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留学費用を返せ!返還義務法制化

若手官僚の海外留学後早期退職が問題となっていたが、早期退職の場合の留学費用返還義務化法案が閣議決定。しかし問題の本質は実は違うところにあるようだ。

西島 美保

執筆者:西島 美保

社会人の学びガイド

食い逃げを許すな!国費留学費用返還義務を法制化

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国費留学させる目的は、国際競争力、交渉力を備えた人材の育成だというが…。

政府は2006年3月10日、国家公務員が国費留学後、帰国5年以内に退職した場合、費用返還を義務付ける法案を閣議決定し、今年度の留学生への適用が出来るよう、7月までの施行を目指すと発表した。


国費留学は、1966年から始まった「行政官長期在外研究員制度」により実施されている。これは国際化する行政に対応できる行政官育成を目的とし、在職8年未満の若手官僚を海外大学院等に留学させる制度。留学は職務命令で出張扱いとなり、学費、渡航費、滞在費だけでなく、給与も支払われ、学位も取得でき、帰国後の職も保障されているというおいしい制度。1人当たり約1,300万円相当の税金が使われていることになるという。

問題視されているのは、この制度を利用して留学した者のうち、1割が帰国後5年以内に自己都合で退職しているという点。早期退職者に返還義務がなく、以前から税金の無駄遣いが指摘されていた。


確認書は法的拘束力なし


人事院は2001年より行政官長期在外研究員制度で留学する者には「留学後は成果を公務に生かす」との確認書の提出を義務付けた。しかし確認書には法的拘束力がなく、退職者による一部返還もあったものの、実際には留学後の早期退職者問題の解決には至らなかった。

この確認書だけでは、対策不十分との指摘もあり、昨年10月18日、国家公務員が留学後、早期退職した場合の費用返還を義務付ける新法制定を求める意見書を国会と内閣に提出。それがこの法案提出に至ったわけだ。


返還費用は、帰国後の在職年数に準じて


さて、気になる返還額だが、留学中、あるいは帰国後すぐに退職した場合は全額とするようだ。その後、退職までの年数が長くなるにつれて、減額する仕組みとのこと。

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