不妊症/不妊症の基礎知識・治療法・薬

不妊の初期治療であるクロミフェン療法とは?

クロミフェンは、無排卵治療薬として最初に使われるお薬であり、最も良く用いられています。しかしながら、その詳細については時々誤解があるよう。そこで今回は、改めてクロミフェン療法を解説していきます。

執筆者:池上 文尋

無排卵治療薬として最初に使われるクロミフェン

薬を長期に使う場合はきちんと質問し、話を聞くことが必要

薬を長期に使う場合はきちんと質問し、話を聞くことが必要

クロミフェンは、無排卵治療薬として最初に使われるお薬であり、最も良く用いられています。

クロミフェンで最も処方されている薬は「クロミッド」。他にも、セロフェン、オリフェン、フェミロンなどの名前の薬がありますが、これらはどれも同様の効果を持ち、商品名によって薬の効き目に違いがあるわけではありません(先発品がクロミッド、ほかの製品はジェネリック医薬品なので名前が違うだけ)。

クロミフェンはその化学構造の特性により、作用する部位によってエストロゲン作用と、抗エストロゲン作用の両方を持ち合わせ、次のようなステップで排卵を起こします。

脳に働きかけて、性腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌促進

性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモン)の分泌増加

卵胞刺激ホルモンにより卵胞が成熟し、黄体形成ホルモンにより排卵がうながされる

クロミフェンの処方は、月経周期の5日目から1日1錠ずつ5日間連続で飲むという方法から始めます。1錠でうまく排卵しない場合、1日2錠ずつ5日間へと増量します。これで排卵するなら、その後の周期にも同量のクロミフェンを投与します。排卵しない場合も、もう2~3周期同じ量で様子を見ます。排卵したかどうかは、「基礎体温と経腟超音波」で確認。

クロミフェンの効果は約70~75%の方が排卵します。そして、約30~35%の方が妊娠。

クロミフェンの副作用

クロミフェンは何十年も長期にわたって使われている薬であり、その副作用は非常に少ないのが特徴的です。副作用のメカニズムは、エストロゲンをブロックする作用からエストロゲンが作用しているものを阻害してしまいます。例を挙げると、頚管粘液が粘稠になって精子が頚管を通りにくくなること、腟が乾燥すること、子宮内膜が薄くなる(そのため月経の量が減る)ことなどです。

のぼせる、お腹が張る、発疹、めまい、欝状態、乳房の違和感、視覚症状(物がかすんで見える)などもあります。また、クロミフェンで妊娠した場合、約5%が双胎(双子)になります。

クロミフェンの6ヶ月以上投与については、前述の抗エストロゲン作用で妊娠にあまりよい影響を与えないケースが出てきます。漫然と継続投与をされている場合はきちんとドクターと話し合う必要があります。場合によっては継続した方が良いケースもあるので、長期に使う場合はきちんと質問し、話を聞くことが必要。

患者さんによっては妊娠するため薬を飲むことに抵抗のある方が多いですが、クロミフェンについては副作用も少なく、比較的効果もあることから積極的に試すべき治療だと思います。

■関連サイト
不妊治療が不得意な産婦人科ってあるの?
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます