健康食品・サプリメント/サプリメント・健康食品の危険性・注意点

ビタミンE摂取量の上限は?サプリと過剰症の関係

かつて過剰症はないとされていたビタミンEにも、過剰症の可能性が指摘されています。抗酸化作用があるとして多くの人が利用しているビタミンEサプリですが、上限を確認して、過剰摂取にならないよう注意することが大切です。

山田 恵子

執筆者:山田 恵子

医師 / 女性の健康ガイド

アメリカで人気のビタミンEに過剰症の危険

サプリメント

摂りたい栄養素が効率よく摂れるサプリメント。多くの人が活用していますが、過剰症には注意が必要です

「抗酸化作用がある」ということで人気のビタミンE。アメリカではなんと国民の25%もの人がサプリで摂取していると言われています。ところが、以前は過剰症はないとされていたビタミンEにも過剰症の恐れがあるかもしれない、という研究報告がありました。過剰症について、詳しく見てみましょう。

水溶性ビタミンと脂溶性ビタミン…過剰症があるビタミンは?

一言でビタミンといっても種類は様々。まず「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」の2つに大きく分けられます。水溶性ビタミンの代表格がビタミンBとC。脂溶性ビタミンの代表格がビタミンA、D、Eです。

一般的に水溶性ビタミンはすぐに尿に出てしまうので、体内にとどまる時間が短く、過剰症をおこしにくいといわれています。その一方で脂溶性ビタミンは長い間体内にとどまるので過剰症を起こしやすいといわれていました。

また、過剰症はないとされているものでも無制限にとってよいというわけではなく、もちろんあまりに摂りすぎの場合は例外もあるので注意が必要です。例えば過剰症はないとされるビタミンCでも、実はサプリ等でとりすぎると下痢をひきおこしたり、尿路結石の原因になったりします(ビタミンCは体内で代謝されてシュウ酸を作るので、結石成分のほとんどを占めるシュウ酸カルシウムの部品を作ることになってしまうのです)。

そして以前はビタミンEに関しても、「体内にとどまる時間が短いので過剰症はない」というのが常識とされていました。

ビタミンEの過剰症とは

かつての常識を覆す「ビタミンEをサプリなどで大量に摂取すると、かえって健康によくないかもしれない」という発表がされたときは、衝撃的でした。*1

1966~2004年まで、欧米と中国で約13万6000人の、主に高齢者を対象にした実験なのですが、結論から簡単に言ってしまいますと、「1日400IU(国際単位)以上摂取すると、8年間の追跡期間の死亡率がビタミンEを取ってない人にくらべて、なんと10%も高かった」という報告がされたのです。

ただし、死亡率が高くなる理由ははっきりしていません。また、もともと高齢者を対象にしており、持病がある方の率も高かったので、その辺りの関係をもっとはっきりさせないといけないと、著者の方も認めています。

ビタミンEの上限は? 1日摂取量は400IU(267mg)以下に!

日本で定められている1日目安量量は女性6mg、男性6.5mg。耐容上限量は30~69歳までの女性では1050IU(700mg)/日。でもこの論文のオススメはそれより低く、「1日摂取量は400IU(267mg)以下に」です。

大体ビタミンEは食事から取ると1日15IU(10mg)。ビタミンEの豊富な食材はナッツ、小麦胚芽、油脂類などですが、例えばアーモンドでも100g中の含有量は大体30mgくらいです。アーモンド100g食べたら結構おなかいっぱいですよね……。(食品のビタミンE含有量を載せておきますので参考にしてくださいね。意外なところで抹茶なんかにも多くふくまれています)

しかしサプリだと1錠150IU(100mg)や300IU(200mg)なんてことも良くあります。購入する時にはよく内容を確認するようにしましょう。

食品のビタミンE(αトコフェロール換算)含有量(可食部100g中)
ひまわり油:39.2mg 小麦胚芽: 32.6mg アーモンド:29.6mg
抹茶:28.0 mg 大豆油:19.5mg マーガリン:19.1mg
あんこう:13.8mg へーゼルナッツ:19.0mg たらこ: 7.1mg
五訂日本食品標準成分表より抜粋

Web版論文はこちら *1Meta-Analysis: High-Dosage Vitamin E Supplementation May Increase All-Cause Mortality

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