薬膳料理/薬膳食材/四気・五味・帰経

食品のタイプと味を表す「四気」「五味」

薬膳は中医学の考えに基づいて、疾病の治療や健康維持に役立つ料理のことをいいますが、現代栄養学との違いに「四性」(しせい)や「五味」(ごみ)といった、食材のもつ特性を表わす独特の分類法があります。

杏仁 美友

執筆者:杏仁 美友

国際中医師 / 漢方・薬膳料理ガイド

食材はクスリに比べて薬効が穏やかなため、食材同士の組み合わせが大きなポイントとなる

食材はクスリに比べて薬効が穏やかなため、食材同士の組み合わせが大きなポイントとなる

いまから2,000年以上も前に書かれた現存する最古の薬学書である『神農本草経』には、365種類もの生薬や食材が記載されており、“クスリには酸、苦、甘、辛、鹹(しょっぱい)の五味があり、寒、熱、温、涼の四気がある”と述べられています。

漢方薬だけでなく、食材にも同じように「四気」や「五味」があり、薬膳ではこれらの食材のもつ特性を活かしながら調理することが大きなポイントになります。

食材の四気

四気は別名を「四性」ともいい、食材が体内に入ったときの寒熱性をあらわしたものです。程度により寒、涼、温、熱の4つに分類できますが、寒にも熱にも属さない穏やかな食性である「平性」をいれて、「五気」という場合も。

■寒性・涼性
涼性や寒性はカラダを冷やし、体内の余分な熱を取り、機能を鎮静させたり、便通をよくしたりします。寒性のほうが涼性よりその作用は強くなります。
食材例
とうがん、はと麦、緑豆、ウコン、豆腐、セロリ、ナス、きゅうり、トマト、にがうり、ごぼう、大根、白菜、ほうれん草、れんこん、あさり、しじみ、かに、わかめ、バナナ、スイカ、なし、かき、そば、緑茶、塩、白砂糖など

■温性・熱性
温性や熱性はカラダを温め、気や血液の流れをよくして、新陳代謝を高めます。その作用は熱性の方が強くなります。
食材例
しょうが、ネギ、シソ、紅花、シナモン、唐辛子、コショウ、山椒、にんにく、たまねぎ、らっきょう、ニラ、かぼちゃ、かぶ、菜の花、羊肉、鶏肉、まぐろ、サケ、エビ、栗、桃、紅茶、もち米、酒、ワイン、黒砂糖など

■平性
カラダを冷やしたり、温めすぎたりもせず、どちらにも属さない穏やかな性質をもつのがこの平性。性質が温和なため、体質を選びません。虚弱体質や病後、子どもや老人などにもオススメ。
食材例
黒ゴマ、山いも、クコの実、梅、うるち米、大豆、じゃがいも、さつまいも、さといも、きくらげ、しいたけ、キャベツ、たまご、牛肉、すずき、ピーナッツ、梅、イチゴ、ぶどう、りんご、すもも、いちじく、はちみつ、氷砂糖など

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