快適過ぎる子ども部屋はよくない
先日、子育ての専門家から子ども部屋についての話を聞く機会がありました。その専門家によると、「子ども部屋は快適にし過ぎないほうがいい」というのです。子ども部屋が快適になることで家族とのコミュニケーションが減り、それが引きこもりにつながることもあるのだとか。テレビやパソコンなどを子ども部屋に置くのは避けたほうがいいということでした。特に、注意したいのがパソコン。便利な反面、子どもが個室に滞在する時間が長くなる要因につながるというわけです。子どもを大切に思うからといって、子ども部屋の環境を整えすぎるのはかえってよくないようです
目が行き届く配置を考える
たくさんの住宅メーカーが「子育て」をテーマにした住宅商品を提案しています。また、以前から人気の高いのがいわゆる「リビング階段」の間取りです。こういった設計は子どもの様子がそれとなくわかるようになっているのが特徴で、確かによく考えられています。子どもの動線をはじめとした工夫や配慮はとても重要で、玄関から直接子ども部屋に出入りできる間取りは、どうしても目が行き届きにくくなるので、好ましくないそうです。重視しなければならないのは、子ども部屋が、家族のいるスペース(リビングなど)と隔絶しないようにすることだとか。そういった意味で、整い過ぎた快適な子ども部屋は引きこもりの可能性を大きくするというのです。
子どもが小さいうちは親の目が届きやすいダイニングテーブルで勉強させるのも一つの方法でしょう
コミュニケーションがとりやすい設計を
家を建てる動機のひとつとして、多くの人が「子どもに個室を与えたかったから」と答えます。そして、新居の間取りを考えるとき、子ども部屋の広さや収納などに、いろいろ頭を悩ませているようです。けれども、今回、専門家の話を聞いてみて、多くの人が子ども部屋という部屋を確保することにとらわれ過ぎているのかもしれないと思いました。だいぶ前のことですが、取材で伺った際、「わが家の場合は、子どもたちを個室から引っ張り出したいときには、ケーキを焼くことにしているんです」という話をしてくれた方がいました。その家は吹抜けで1階のダイニング・キッチンと子ども部屋がつながっているため、お菓子づくりを始めると、子ども部屋に気配が伝わります。結果、音や匂いにつられて「何をつくっているの?」と、子どもたちが個室から出てくるというわけです。
また、別の家では、家族共通の本棚を廊下に設けたところ、それらの蔵書をきっかけに「この本ってどんな内容?」とか、「このマンガおすすめだよ」といったように、親子の会話が以前よりも増えたというケースもありました。
このような話を聞くと、スペースの確保やセンスのよいインテリアよりも、親子のコミュニケーションがとれるしかけを間取りにどう反映させていくかが大切なのですね。親は子どもを常に「見守る」ことができるように、子ども部屋の配置を考えるべきなのでしょう。ちなみに親と良好な関係が築けている子どもほど、子ども部屋の滞在時間が短く、普段の宿題もリビングなどですませる傾向があるそうです。
間取りを考えるときは、6畳の個室を確保すればいいなどと単純にスペースを確保するのではなく、子どもの性格や家族関係、生活スタイルなどを考慮して、自分たちに合った間取りを追求してみましょう。