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いざというとき日本政府は助けてくれる? 在留届提出と邦人保護の関係(2ページ目)

3ヵ月以上海外に滞在する日本人に義務付けられている「在留届」は、日本政府が海外にいる日本人の所在を知りえる唯一の手段。手続き方法とそのメリットとされる「邦人保護」の実態にせまってみましょう。

執筆者:南田 登喜子

大使館、領事館への現実的な期待度は……?

在留届の提出さえしておけば、有事の際に日本政府が助けてくれるのかというと、答えは残念ながら「否」というのが海外長期在住者のほぼ常識。過去に起こった事故や災害で、大使館や領事館からすぐに安否の確認があったケースはむしろ少数派ということをみな知っているからです。

写真のタイトル
ニューヨークで在留届を提出している人は約6万2,000人(2003年10月時点)
ニューヨークの同時多発テロ事件では、一部メディアの報道でもニューヨーク総領事館が槍玉にあがっていましたが、そのお粗末な対応には現地在住者もがっかり。わたしも以前2年ほどニューヨークに住んでいたことがあり、事件当時のニューヨークにも友人・知人がいましたが、彼らの見聞きしたことから判断すると、在留届がその機能を果たしていたとはとても思えません。助けを求めた日本人を冷たく追い返したという話も知れ渡り、テロ直後2001年10月の現地ではこんなあきらめムードさえ漂っていたのです。

ニューヨーク総領事館、「期待できず」が9割近く (日経BP社の記事より一部引用)

本誌がニューヨーク市マンハッタンの街角で道行く日本人50人に「総領事館に安全確保や保護を期待しているか」と聞いてみたところ、「期待している」と答えた人はわずか7人に過ぎなかった。

誤解のないようにいっておくと、中には親切・丁寧に対応してくれる大使館員や領事館員ももちろんいます。でも、在外公館の対応にまつわる話はその大半が不愉快な体験談というのも、これまた事実なのです。ひどいところでは、悪評高い職員の個人名や顔を在住者の多くが認識しているという事態まで起こっています。

ちなみにニューヨーク総領事館では、非難は一方的な誤解に基づくものもあったとしながらも、 批判に対する改善措置が発表されました(⇒領事の手帖 from 外務省)。

昨年末のインド洋津波のときは?>>

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