鉄道/駅、鉄道グッズ

超貴重!残したい東京の木造駅舎(4ページ目)

東京と言えばビルばかりの大都会。「コンクリートジャングル」なんていう古い言葉もありますが、そんな東京にも木造駅舎はあるんです。しっかりと地域に根ざしてがんばっている珠玉の駅舎をご覧ください。

執筆者:高橋 良算

くじらの街の小さな駅舎
東中神駅(ひがしなかがみ・JR青梅線)

東中神駅
スペースの都合からか、きっぷ売り場は外にある
立川駅から青梅線の電車に乗って2つ目、約5分ほどで東中神駅に到着します。まず駅舎を出るとクジラの形をした看板が目に入ります。そして駅前の商店街には「くじらロード」という名前が。さらに「くじら◯◯」といったお店の名前も散見され、何やらクジラ一色。しかも夏には市内で「くじら祭」なるものまで行われるのだとか。

なぜ海のないこの昭島がくじらの街なのか?それは、かつて市内を流れる多摩川でクジラの化石が発見されたから。このクジラは「アキシマクジラ」として知られ、約160万年前のものと推定されているそうです。

さて、クジラほどではありませんが、こぢんまりとした駅舎も意外と古いようで、建物財産標という標示によれば「昭和5年」とあり、これが正しければ国立駅舎と建築時期はそう変わりませんね。

開 業:1942(昭和17)年7月1日
所在地:東京都昭島市玉川町
地 図:Yahoo!地図情報


梨の里でひっそり消えゆく木造駅舎
稲城長沼駅(いなぎながぬま・JR南武線)

稲城長沼駅
タクシーも入ってくる駅前は確かに窮屈
ここ稲城市は梨の産地として知られ、駅を出て商店街を少し歩くとすぐ梨園に遭遇。家と家の間のちょっとした土地にも梨園があり、直売所も数多く見かけます。

そんな梨の里にあるこの駅も、南武線の連続立体交差事業に伴って変貌を遂げようとしており、工事は矢野口側の踏切の先まで迫っていました。駅の両脇にあった駐輪場はすでに閉鎖されています。

みちがえるような高架駅に変わるのと引き換えに、小さな木造駅舎があったことなどすぐに忘れ去られてしまうのでしょう。

駅はなくなりませんが、この駅風景はもうあとわずかしか見ることができません。

開 業:1927(昭和2)年11月1日
所在地:東京都稲城市東長沼
地 図:Yahoo!地図情報


本当は東京最古の木造駅舎?
武蔵増戸駅(むさしますこ・JR五日市線)

武蔵増戸駅
駅前に木があるとなぜかホッとする
東京に住んでいても、武蔵増戸駅と聞いてそれがどこにあるのかわかる人はほとんどいないでしょう。正解は、東京西部、あきる野市にあるJR五日市線の駅です。駅は知らなくても「東京サマーランド」の近くと言えば、ああ、あの辺りね、という人が少しはいるかもしれません(すぐ近くというわけでもないですが)。

あきる野市は、今流行の市町村合併に先駆けて1995(平成7)年に、秋川市と五日市町が合併して誕生した市。「あきる」は漢字だと「秋留」とも「阿伎留」とも書きますが、古くからの歴史ある地名のようです。

その旧五日市町域にあるこの駅は、駅前の大樹が印象的。駅舎も古く、建物財産標によれば「大正13年」とあります。……あれ?東京最古の木造駅舎とされる原宿駅も大正13年の建築だったはず。この標示が正しければ、新説になるのでは?これはきちんと調べてみる価値がありそうです。

開 業:1925(大正14)年4月21日
所在地:東京都あきる野市伊奈
地 図:Yahoo!地図情報



いかがでしたか?目まぐるしく変化する東京に残った貴重な駅舎。みなさんも近くを通りがかった際は、ぜひ途中下車してその姿を目に焼き付けてください。


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