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「その道のプロ」のルーツを探る ガイドの原点−origin-

vol.066

好きなものをとことん調べ、掘り下げる。
発見の面白さを伝える
「音楽発掘家」でありたい

テクノポップガイドの四方さんは、All Aboutのサービス発足当時からガイドを務め、今年で15年目。その記事は、アルバムレビューからジャンル解説、アーティストインタビューまで多岐にわたる。未来への憧れと懐かしさが同居する、レトロフューチャーなテクノポップの世界。その魅力を語ってもらった。

「テクノポップ」ガイド 四方 宏明

文/加藤朋実 写真/平林直己

常に発見を求める「音楽発掘家」

1983年にデビューしたスウェーデン出身のバンド「NASA」。この『The Bird』にはバグルスのカバーが収録されている。「調べてみたらこんなことやってたんだ!という、僕にとってとても面白い1枚」

1983年にデビューしたスウェーデン出身のバンド「NASA」。この『The Bird』にはバグルスのカバーが収録されている。「調べてみたらこんなことやってたんだ!という、僕にとってとても面白い1枚」

四方さんは現在、月に約6本のペースで記事を執筆している。およそ半数がアルバムレビューなどのコラム、残り半数がアーティストインタビューだ。

四方さんの記事には、拡散力がある。読んだ人がつい「誰かに教えたい」と思うようなネタ、他では書かれていないようなネタが、たくさん詰まっているのだ。

「記事を書くときには『何か新しい発見を!』という思いを大切にしています。読んだ人が何かを見つけてくれたり、『これ面白いよね』と思ってくれたりするのが一番嬉しい」

読者に発見を提供するためには、当然ながら自身が発見をしなければならない。好きな曲、好きなアーティスト、面白そうな国があれば、それをもとに周縁の情報をひたすら集めていく。そうすると、時に思いもかけない“掘り出し物”に出合うことがあるのだそうだ。

このところずっと注目しているのは、チリのエレクトロポップ女子、Javiera Mena(ハビエラ・メナ)。「インタビュー快諾してもらったんですが、やはりラテン気質なのか返事がない(笑)。でも、ついこの間、インタビュー再開のメッセージをもらった。乞うご期待!」

このところずっと注目しているのは、チリのエレクトロポップ女子、Javiera Mena(ハビエラ・メナ)。「インタビュー快諾してもらったんですが、やはりラテン気質なのか返事がない(笑)。でも、ついこの間、インタビュー再開のメッセージをもらった。乞うご期待!」

だから四方さんは、自身のことを、音楽ライターでもなく音楽評論家でもなく「音楽発掘家」だという。発掘したものを人々と共有し、「面白い」と思ってもらえることが、モチベーションにも繋がるのだ。

それはインタビュー記事でも同様だ。アーティストにインタビューするときには、過去の記事やブログなどを調べ、世の中にあまり出回っていない情報を引き出すようにしている。インタビューをしたアーティストが他のアーティストを紹介してくれたり、「新譜を出すので話を聞いてほしい」と依頼があったりと、人の繋がりも広がっている。

「たとえば以前、ある方の紹介でスプツニ子!さんにインタビューをさせていただく機会があったのですが、その後、皆さんご存じのように有名になられて。そうやって、自分が好きなアーティストがたくさんの人に支持されるようになるのは、とても嬉しいですよね」

世界のマイナーテクノを紐解きたい

「理想は、神戸と東京、海外で1年の3分の1ずつ生活すること。まだまだ実現には遠いですが(笑)」

「理想は、神戸と東京、海外で1年の3分の1ずつ生活すること。まだまだ実現には遠いですが(笑)」

現在四方さんは、自宅のある神戸と東京を行き来する生活を送る。そして時間を見つけては海外に行き、現地の音楽に触れるのが楽しみの一つだという。

「テクノポップにこだわらず、ミュージックシーンではマイナーだと思われている国に行くのが好き。ウクライナとかロシアとかモンゴルとか、面白いですよ。そういう国に行くと、いわゆる民族音楽ではなく、現地のローカルミュージックのCDをたくさん買って帰ってきます」

そんな四方さんに、今気になっているテーマを尋ねると「共産テクノ」という答えが返ってきた。

「ソ連崩壊前の共産圏の国々で、テクノポップ的な音楽をやっていたアーティストが結構いるんですよ。最近のロシアのアーティストについては情報もありますが、ソ連時代に何が起こっていたかということに関しては、ほとんど世間では知られていない。共産テクノを紐解く、というのがこれから取り組んでみたいテーマですね」

近々またモスクワに行き、現地のテクノポップミュージシャンのスタジオに遊びに行くという。

「ロボットが好き、宇宙が好き、近未来が好き。だったらきっとテクノポップが好きになると思います!」
そう語る四方さんの目はキラキラと輝き、少年時代から変わらぬ“発掘家魂”が宿っているようだ。

取材協力: eat more greens

取材協力:eat more greens

「テクノポップ」ガイド  四方 宏明

テクノポップを中心としたレコード蒐集癖からPOP ACADEMYを1997年に設立。2001年よりAll Aboutにてテクノポップのガイドを担当。テクノポップ、辺境を中心とした世界のポップミュージックの情報を発信。Twitter(hiroaki4kata)で更新のお知らせ中。

ガイドのお気に入りの記事

TaTy〜ロシアより愛をこめて
まだタトゥー(t.A.T.u.)は、ロシア語表記「TaTy」のみだった頃の記事。その後、日本でもブレイクしたが、ドタキャン批判を浴びた。
真性テクノアイドル(グループ編)
Perfumeに最初に触れた2006年の記事。これ以降、人気急上昇、Perfumeはシリーズ化した。

共産テクノ序章〜共産テクノとは何ぞや?
誰も書かないから価値がある、という典型となる記事。ロシア語は今も勉強中。

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