Human dept. スゴイ人、そろってます。

「その道のプロ」のルーツを探る ガイドの原点−origin-

vol.067

生活している限り、家は汚れ、ゴミはたまる。
面白がりながら、家をキレイに保つノウハウ教えます

「家事・掃除ガイド」の藤原さんの守備範囲は幅広い。キレイなお家のキレイなお掃除なんて、永久ではない。油断をすればすぐに顔を出すヌルヌル、ドロドロ。あまりお付き合いしたくない害虫やカビのことまで、分析、調べ、予防し、駆除する記事は、不思議なことに不潔感はない。誰にも真似のできないユーモアとパッションに溢れる記事を書く、藤原さんの原点を探る。

「家事・掃除」ガイド 藤原 千秋

文/宗像陽子 写真/平林直己

ちょっと風変わりな女の子

「家事はおかあさんのやることだからやらなくていいや」と思っていた少女が「暮らし」というものに前向きな興味を持った最初の1冊が「雪から花へ−風俗から作品へ」だった。

「家事はおかあさんのやることだからやらなくていいや」と思っていた少女が「暮らし」というものに前向きな興味を持った最初の1冊が「雪から花へ−風俗から作品へ」だった。

藤原さんは、一風変わった子どもだったようだ。
秩父山脈のふもとで育った小学生のころは、ドブ掃除やトイレ掃除などをやらされるいじめられっ子的ポジションだったとか。ところがきれいになることがうれしくて「いじめられているわりに、本人はまったく堪えることなく喜々として掃除をしていた」と言う。

また、入り浸っていた図書館で5年生のときに司書の方に推薦された本が、今の藤原さんの原点ともいえる本となった。(聞けば、宮澤賢治の好きな藤原さんのために司書の方が宮沢賢治の研究者として有名な天沢退二郎の著作を教えてくれたそうだ。)「雪から花へ−風俗から作品へ」著/天沢退二郎。大人向けのその本には天沢氏の今でいうイクメンぶりや暮らしぶり、家事の様子がユーモラスに綴られており、変わり者の小学生の心をつかんで離さなかった。

そんな不思議なエピソードは枚挙に暇がない。ただ、そこから見えてくるのは、周りを気にして好きでもないことにキャーキャー騒いでいるような女の子の姿ではない。自分の興味のわくことであれば、それがドブ掃除であっても飽きずにずっとやってしまうある種の「オタク気質」である。

興味の先にはいつも「暮らし」

「東京の下層社会」に始まる「スラム研究」は、その後、藤原さんが「人間的な暮らしをするためには何が必要なのか」というライフテーマを持つきっかけとなった。

「東京の下層社会」に始まる「スラム研究」は、その後、藤原さんが「人間的な暮らしをするためには何が必要なのか」というライフテーマを持つきっかけとなった。

その後大学生となり、藤原さんは、法学部に進んだものの興味の対象はやはり「暮らし」。それも女子大生の好みそうなおしゃれな「暮らし」とはちょっと違う。斜め上を行く藤原さんの興味の対象は、なんと「スラム街」。
最低限の住まいとはなんだろうか。
人間的な暮らしをするとはどういうことか。
そんな疑問を解くべく、古今東西のスラム街について調べていたという。

住宅メーカーの営業ウーマンへ

社会人になって初めて持った三角スケール。面を変えれば、100分の1メートルのスケールになったり、300分の1メートルのスケールになったりする商売道具。今では普通の定規としか使っていないが、手放せない思い出のもの。

社会人になって初めて持った三角スケール。面を変えれば、100分の1メートルのスケールになったり、300分の1メートルのスケールになったりする商売道具。今では普通の定規としか使っていないが、手放せない思い出のもの。

暮らしを考える上で必要不可欠なものは、「住まい」だろう。学生時代の藤原さんは次第に住宅に興味を持つようになる。住宅展示場でアルバイトをし、そこで掃除について徹底的にしごかれる経験をする。

就職先は住宅メーカーに照準を合わせた。その当時、住宅メーカーの営業職は男子がメインで、女子の募集はなかなかなかった。どうしても入社したい藤原さんは、「千秋」という性別不明の名前を利用し、男女の性を書かずに応募。何食わぬ顔をしてスーツを着てネクタイを締めて会社説明会に行き、その後何回かの面接を経て見事に採用を勝ち取ったという。とてもユニークで、一途な藤原さんらしいエピソードだ。

入社後は順調に業績をあげ、充実した生活を送っていたが、思いもよらぬ大きな転機が訪れる。

病に倒れて、退職!?

思いもかけず、突然の病に倒れたのだ。手術はしたものの、術後の治療の副作用が激しく退職を余儀なくされた。

就職超氷河期に行きたいと思った会社に入れ、そこそこの業績を出すこともできていた。
会社も期待してくれていたと思う。
病気の治癒もその時点でははっきりと先が見えない……。
今なら淡々と話せるが、その時の気持ちはいかばかりであったろう。
「私の人生はこれで終わったと思いました」と口を真一文字にきゅっと結んで、藤原さんは言った。

専業主婦となり、インターネットに目覚める

「All Aboutガイドになったことで、人生はもう一回、始まりました。今ある私の全てといっても過言ではありません」

「All Aboutガイドになったことで、人生はもう一回、始まりました。今ある私の全てといっても過言ではありません」

退職後に、結婚。病気の治癒にも時間がかかり、約3年間家で過ごすうちにインターネットに目覚め、ガイドとなったのは、2001年3月のこと。

All Aboutで書きはじめ2年目に妊娠。その後も2人のお子さんに恵まれ、現在藤原さんは3人姉妹の母である。

3回の出産後はその都度ペースダウンを余儀なくされながらも、仕事の依頼が途切れることなく今があるのは、藤原さんの仕事が世の中に確実に評価されてきた証しにほかならない。

  • 1
  • 2

Next

Info

All About Human dept.とは、「人」にフォーカスし、人間が持つおもしろさを追求するウェブメディアです。様々な分野から、自分のスタイルを持ち、第一線で活躍している「その道のプロ」たちをご紹介します。