長期優良住宅/長く暮らせる家

窓やドアの性能向上でロングライフな住まい

窓のサッシやドアの性能はメーカーや商品ごとに違うのでしょうか。現在は、JISという統一の基準により製造されているため、性能を数値などで簡単に判断できるようになっています。どんな基準なのか説明しましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

長く暮らせる家にするには、設備機器の耐久性も必要な気になるポイントです。なかでも窓(サッシ)やドアは、頻繁に使用するものであるうえに、交換も簡単にはできないため、見極めが難しいもののひとつです。そこで今回は、サッシやドアが一定の性能を確保するためにどのような試験を行っているのかについてご紹介しましょう。

マークがついてなくても規格をクリアした製品

身近な商品に「JISマーク」がついているのを見たことはありませんか。JIS規格については、JISマークの表示を認められた認定工場と、JISマークを表示することが認められた製品があります。窓のサッシとドアは、前者となるため、「JISマーク」が表示されていませんが、「JIS(日本工業規格)」の規格に基づいて製造されている性能の高い製品だといえます。

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JIS規格の耐風圧性S-3、気密性A-4等級の性能をもつ断熱玄関ドア「ジェイフォルム イズムステージ R2型」色:浮造り調ウェンジ  写真/新日経
窓のサッシやドアなどを製造するメーカーでは、JIS規格(日本工業規格)が10年間の使用を想定して定めた試験方法に準じて、耐用試験を行っているそうです。ですから、今、施工されている製品は、いくつもの厳しい試験をクリアした性能を備えているものなのです。

「JIS(日本工業規格)」の規格では、「互換性の確保」「製品品質の確保」「安全性の確保」「試験・評価方法の統一」の4つの観点から製品の仕様などが決められています。「互換性の確保」という点から、以前はメーカーによって少しずつ異なっていたサッシや玄関ドアの寸法が統一され、現在は同じ寸法でつくられるようになりました。また、「試験・評価方法」が「統一」され、断熱・気密性や、耐久性などについて一定以上の品質を確保した製品が送り出されています。

では、具体的にどんな項目において、試験が行われているのか、もう少し詳しく見ていきましょう。

細かく規定された試験項目と性能等級

サッシと玄関ドアに共通な試験項目は、耐風圧性、気密性、水密性、遮音性、断熱性のほか、防露性、開閉力、開閉の繰り返し、防犯性などがあります。各項目にそれぞれ試験方法やクリアすべき基準が規定され、その結果はカタログなどに、数値やマークで表示されてます。各項目の等級は、数値が高いものほど、性能が高いことを表します。

・耐風圧性
サッシ・ドア(正しくは枠などを含むドアセット)がどれくらいの風圧に耐えられるかを表す性能です。実際の住宅では、台風などの強風によって、サッシやドアが変形したり、ガラスが割れたり、戸が脱落したりすることのない、高い性能が求められます。そのため、JISでは、面積1m2当たり、どのくらいの風圧に耐えられるかを基準とした等級を定め、性能をS-1~S-7までの7段階で表示します。

・気密性
サッシ・ドアセットの枠と戸のすき間から、どれくらいすきま風がもれるかを表す性能です。特に最近は冷暖房効率の観点から熱損失率を少なくすることが重視されています。そのほかにも、気密性は騒音や、砂ほこりの侵入にも関係があります。JISでは、等級A-1~A-4までと、4段階で表示されます。

・水密性
雨を伴った風のときに雨水の浸入をどのくらいの風圧まで防げるかを表す性能です。窓やドアを閉めているのに、室内に雨水が浸入してくるのはもちろん嫌ですが、近ごろのサッシやドアは、どれもかなりの性能をもっているので安心です。JISでは、等級W-1~W-5までと、5段階で表示されます。

・遮音性
室外から室内へ侵入する音、室内から室外へ漏れる音をどのくらい遮ることができるかを表す性能です。室外の騒音のレベルからサッシ・ドアの遮音性能の数値を引いたものがおよその室内の騒音の大きさとなりますから、静かな住環境を好む人や、騒音の気になる場所に建築される家の場合は、遮音性能の高いサッシやドアが必要になってきます。JISでは、等級T1~T4までと、4段階で表示されます。

次のページでは、断熱性、防火性、防犯性などを見ていきましょう。



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