの年金が同時に受給できる例外があります。また、公的年金と同時に健康保険や労災保険といったほかの社会保障制度の給付との調整も行われます。併給調整のしくみで分かりにくいところがある場合は、請求手続き等を行う際に十分説明を受けて、正しく理解することが大切です。

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