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『完本 1976年のアントニオ猪木』を語れ

日本プロレス界の行く先を決定付けた運命の1年=アントニオ猪木の1976年を描いた柳澤健著『1976年のアントニオ猪木』が完本となって発売された。語りつくせぬ、その魅力を柳澤さんに聞いてみた――。

執筆者:川頭 広卓


"完本――"は"プロレス入門書"? 柳澤健インタビュー

『完本 1976年のアントニオ猪木』が出版された。語りつくせぬ、その魅力を著者・柳澤健さんに聞いた――。
日本プロレス界の行く先を決定付けた運命の1年。

それは、アントニオ猪木がウィリエム・ルスカと行った異種格闘戦と、モハメッド・アリ、パク・ソンナン、アクラム・ペールワンと戦った3つの真剣勝負――、これらが行われた1976年ということになる。

ご存知、柳澤健著『1976年のアントニオ猪木』。日本のみならず、アメリカ、韓国、オランダ、パキスタンを飛び回り、上記の4試合に関わった数多くの選手や関係者の証言を集めた柳澤さんは、かつて誰も成し得なかった歴史の真実を紐解くことに成功、業界内外に大きな衝撃と影響を与えた。

そんな『1976年のアントニオ猪木』には驚くべき続きがある。

平成19年7月5日発行『Number681号』で実現した柳澤さんによる、アントニオ猪木へのインタビューだ。

プロレスがあらかじめ勝ち負けや試合内容が決められたショーであることは周知の事実であったとしても、これをレスラー自らが曝け出すことは絶対にない。そんな業界の根幹を揺るがすインタビューを受諾した猪木は、柳澤さんの問いかけにどのような返答をみせたのか――。

今春、文春文庫から『完本 1976年のアントニオ猪木』が出版された。

この歴史的インタビューの追加はもちろん、2007年末に行ったインタビューにおいて柳澤さんが「(本書は)原稿用紙750枚くらいなのかな。でも、本当は1200枚くらい書いてる」と語っていた本書には入りきらなかったパク・ソンナン戦やアクラム・ペールワン戦の背景などが大幅に加筆され、まさにファン垂涎の一冊だ。

柳澤さん曰く、「プロレス入門書」と表現する『完本 1976年のアントニオ猪木』について、さっそく話を聞いてみた。


――『完本 1976年のアントニオ猪木』のご出版、おめでとうございます。いきなり余談ですが、先日、藤原喜明さんにインタビューを行った際、猪木-ペールワン戦について興味深いことをおっしゃっていましたよ。

「えっ、そうなの?」

――実は、猪木さんがやったといわれる神への祈りのポーズですが、藤原さんは“本当だ”っていっていました。また、その時の映像は、いまだにトラウマになっていて見られないとも・・・。

「そうなんだ。それはちょっと入れたかったな」

――当時の記憶もしっかりされてましたね。

「そりゃそうでしょ。そんなお歳じゃないもの」
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