鉄フライパン再定義。中華鍋に見る汎用キッチンツールの真価


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料理を愛する者は、道具の扱いをおろそかにしない。
そして、いい料理道具が美味い料理ができるということを知っている。

料理道具を見る審美眼をもつ者は、料理の腕も立つ。
目利きは腕利きなのだ。

使い込んだ道具に愛情をかけ、子供や孫の代まで継承する……。
男はそんなことを夢見ている。

 

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中華鍋こそ究極の汎用型キッチンツール

中華料理は、かまどの上に半円形のへこみを設けてその上に鍋を乗せ、かまどから上がる火で料理したことに始まると言われている。炒めから焼き、揚げのすべてを強火でサッと火を通す。かまどの上にへこみにすっぽりとはまる中華鍋を介して多くの中華料理が生まれた。

それは現代でも変わらず、中華料理のほとんどは中華鍋によって作られ、鉄の中華鍋こそ究極の汎用キッチンツールと言える。こと家庭料理にこれを落とし込んだ場合どうだろうか。自宅に中華鍋がある家庭はよほどの中華ファンか、形から入りたい料理好きだろう。

 

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調理法で細分化される鉄フランパン

しかし、中華鍋はなくとも、炒め、焼き、揚げを網羅する鉄フライパンの存在は、以前当連載で語ったように多くの料理好きを虜にしているようだ(事実、同記事は多くの人にシェアされた)。そして、現実問題として中華鍋より取っ手のついた鉄フライパンが好まれるのは想像に易い。

そこで、かつて中華鍋ひとつであらゆる料理が生み出されてきたが、現代的キッチンツールの在り方として、同じ鉄フランパンが炒め、焼き、揚げなどそれぞれの調理方法に特化したものがあるといこうことを覚えていてほしい。

 

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■山田工業所┃HANAKO

2016年5月、「HANAKO」と名付けられた鉄フライパンが山田工業所から生まれた。お馴染みの山田工業所のお家芸である「打ち出し」で、数千回叩くことで鉄の分子を細かくし、表面の凹凸が熱伝導を上げ、油の乗りと馴染みが良くなる。

「HANAKO」の特徴は、チタン製のハンドルを使い、深くて傾斜をつけて設計されているということ。チタンのハンドルは軽く、強度があり、熱を伝えにくい。深くて傾斜のついたフォルムは、鍋の丸みを利用して食材を振り上げるとき、食材をこぼしにくく、返しを華麗にこなすためのこだわりだ。

一度、この鍋でチャーハンを作ってみるといい。振るときの軽さ、食材の返しやすさ、均等な火加減。こと炒めることにおいて二度とほかの鉄フライパンには浮気できないはずだ。

 

■deBUYER┃Mineral B

こちらも当連載で登場した「deBUYER」の鉄フライパンであるが、グリルパンではない。板厚4mm、1.9kgのハードパンチャーだ。2kg弱ともなればもちろん振ることはできない。板厚4mmの鉄板にしっかりと熱を伝えて、油を浸透させてしっかりと焼く。

なかでも「Mineral B」シリーズの「B」は、ミツバチの「Bee」を意味している。鍋の表面にはミツバチが作り出す天然の蜜蝋が塗られ、これによって鉄フライパンに不可欠なシーズニング(油慣らし)が容易となっている。

使い勝手の良いテフロンは焦げ付き知らず、メンテナンス要らずの代物ではあるが、テフロンは肉から出た脂を弾き、再び肉に跳ね返す。これが肉好きにとって、あるまじき行為だということは言わずもがなである。

 

■山田工業所┃九十九

「九十九」(つくも)の名は、八百万の神のひとつ「九十九神」を意味している。長く愛用され、大切に使われた道具にはやがて神が宿り、幸せをもたらすと古くから言い伝えられている。親から子へ、子から孫へ。“三世代道具”の理を体現する鉄フライパンこそ、「九十九」なのだ。

「九十九」は、前述の「HANAKO」と同じく山田工業所が手がけた逸品。今回は揚げ物用として紹介したが、3つのなかでももっとも汎用性の高いのが「九十九」だろう。「炒め」や「焼き」に特化することに執着しなければ、テフロンに勝るマルチな用途に期待できる。

桜で作られたハンドルは硬くて軽い。独自の製法で形取られた「逆卵型」は手になじみやすく、握りやすい設計で和包丁のそれを彷彿とさせる。日本を象徴する桜と八百万の神に由来する「九十九」は、日本の台所とは切っても切れない関係にあるのだ。

 

 

DATA

山田工業所┃HANAKO
サイズ:24cm/27cm/30cm
本体:鉄(板厚1.2mm)
ハンドル:チタン

de BUYER┃Mineral B
サイズ:12cm/20cm/24cm/26cm/28cm
本体:鉄
ハンドル:鉄

山田工業所┃九十九
サイズ:24cm/26cm/28cm
本体:鉄(板厚1.6mm)
ハンドル:桜

 

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