ドイツ/ドイツのグルメ・ビール・レストラン

ドイツビールは瓶が主流。缶ビールは邪道!

ビール大国ドイツで消費されるビールの約90%が瓶入り。何度も再利用できる瓶がビールに限らず飲料全体で普及しているドイツは、やっぱり環境先進国なのでした。

執筆者:カルカ 麻美

ドイツでは、飲料ボトルをお店に返却するのはごく普通の日常風景。ミネラルウォーターの半数以上、ビールになるとほぼ90%がリターナブル(再利用)瓶を使用しており、使い捨てのペットボトルやアルミ缶が主流の日本と比べると、ずいぶん環境に優しいリサイクルシステムが出来上がっています。

環境に優しい瓶ビールが90%を占めるドイツ

瓶ビール
飲料店ではこのように瓶入りのビールや水、ジュースがケースに入って売られている
ドイツと言えばビールですが、エコの国でもあるドイツでは、「ビールと言えば瓶ビール」です。ビール市場の約90%が瓶ビールで、使用済みの瓶は回収・洗浄され、40~50回まで再利用されます。

ビール瓶には8セント(約12円)のデポジット(預かり金)が課され、お店で瓶を返却するとお金も返ってくる仕組み。1本当たりの金額はごくわずかですが、ドイツでのビールの消費量は相当なもの。あっという間に何十本もたまり、返却しに行く価値があります。またこの制度はしっかり定着していて、ビール瓶を返却するのは当然のこと、ビール瓶は捨てるものではない、という感覚がドイツ人の間に根付いているのも事実です。

瓶は重く、持ち帰るのには缶の方が断然楽なのですが、ドイツでは缶ビールは普及していません。ビールにこだわるドイツ人にとって缶のビールなんて邪道なのです。味を比べたら、瓶ビールの方が格段に美味しい! 瓶ビールを飲み慣れていて久しぶりに缶で飲んでみると、アルミの妙な味がすることに気づきます。瓶で飲んでこそ、ビールのピュアな味が楽しめる。この点は、ドイツ人のこだわりでもあります。「便利・手軽さ」が1番重要なわけではないのです。

2003年から使い捨て容器にもデポジット制を導入

ボトル返却機
リターナブル(再利用)ボトル返却機。ボトルを入れると本数とデポジット金額が自動計算され、出てきたレシートを持ってレジに行き返金してもらう
リターナブル(再利用)容器には、ビール瓶の他、一部のジュースや牛乳、ヨーグルトなどのガラス瓶があり、こちらにも以前からデポジットが課されていましたが、2003年1月1日よりミネラルウォーターや炭酸飲料の使い捨てペットボトル、瓶、缶にもこの制度が導入されることになりました。さらに2006年5月1日の改正で、ジュース、牛乳などのガラス瓶・テトラパック、ワインなどを除く、0.1~3リットルの全ての使い捨てペットボトル、瓶、缶が対象に。デポジット料金は一律25セント(約36円)。ビール瓶の8セントに比べて3倍以上の金額となっています。
※ビール以外のリターナブル容器のデポジットは15セント(約22円)。

この背景には、使い捨て容器のデポジット課金を高くしてその普及に歯止めをかけ、リターナブル容器の使用をもっと増やそう、という狙いがあります。ドイツにも残念ながら使い捨て容器の波が押し寄せていて、ここ十数年のあいだ、缶ビールや使い捨てペットボトルのミネラルウォーターの割合が増加の一途をたどってきました。

しかし2003年の使い捨て容器に対するデポジット制の導入で、全体的にリターナブル容器の割合が再び増加。デポジット制の効果が表れています。デポジットは容器を返却すれば戻ってくるのですが、一時的にでも払わなければいけない金額が高いとなると、「デポジットが安い商品を買おう」という心理がはたらくようです。

ドイツのリターナブル容器使用率
リターナブル(再利用)容器の割合が年々減少傾向にあったが、2003年の使い捨て容器に対するデポジット制導入で、再び増加。デポジット対象外のジュース、ワインには変化が見られない
(出典:Gesellschaft für Verpackungsmarktforschung mbH)

ただ、ドイツ環境省ではまだ2004年以降の統計の詳細が公表されていませんが、ドイツの自然保護団体「NABU(Naturschutzbund)」によると、2005年のミネラルウォーターのリターナブル容器使用は56%にまで再び減少。ビールでは88.5%と、2003年とほぼ変わらない数字となっていますが、飲料ボトル全体で、使い捨てにどこまで歯止めをかけられるかが、ドイツの今後の課題となっています。

「リサイクル」が最終目的ではありません。環境先進国ドイツが本当に目指すものとは? 次のページ
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