住宅購入の費用・税金/住宅購入の税金

マイホームの売却で損失が生じたときの特例

マイホームを売却したときには、譲渡損失を生じることが少なくありません。この場合には所得税などを還付してもらい、その損失を取り戻すことのできる制度があります。少しでも多く還付が受けられるように、制度の仕組みをよく理解しておくようにしましょう。(2017年改訂版、初出:2006年6月)

執筆者:平野 雅之


マイホームの売却によって利益が生じた場合には、譲渡所得として税金の課税対象になりますから ≪3,000万円の特別控除≫ や ≪買換えの特例≫ などの活用を考えなければなりません。

しかし、だいぶ古くから所有していたり相続したりした土地や建物でないかぎり、売却することで損失を生じるケースが多いでしょう。

一戸建て住宅の外観

売却で生じた損失は、税金で少しだけ(?)取り戻せる!

マイホームを売却して損失が生じたときには、その損失を一定の要件のもとで他の総所得金額などから差し引くことができます。

さらに売却した年の分だけでなく、翌年以降3年目まで(売却した年を含めて4年間)の所得控除(繰越控除)が認められますので、売却による損失が大きかった場合には、最大で4年分の所得税などがゼロになります。

この特例には現在ふたつの種類があり、マイホームを買換えるのであれば「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を利用し、買換えないのであれば「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を利用することになります。

ただし、買換えをしない場合には、売却したマイホームに対する「住宅ローンが残っていた」ことが前提条件となります。

少しややこしいように感じられるでしょうが、それぞれの特例の内容を具体的にみていくことにしましょう。

なお、たとえば4,000万円で購入したマイホームを3,500万円で売っても譲渡損失が生じないことになる場合もあります。譲渡所得や譲渡損失についての考え方は ≪マイホームを売却したときの税金の基礎知識≫ をご参照ください。

ちなみに、2004年度の税制改正により一般の土地や建物(事業用物件など)の譲渡損失については損益通算および繰越控除の適用が廃止されましたが、売却した土地や建物が居住用財産の場合には引き続き損益通算および繰越控除が認められています。


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