予防接種・ワクチン/肺炎球菌・Hibワクチンの予防接種

肺炎を予防するワクチン

インフルエンザや風邪をきっかけに、肺炎を起こすことがあります。肺炎は様々な病原体が原因となりますが、その中でも肺炎球菌という細菌感染から身を守るためのワクチンがあります。

執筆者:吉國 友和

日本人の死因のトップ3は脳卒中・心筋梗塞・悪性新生物(ガン)ですが、それに続くのが肺炎です。風邪やインフルエンザを契機に発症することもある肺炎、これを予防するためのワクチンをご存知ですか?


最も多い? 肺炎の病原体は

注射
肺炎を予防するためのワクチンがあります
肺炎の原因となる病原体は様々ですが、普通に家庭で過ごしている成人に起きた肺炎のうち、多いのが肺炎球菌という細菌です。この細菌が原因となって起きる肺炎は、およそ2~3割前後と考えられます(総合病院や診療所など、統計の基となる医療機関によって差があります)。

肺炎球菌は肺炎の原因となる頻度が高いだけでなく、毒性が強いために重症化することのある病原体ですので、肺炎を起こす病原体の中でも特に注意が必要な細菌です。この肺炎球菌に対するワクチンが名前の通り、肺炎球菌ワクチンです。


すべての肺炎に有効ではないが……

肺炎球菌ワクチンは、肺炎の中でも肺炎球菌によって生じる肺炎を予防・軽症化する効力が期待されています。ところが、肺炎を起こすのは肺炎球菌だけではなく、インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは異なります)、クラミジア(肺炎クラミドフィラ)、黄色ブドウ球菌などのように様々です。

肺炎球菌ワクチンは、こうした肺炎球菌を除く病原体に対する効果はなく、すべての肺炎を予防できるわけではないのです。しかし、COPD(慢性閉塞性肺疾患:肺気腫、慢性気管支炎)を代表とする呼吸器系の基礎疾患、あるいは心臓や腎臓に持病のある人にとっては、肺炎球菌が原因となる肺炎は致命的になることがあるため、海外では積極的に接種が行われています。


また、肺炎に対しては抗菌薬によって治療を行いますが、肺炎球菌に対する特効薬でもあったペニシリン系抗菌薬に耐性を持つ肺炎球菌が増加しており、治療にも影響が出始めているというのが現状です。できるだけ未然に防ぐに越したことはありません。


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