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「その道のプロ」のルーツを探る ガイドの原点−origin-

vol.064

もっと自由に!もっと心地よく!
自分の「好き」をまとえば、
もっとファッションは楽しくなる

ファッションガイドの宮田さんはガイド歴10年。All Aboutでの掲載記事は460本を超えた。ファッションの最先端から自分流のファッションアドバイスまで執筆範囲は幅広く、流行と自分流をうまくミックスした解説記事が人気の秘密。宮田さんの原点とファッションに対する想いを伺ってきた。

「レディースファッション」ガイド 宮田 理江

文/宗像陽子 写真/鈴木愛子

ちょっと変化を加えるとずっと可愛くなる楽しさ

「私自身は、ヴィンテージファッションと新しいもののミックスコーデやブランドものとチープなものの組み合わせなどが大好きです」

「私自身は、ヴィンテージファッションと新しいもののミックスコーデやブランドものとチープなものの組み合わせなどが大好きです」

着せ替え人形で遊んだ経験は女の子なら誰しもあるかと思うが、宮田さんも例外ではない。子どもの頃から、服が大好き。
普通の人とちょっと違うのは、随分と小さな時期から自分で自分の洋服も選んでいたこと。そして新聞広告のモデルが着ている服の写真を切り抜いて「これをください」と実際に店まで買いに行ったり、人形や妹の髪の毛を切ってしまったり。

元気いっぱい好奇心いっぱいの子どもらしい他愛のないいたずらのようだが、子どもなりのこだわりがあったのだろう。
リボンをつける、ふわふわした飾りを作る、スカートの丈を短くする。変化を加えてちょっとアレンジすればずっと可愛くなることに興味のあった子ども時代。それは今でも変わらない宮田さんのファッションの原点だ。

中学生までに親の仕事の都合で、香港も含め8回も引越しをしたという。引越しをするたびに制服や人間関係が変化して、その中で自分という個人を確立していく。今でもどちらかというと同じところに安住しているよりは、新しいものや環境が好きだという宮田さんは、転勤族だった影響も少しはあるのかもしれない。

ほっとできるのは、異質なものでも受け入れてくれる包容力のあるコミュニティだ。
たとえば2年間住んだ香港の雑多なごちゃごちゃ感や、大人になってから行ったパワフルなNYなどが性に合う。

異質なものを受けいれるNYが大好き

ライダースとスカーフはヴィンテージ。スカートとクラッチバッグはパリコレブランド、ブーツはNYブランドでテイストミックスでまとめた

ライダースとスカーフはヴィンテージ。スカートとクラッチバッグはパリコレブランド、ブーツはNYブランドでテイストミックスでまとめた

ファッション好きが高じて、会社員を経てアパレルブランドへ転職。仕事ではじめてNYに行ったときに、そのパワフルなこと、人を受け入れる度量の深さにとりこになった。

「その後、年に3回ほど出張でNYに行くようになり、そのたびにNYが好きになっていきました。世界各国から多様な人種が集まっているからファッションも多彩ですね」

宮田さんが好きな、複数のテイストを組み合わせるミックスコーデもNYではずっと昔から浸透していたスタイリングだ。ラグジュアリーブランドとお手頃価格品を混ぜるハイ&ローのミックス、ヴィンテージと最新のミックスなど、NYファッションからは少なからず影響を受けた。

「NYの良さは、他人がどんなものを着ていようが、批判はしないこと」と宮田さんは言う。それはお互いの個性を認め合っているからにほかならない。一方で、「すてきだな」と思った装いをしていれば、見知らぬ人であってもすぐ話しかけて「あなたのその靴いいね、帽子いいね、どこの?」と気さくに話しかける褒め上手の文化でもある。

普段はポーチを多用。旅先ではちょっとしたクラッチバッグとしても使えて、何かと重宝する。手前はレスポートサックとオランピア ル タンのコラボレーションコレクション「Olympia Le-Tan for LeSportsac」のキュートなもの

普段はポーチを多用。旅先ではちょっとしたクラッチバッグとしても使えて、何かと重宝する。手前はレスポートサックとオランピア ル タンのコラボレーションコレクション「Olympia Le-Tan for LeSportsac」のキュートなもの

「日本は洋服の歴史が浅い分、比較的自由にファッションを楽しんでいると思います。それでも他人の目を気にしすぎていないでしょうか」

自分のファッションは人から見て派手だと思われないだろうか。でも地味と思われたらもっとイヤだ……。そんな日本人の意識が、本来自由で楽しいファッションの幅を狭くしているのでは、と宮田さんは感じている。

「もちろんTPOのファッションルールは必要ですが」と前置きした上で「ファッションは、人のために着るのではなく、自分のために着るもの。自分が心地いいとか、これを着るとワクワクするとか、今日はハッピーだとか気持ちがいいと思える服を好きなように着てみたらいいと思いますよ」と語ってくれた。

コミュニケーションツールとしてのファッション

偶然隣にいたロシア人の女の子と、トップスが「唇」モチーフでおそろい。そこから話が弾み、最新ファッションの情報交換までしてしまったとか。パリコレ期間中の美術館前での出来事

偶然隣にいたロシア人の女の子と、トップスが「唇」モチーフでおそろい。そこから話が弾み、最新ファッションの情報交換までしてしまったとか。パリコレ期間中の美術館前での出来事

では宮田さんにとってファッションとはなんだろうか。
ファッションとは、自己表現の手段であると同時にコミュニケーションツールの一つでもあると宮田さんはいう。
「その靴、すてきですね」といった一言が会話のきっかけにもなる。
「かわいいですね、どこで買ったんですか?」
「とても似合いますね、その帽子」

そんな何気ないやりとりから、会話が生まれ、関係が育つ。宮田さんは実際にNYだけではなく世界各国でそんな経験をしている。ファッションで異文化コミュニケーションが生まれる瞬間だ。

「残念ながら日本人は、道で出会った人にその服について聞いちゃいけないと思っていますよね、ちょっと残念。もっとお互いを尊重して、すてきならすてきと言ってみてもいいのでは」。

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