キッチンから食卓まで。ペティナイフという概念


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どの分野にもギアフリークがいるが、料理においても例外ではない。男心をくすぐるのは道具の美しさであり、機能性や長年愛用できるライフタイムワランティーにある。

 

かれこれ15年以上前、フランスはブルゴーニュ地方へ仕事で行ったときのことだ。特別にレストランの厨房へ入れてもらったのだが、そこでカルチャーショックを受けた。

日本では、濡れ布巾の上にまな板があり、食材と包丁がある光景が一般的なのに対し、フランスの厨房ではまな板はあるものの、ほとんどのシェフが使用しておらず、その代わり皆一様にペティナイフを使って、鍋の上で食材を切っていたからだ。

鍋料理に例えるならば、熱伝導の良いアルミ雪平鍋で時短調理する日本に対し、熱いオーブンの中でも長時間耐えうる鋳物ホーロー鍋を使うフランスとの違いがすぐに思い浮かんだ。

包丁、即ち食材の切り方ひとつとっても大きな文化の違いがある。世界のキッチンを見まわしても、まな板を多用する日本。あらかじめ食材を細かく切る文化があるが、フランス料理の多くは、あまりまな板で細かくするものがない。

切るというよりは、むしろ肉の筋を切ったり、皮をむくことの方が多く、根菜なども日本のようにみじん切りというよりは、一口大の乱切りが多い。

そこで多用途に使いやすい包丁が、ペティナイフであるということに気付いたのだった。「ペティ」とは小さいという意味があるが、牛刀を単に小さくしたこの包丁は、日本では果物専用のナイフという認識に対し、海外では汎用性の高いユーティリティナイフとして、ペティナイフが選ばれている。

大きな食材を切ったり、大量の食材を切るには不都合と感じるが、超高級な包丁と比べて何が違うか? と聞かれれば、これほど差のない万能なものは、ほかには見当たらないだろう。

 

日常使いのバタフライナイフ

07_01-A▲「OPINEL」のナイフの多くはバタフライタイプ。なかでも代表的なのが、「カーボンスチールナイフ」#8

 

■アウトドアギアからキッチンツールへ
とあるフランスのシェフに聞いた。どうして素晴らしいシェフナイフがあるのに、常に折りたたみのペティナイフを使っているの? と。すると面白い答えが返ったきた。

「フランスの田舎では幼い頃よりバタフライナイフを持ち歩くことが当たり前で、ランチの時間になると、リンゴやバゲット、チーズなど、何でもこれで切って食べるんだ。だから優れた腕を持つシェフでも、幼い頃より慣れ親しんだバタフライナイフの方が使いやすいと感じている人の方が多いんじゃないかな?」

 

07_01-B▲弓なりに反った刃先をうまく使えば、ニンニクの芯取りなど、細かな作業もはかどる

 

そのバタフライナイフの代名詞ともいえ、フランスを代表するナイフである「OPINEL」のフォールディングナイフ。今や「世界で最も美しい100の製品」として、ロンドンやNYの博物館にも展示されるほどの逸品で、日本ではアウトドアブランドとしての認知が高く、世界には「OPINELコレクター」も多く存在するブランドなのだ。

 

07_01-C▲テーブルシリーズ「Bon Appetit」は全13色

 

「OPINEL」のナイフは大きさによって番号がつけられているが、最も料理などで使いやすいサイズは8番であり、先のシェフもまた8番を愛用していた。

昨今このフォールディングナイフは、食卓でも使ってほしいという新たな提案により、柄がカラフルなテーブルナイフも発売されたが、刃の形状、性能は従来通りの受け継いで、テーブルナイフとしてはもちろん、ペティナイフとしても使えるのだ。

 

 

シーンを選ばない汎用型ペティナイフ

07_02-A▲めずらしい波刃の「VICTORINOX」のペティナイフ。キッチンから食卓まで万能に対応する

 

■尖った刃先と波形の刃をもつ万能ナイフ
同じペティナイフでも、コンセプトの違うナイフが、この「VICTORINOX」のナイフだ。アウトドア、アーミー用と多機能な万能ナイフとして有名だが、使用者が用途によって使いやすいものを選べるのも、「VICTORINOX」の特徴ともいえる。

1891年にスイス陸軍へ納入したアーミーナイフの評価が高かったことから発展し、現在ではナイフのほか、腕時計、バッグにいたるまで幅広く展開している。日本ではここ5年くらいの間に、持ち手がカラフルなベジタブルナイフやブレッドナイフなどが、主婦を中心に人気を博してきた。

軽くて見た目がかわいいだけでなく、一度その切れ味を知ってしまったら、もうこの一本さえあれば十分と思えるほどの切れ味だ。ブレッドナイフによく見られる波形の刃だが、同社のようにペティナイフサイズでこの刃を備えているものはめずらしく、パンなど柔らかい食材はもちろん、潰れやすいトマトやケーキなど、切りにくい食材でも簡単に刃を入れられる。

 

07_02-B▲切っ先が鋭く尖っているので野菜だけでなく、ブロック肉など切り口にエッジを効かせたいときなど、使える用途も広い

 

肉にはシェフナイフ、ケーキにはケーキナイフ、果物には果物ナイフ、テーブルにはテーブルナイフ……。これまでは切る食材によってナイフを逐一使用していたが、「VICTORINOX」のグルメナイフが一本あれば、マルチに活躍する。

 

 

DATA

OPINEL┃カーボンスチールナイフ No.8
刃の長さ:約8.5cm
全長:約20.0cm
価格:2,376円

※同型の「カーボン フォルディングナイフ」はNo.6~12まで展開。またそれ以外のカラバリ、素材違い、皮紐付きなどバリエーションあり。

OPINEL┃Bon Appetit
刃の長さ:約11.0cm
全長:約21.5cm
カラー:全13色
価格:1,620円(オリーブのみ2,160円)

VICTORINOX┃スイスクラシック グルメナイフ
ブレードの長さ:12.0cm
全長:23.3cm
カラー:レッド、ブラック、FCグリーン、FCピンク、FCイエロー、FCオレンジ
価格:1,728円

 

撮影┃佐坂和也
協力┃コーンズ・アンド・カンパニー
協力┃ビクトリノックス・ジャパン

 

荒井康成(あらい・やすなり)氏

荒井康成┃Yasunari Arai

1968年、東京都生まれ。輸入雑貨商社、料理道具メーカーを経て、料理学校の講師やフードスタイリング、料理雑誌での執筆など、料理道具コンサルタントとして活躍。著書に『ずっと使いたい世界の料理道具』(産業編集センター)がある。

 

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