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「その道のプロ」のルーツを探る ガイドの原点−origin-

vol.059

女性にこそ、楽しんでほしい。
じっくり味わうモノ創りと
上質な趣味の世界「盆栽」

盆栽といえば「おじいちゃんの趣味」?いえいえ、今や「盆栽」は、おしゃれでかわいくて上質なものを好む女性達をとりこにする趣味になりつつある。そのブームの火付け役ともいうべきなのが「盆栽ガイド」の山田さんだ。盆栽の魅力をもっと女性や若年層にも広げようと活動をしている山田さんに、その魅力と原点を伺った。

「盆栽」ガイド 山田 香織

文/宗像陽子 写真/須藤明子

盆栽は世界観を表現する

盆栽の魅力を伺うと
「語りつくせぬほどその魅力はありますが」と前置きをした上で、山田さんは盆栽の3つの魅力をあげてくれた。
まず、その「世界観」。
「鉢植えの花は、植物体そのものの美しさを愛でますが、盆栽はその世界観を楽しみます。
たとえば、この盆栽は」と手元の松を指さした。
「峠の東海道の見返りの松を表現しているといえば、左下に街道が見えて、遠くに富士山が見えて、道行く人が歩いている風景が浮かぶでしょう?」

なるほど、指差す盆栽を眺めると、その後ろにしぶきを上げる太平洋の波しぶき。そこにたたずむ旅人の姿。空には悠然と飛び回る鳥の姿が、一挙に目に浮かんだ。それはそこにいた全員が「あっ!」と声をあげるほどの感覚だった。
「みなさん一挙に風景が思い浮かぶのは、日本人として共通の原風景を知っているから。盆栽は、日本人であるという精神的なつながりを感じさせてくれますね」

「盆栽そのものだけではなく、風景まで見せてしまうところが盆栽のすばらしいところです」

「盆栽そのものだけではなく、風景まで見せてしまうところが盆栽のすばらしいところです」

次にあげたのは「季節感」。

「実は盆栽は、季節を感じることができるんですよ。枯れ木のような木から芽が出て、花が咲き、咲き終われば葉が出て秋になれば紅葉して散る。その季節のめぐりを、こんな小さな鉢がみせてくれるのです。育てていると、たった一輪の花が咲いたことにも感動できますよ」

そして3つ目は「俯瞰する視点」だという。
盆栽清香園では、長寿の盆栽は、樹齢200〜300年ほどのものも少なくない。

「200年、300年と世の中の人の愚かさや幸せを見つめてきた木の前に佇めば、自分の小さな悩みは実に小さなことだと思えます。あれこれ悩むことは多いけれども、まだまだできなくて当たり前。それが随分心を楽にしてくれました。木は自分を謙虚にしてくれます」
そんな盆栽の魅力を、ぜひたくさんの人に味わってほしいと山田さんは感じている。

著書では、盆栽のテクニックだけではなく、盆栽から学ぶ人生観まで伝える

著書では、盆栽のテクニックだけではなく、盆栽から学ぶ人生観まで伝える

盆栽を育て、盆栽に育てられる

「若い女性が『最近ハマっているのは盆栽』と言ったときに『いいね、かっこいいね。おとなだね』『上質な趣味ですね』と相手に言ってもらえるようなジャンルにしたいんです」と山田さん。

「すでにブームは来ているのでは?」と問うと「いえまだまだ。やっと土の中に水が染み込んできたような感触でしょうか」と、笑顔で答えてくれた。

物事が達成するには、途方もなく時間がかかる。けれどもコツコツと努力を続けることで必ず目標は達することができるということを、山田さんは盆栽から学んでよく知っているようだ。

「盆栽」ガイド 山田 香織

盆栽家。盆栽園の五代目として、幼い頃から跡取りとして盆栽の指導を受ける。女性や若い世代にも盆栽を広めるべく、彩花盆栽教室を設立・主宰。テレビや雑誌等にも多数出演し、精力的に活動している。

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