何事にもニュートラルな考え方が無難

賃貸VS購入、意見や考え方はさまざま
このAll Aboutの中でもすでにたくさんのガイドが「賃貸と購入のどちらがトクか」といったニュアンスの記事を書かれています。ここでそれらの記事について異を称える気はまったくありません。しかし、私たちFPをはじめ、多くの専門家といわれる人たちでも「賃貸VS購入」については、さまざまな意見や考え方を持っています。

「賃貸VS購入」という話に限らず、一般の消費者が将来にわたって賢く生活していくためには、いわゆる専門家の話や記事などをうのみにするのではなく、できる限り多くの意見や考え方を参考に、自分のとるべきスタンスを見つけていくことが大切だと思います。理想的なスタンスとしては、さまざまな意見や考え方をバランスよく取り入れたニュートラルな考え方を持つことではないでしょうか。

だとすると、ここでFP的な立場から私なりの解釈を示せば、またひとつ読者の皆さんにとっての参考意見が増え、皆さん自身のとるべきニュートラルなスタンスへ一歩近づけるのではないかと、手前味噌ながら考えています。是非参考にしてください。

インフレかデフレかで結論は変わる

さて、本題の「賃貸VS購入」ですが、結論から先に言ってしまいましょう。

賃貸と購入のどちらがトクかは、一概に言えません!!!

あれっ?結論になってませんかね。
でも仕方ないんです。ご理解ください。

というのも、今後の経済情勢がどう変化するかによって、どちらがトクになってもおかしくないからです。近年のように物価が下がっていく状態(いわゆるデフレ)が続くのか、高度経済成長時代のように物価がどんどん上がっていく状態(いわゆるインフレ)が続くのかによって、損得はかなり変わります。

極端な例でいえば、1970年当時の公務員の初任給は3万円くらいだったようですが、35年後の2005年現在、初任給は20万円弱。それだけ物価水準が上昇し、お金の価値が下がったわけですが、今後35年で同様の物価上昇が起きたとすると(可能性はとても低いと思いますが…)、2040年の初任給は130万円ほどになる計算です。年収1560万円!

となると、現在の年収が500万円前後の人は、35年後には3300万円程度になります(現時点でそのような将来を想像することは困難だと思いますが、それだけの変化が過去35年で起こったということに驚かされますね)。

ではそんな時代に売られているマンションの価格はどうでしょう。
同じ倍率で計算すると、いま4000万円クラスで売られているマンションは、2億7000万円近く(!)になります。

いまから35年後のマンションの資産価値がどの程度のものかはわかりませんが、そのような時代がやってくるのであれば、いますぐ購入したほうがいいでしょうね。全額ローンを組んで買ってもいいくらいです。まさに昔よく言われた「借金も財産のうち」。インフレによって価値の下がる借金が、価値の上昇する不動産にかわってくれるわけです。

一方、現在のような物価が下がるデフレ状態、または物価上昇率の低いディスインフレといわれる状態が続くとすると、一般的に賃貸の家賃は築年数の経過にしたがって下がっていくことが考えられます。不動産価格の上昇も期待できない場合、総支払額での比較や将来の資産価値の比較をしても、賃貸のほうが有利になる可能性が高くなるでしょう。

賃貸VS購入は、定期預金VS株式投資にも似ている?

このような「賃貸VS購入」の比較は、金融商品でいうなら「定期預金VS株式投資」の比較に似ている気がします。そもそも定期預金と株式投資は、どちらがトクかは単純に比較することができません。商品性やリスクの度合いがまったく違うからです。

定期預金はリスクが非常に低く、収益も非常に少ないものの安定していますが、金利上昇やインフレなどには対応しにくい商品です。かたや株式投資は非常にリスクが高いものの、定期預金の利息よりも一般的に有利な配当金や株主優待などを得ることができ、インフレにも対応できる可能性があります。将来の資産価値の上昇も期待できるわけです。

賃貸と購入にあてはめてみても、賃貸は基本的に購入よりもリスクは低いですが、インフレになると家賃が上昇する可能性があり、対応しにくいといわれます。購入であれば、ローンの返済や資産価値の大きな変動という高いリスクをともなうものの、その分の恩恵を受けられる可能性があるわけです。

たとえとして適切かどうか、その判断は読者の皆さんに委ねますが、やはり単純な比較は無理だということを理解していただければと思います。それを踏まえて、次回は賃貸と購入のメリット・デメリットを細かく分析していくことにしましょう。



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