銀行の窓口やインターネットでも投資信託が購入できるようになり、投資信託がだいぶ身近な存在になって来ているようです。一方、このところの低調な株式相場の影響を受け、「生まれて初めて購入した」株式投信が大幅に値下がりしてしまって、これからどうしようかと悩んでいる人も多いようです。

そんな状況が背景にあるためか、マネー誌の取材やセミナーなどで「初心者向けの投資信託を教えて下さい」と尋ねられることがよくあります。そんな時にいつも考えてしまうのが、その質問者にとって「初心者向け」というのはどんな意味なのだろうか、ということです。

もしもその質問者が安全性をとにかく重視する人で、預貯金以外の金融商品をはじめて利用するというような場合なら、答えはMMFなどの公社債投信になるでしょう。おそらく、預金口座から自分でお金を引き出し、別の金融商品を購入するだけでも、本人にとってはたいへんなチャレンジだろうと思うからです。

しかし、その質問者が既にMMFなどの公社債投信を利用しており、ある程度の収益性を期待して、株式投信に初めてチャレンジしてみようとしているという場合には、答えは当然異なって来ます。更に、その場合でも、この先その質問者が「永遠に初心者のままでもよい」と思っているのか、「いずれは運用の中級者・上級者となっていきたい」と思っているのかによって答えは異なって来るのです。

通常の商品では、「初心者向け」という言葉が指すのは「わかりやすい=わずらわしくない」というイメージだと思うのですが、株式投信についていえば、「わかりやすい商品」と「わずらわしくない(楽な)商品」は必ずしも同一にはなりません。

もしも質問者が「わずらわしくない(楽な)商品」を教えて欲しいと思っているのならば、「グローバル・バランス型ファンド」の投信が答えになります。運用会社がさまざまな投資対象に分散して運用してくれるファンドで、運用会社に「お任せする比率」が最も高いタイプの商品と言え、「わずらわしくない(楽な)商品」を意図している人には打ってつけの一品といえるでしょう。

ただし、この「グローバル・バランス型ファンド」だけをいくら長く保有していても、運用力は身につきにくいと言えます。「お任せ比率」が高すぎてしまい、自分で判断する経験を積めないからです。自分で判断する経験を積まなければ、おそらくはいつまでも初心者のままである可能性が高いでしょう。

一方、もしも質問者が多少の苦労や損をしても、初心者の状態から脱け出し、より収益性を追求できるような投信や金融商品も状況に応じて利用できるようになりたいと考える人ならば、私は値動きの理由が「わかりやすい商品」である「インデックス・ファンド」の利用を薦めます。インデックス・ファンドを通して、マーケットがどういうメカニズムで動いているのかを肌身で感じてみることが、「リスク」を知り、運用の中級者・上級者となっていくためには、最も有効な方法だと思うからです。この場合には、値上がりしても値下がりしても、「運がよかった、悪かった」ですまさずに、その理由をよく考えてみることがたいへん重要です。

初心者のままでもよいから楽な投資を続けていくか、苦労してもある程度の相場観を持って自己判断できる投資家となるか、あなたならどちらの道を選びますか。どちらが良い、悪いというような話ではありませんが、「自己責任」といわれる時代を生きていくためには、私には後者の道がふさわしいような気もするのですが、皆さんはどうお考えでしょうか?

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