フランスのホーロー鍋文化を紡ぐ、日本の匠の技術


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どの分野にもギアフリークがいるが、料理においても例外ではない。男心をくすぐるのは道具の美しさであり、機能性や長年愛用できるライフタイムワランティーにある。

食に対しての健康意識も高まるなか、職を引退したシルバー世代のオトコたちは、余暇に料理を習得する傾向が年々強まっている。男性が料理を始めるとき、先ずは道具をと、そこを料理の入口として考える人も多いが、家族にとっての命の源である台所で使う道具こそは「永く仕えてくれる愛玩品」を手に入れてほしい。

料理道具も本物志向へと変わりゆくなか、男性でも女性でも違和感なく使え、孫の代まで自分の家の味が染み込んだ、いわば「我が家の鍋」を遺したい、後世に繋げていきたいという習わしがフランスの家庭にもある。その象徴が鋳物ホーロー鍋なのだ。

国内では鋳物ホーロー鍋の代名詞となっているフランスの「ル・クルーゼ」、一方、メイド・イン・ジャパンを代表する「バーミキュラ」。現代の食生活を受けて、フランス鋳物文化の命脈を継ぐメイド・イン・ジャパンの鋳物琺瑯鍋が「バーミキュラ」なのである。

 

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日本製にこだわった鋳鉄鍋「バーミキュラ」

■日本鉄器が活かしたフランスの鋳鉄文化
日本には四季があり、その季節に順じた「旬」の食材がある。日本人が欧米化の食スタイルへ移行する以前では、旬に応じた伝統的な献立からなる一汁一菜や一汁三菜の粗食が中心であった。

元々は質素な食事としての意味合いがあったが、現代の飽食化に対してより健康的な食事が粗食であると唱える者も増えている。また、和食が世界無形文化財となり、世界中から和食が注目されている今、その和食を生み出す料理道具と、「メイド・イン・ジャパン」という価値が脚光を浴びている。

古くから日本の食生活に欠かせない道具に鉄器がある。鉄瓶やすき焼き鍋を代表する鉄鍋などは歴史資料館でもよく目にするが、今や「鋳鉄」というフランス鋳物鍋ブランドがすっかり日本に定着した。それでもあえて日本製にこだわった鋳鉄の鍋を開発したのが愛知ドビー社の「バーミキュラ」である。

■日本において鋳物琺瑯鍋が必要なのか
フランスの大部分の水は硬水で、硬水は料理に不向きとされる。そのため、鋳物鍋をそのままオーブンに入れて長時間煮込み、水を使わない調理文化がある。

では、なぜ軟水である日本において鋳物琺瑯鍋が必要なのかと考えるが、その答えは、現代の食生活で注目されているマクロビやビーガンなど、野菜本来の栄養と旨味を取り入れるスタイルへと変化したことにある。

鍋と蓋の間に、紙切れ1枚をも通さないほどの高い密閉性を可能にしたバーミキュラの鍋は、食材の旨味を凝縮し活かすことを実現した。すなわちメイド・イン・ジャパンの職人気質な鍋が野菜を取り入れたいという潮流に見事に共感を得たのだ。

 

“水入らず”な鍋と日本の旬野菜の関係性

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バーミキュラのオフィシャルレシピでは、水の代わりにトマトを入れ、その出汁で作る「無水カレー」が大絶賛された。この度新たにラインナップに加わった浅型の「SUKIYAKI」はそれだけに留まらない。すき焼きはもちろん、フライパン、ソテーパン代わりに使え、高い密閉性によって、弱火でしっかりと味を染み込ませた和食の煮込みから、洋食の蒸し煮にまで使える。

一時は「15ヶ月待ちの鍋」と言われたバーミキュラ鍋。その背景には、「メイド・イン・ジャパン」の食と道具に対する人々の意識を強く感じるとともに、“水入らず”な鍋と日本の旬野菜の関係性こそ、これからのジャパンスタイルなのかもしれない。

 

 

DATA

Vermicular┃オーブンポットラウンド26cmSUKIYAKI
サイズ:直径26cm/幅(取手含む)33.5cm/深さ8cm
重量:4.5kg
容量:3.7L
カラー:パールピンク、パールブラウン、ナチュラルベー ジュマットブラック「SUMI」
価格:34,560円~

撮影┃佐坂和也
協力┃愛知ドビー株式会社

荒井康成(あらい・やすなり)氏

荒井康成┃Yasunari Arai

1968年、東京都生まれ。輸入雑貨商社、料理道具メーカーを経て、料理学校の講師やフードスタイリング、料理雑誌での執筆など、料理道具コンサルタントとして活躍。著書に『ずっと使いたい世界の料理道具』(産業編集センター)がある。

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