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「その道のプロ」のルーツを探る ガイドの原点−origin-

vol.054

家事は奥深くて、面白い。誰にでもはまるポイントが必ずあるはず。
だから多面的な楽しさを伝えたい。

「家事ガイド」の毎田さんは、家事アドバイザーであり、ハウスクリーニングやハーバルセラピストの認定資格を持つという。家事ならなんでもお任せあれ、部屋にはチリひとつない完璧な「主婦の鑑」なのか?それとも「家事」は苦手だったのか?それなら、なぜ「家事」のスペシャリストになったのか?さまざまな疑問を解くべく、毎田さんのお宅へ伺った。

「家事」ガイド 毎田 祥子

文/宗像陽子 写真/須藤明子

「家事の中では、今でも片付けはちょっぴり苦手なの」

「家事の中では、今でも片付けはちょっぴり苦手なの」

主婦って何するの?
専業主婦になってとまどう

笑顔で迎えてくれた毎田さんの家は、お子さんの絵や工作がそこかしこに飾られている居心地の良いお宅だった。

大学卒業後大手IT企業に就職し、秘書として働いた毎田さん。自宅通勤で、帰宅後は寝るだけという生活で家事も親任せだったとか。結婚後、専業主婦となったものの「はて?主婦って何をするんだろう?」ととまどいあわてて主婦向けの雑誌を読んだほど、家事とは無縁の存在だったという。

「とりあえず食べないと生きていけませんから、料理の通信教育を受けたりしてね。まず学びから入るのは、ビジネスマンだったころの習性でしょうか」と終始にこやか。「収納セミナーなんて行っているうちにふと見回したら部屋が汚部屋になっていて……。ほっほっほ。セミナーに行っても部屋は片付かないことを学びました(笑)」
なるほど、毎田さんの記事が温かくて優しくて決して上から目線ではないのは、家事が苦手の人の気持ちがよくわかるからのようだ。

手作りエッセンシャルオイルもお手の物。気軽に香りを楽しむ。アロマテラピーアドバイザーの資格もガイドを始めてから取得した

家事の奥深さに目覚める

そうこうするうちに、ひょんなきっかけから生協の機関紙の編集を手伝うこととなる。これが、現在の毎田さんの「家事アドバイザー」としての土台となった。
仕事は、生協の商品を試したり、家事仕事について実験をしたり、専門家にインタビューをして記事を書くというもので、生産者や専門家への取材では全国を飛び回ることとなった。まだ子どもがおらずフットワークが軽かったため、毎田さんはかなり積極的に仕事にかかわることとなり「結果、また部屋が散らかりました(笑)」。
とはいえ、そのときに専門家の意見を聞いたり実験をしたりしたことで、ふつうの主婦ではなかなか得られない貴重な経験を積むことができ、とても知見が広がったと感じている。また、当時の編集長の「常に消費者の立場に立って考えなさい」というアドバイスは、今でも記事を書く上で重要な指針の一つだ。

「失敗の数だけ、記事も増えました(笑)」

3年ほどでその仕事はやめたものの、せっかく生協で積み上げたノウハウをそのままにしてしまうのは惜しいと考え、自身でホームページを作り、日頃の家事の疑問や解決法をアップしていった。
「会社勤めをしていたときから、『疑問点があったら調べる。学ぶ。解決する』と叩き込まれてきましたから、それは身に染みていました。だから生協で得た知識に加えて日々、家事をしながら感じる疑問を、どんどん調べて解決しホームページにアップしていったんですよ」
加えて、秘書としてモノやスケジュールの管理をしていた毎田さんは「家事は特別な事ではない。段取り、ラベリング、情報共有、優先順位など、ビジネスと同じ部分もたくさんある」と感じていた。
専門家ではなく、素人の主婦が疑問を感じて、テクニックだけではなくビジネス的手法を用いながら解決していくホームページは次第に人気が出て、仕事の依頼も舞い込むようになった。

ズボンは裏返しにして筒状に。シャツは脇の下が上下さかさまにバンザイスタイルにして干すと、早く乾く

そんな中、オールアバウトのサイトを知る。「共働きの家事」というコンテンツで書くガイドの募集を知り、応募。その後家事ガイドとして活躍しているのは周知の事実だ。

少し前の世代までなら、主婦は日々の家事をこなす中で、たとえば「染み取り」ひとつとっても、部分洗いをする、つけおき洗いをするといった工夫を少しずつしていたのだろう。しかし電化製品の発達とともに、そのあたりの細かい作業は省く人も増えている。

1万部突破した「魔法の朝だけ家事」(PHP)、初めての著書「いつの間にか家事上手になるシステム家事のすすめ」(家の光出版)、お母様が亡くなってから監修した「おばあちゃんの歳時記」(ピエブックス)

「家事をきちんとしている人は、衣替えで、久々に出した服に染みがついていたり、黄ばんでいるなんてことはない。けれども多くの人はそうではない。自分自身そうでしたから、『どうしてそうなっちゃうんでしょうね』という気持ちで書いています」
なぜ、自分の洋服は黄ばんでしまうんだろう。なぜ、洗濯物がうまく乾かないのだろう。なぜにおいがついてしまって、とれないのだろう。失敗をするたびに、毎田さんは考え、調べる。記事を書く上で知識が足りないと感じれば勉強をして資格を取る。学んだことを思い出し、また考える。それを日々の家事の中で繰り返し試し、解決していくことで記事を積み重ねていった。

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