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「その道のプロ」のルーツを探る ガイドの原点−origin-

vol.053

大人も、街も、企業も。
赤ちゃんを笑顔で迎えられる社会にしていきたい

「誕生学(R)」という新しいジャンルの言葉をうみだし、バースコーディネーターという仕事を創職。新しい命に向きあう女性やカップルをサポートし、幅広い年齢層に誕生学を伝え続けて18年。多くの人の心に響く講座はなぜ生まれたのか。

「妊娠・出産」ガイド 大葉 ナナコ

文/宗像陽子 写真/平林直己

「ゼロから新しいことを生み出すことが好き」サラリと言ってのけ、次から次へとアイデアをだし、実現させる

「ゼロから新しいことを生み出すことが好き」サラリと言ってのけ、次から次へとアイデアをだし、実現させる

たおやかにして男前

やさしく強いというイメージの「たおやかな」と言う表現が大葉さんにはよく似合う。長身で背筋はスッと伸びていて笑顔を絶やさない。女らしいのだが、話を聞けば聞くほどパワフルでパイオニア精神に満ちあふれ、「男気」たっぷり。そのギャップが彼女をより魅力的に感じさせる。

「人は、6,000回生まれ変わるって説があるのよ。それでいくと多分私は5,999回男で生まれて、『一度くらいは女になって、出産ってしてみたいぜ!!』と、今回は女性に生まれた気がするの(笑)。男っぽいけれど、出産だけなら何度でもしてみたい。それくらいお産が好きなんですよ」といたずらっぽく笑う。

その優雅な姿からはにわかには信じがたいが、5児の母親である。

中学校からの女子校育ち。
「その頃から活発で、常に役割はプロデューサーです。いつも文化祭委員長を買って出るような女の子でした。お産もそうですが、ゼロから1を生むことが大好き」という大葉さん。自由奔放な大葉さんの原型を形作ったのはお母様だ。

「何でも『おもしろいじゃない。やってみなさい。あのビルだって、最初に作った人がいるのよ』」と窓から見えるビルを指してはいつも大葉さんのチャレンジを応援し、励ましてくれた。

2001年第5子を産んだあとから、書籍出版の依頼が増え、すでに著作は20冊を超える。写真は「安産バイブル」(左)と「BIRTH」

2001年第5子を産んだあとから、書籍出版の依頼が増え、すでに著作は20冊を超える。写真は「安産バイブル」(左)と「BIRTH」

妊娠前からのバースレッスンを提供したい

さて、出版社で広告デザイナーをしていたという大葉さん。

第1子の妊娠中に夫婦で「お産の学校」主催のマタニティクラスに参加し、カップルで妊娠出産について学び、感動したことが、その後の人生を変えるきっかけとなる。1995年、すでに3人の子どもの親となっていた大葉さんは、出産準備クラスのバース・エデュケーターとなるべく、研修を受ける。バース・エデュケーターとは1970年代に呼吸法など出産時のセルフヘルプを伝えるために英国で生まれた。大葉さんは、国内でのバース・エデュケーター第1期生となり、単に分娩の方法ではなく、出産にまつわる様々な知識やサポートについて学ぶこととなる。

「そこで、『子どもを生むということはどういうことなのか。パートナーシップとは何か?』ということを学びました」と大葉さん。
「人生において、我が子と出会うプラン」という考え方が、とても新鮮に感じられたという。

多くのカップルは妊娠してからいきなり「親になる」という未知の世界に対峙する。自分の人生において「子どもをもつとは」「妊娠するということは」を考えるのはもっと早くてもいい、考える時間はたっぷりあってもいい。
そんな思いは大葉さんの中で次第に強くなっていく。

代々木上原駅のほど近くにバースセンス研究所はある

代々木上原駅のほど近くにバースセンス研究所はある

しかし、行政でも民間でもマタニティクラスは、どれも妊娠してからのもので、お世話のコツや沐浴指導がメイン。雑誌の妊娠準備特集といえばグッズの宣伝ばかり。もっとマインドを教えたい。もっと妊娠前から教えたい。

そういった場を作るために、ついに大葉さんは「幸せなお産を増やすための人材育成プログラム・教材の開発を行うバースセンス研究所」を立ち上げる。

記念すべきバースセンスレッスン初回は1997年のこと。
「忘れもしない参加者はただひとりだったの」と軽やかに笑う大葉さん。けれどもその後18年、地道に活動を続けることで、今や認定バースコーディネーターは25名。誕生学(R)を教える講師は470名まで増え、講座を受けた人は、のべ1万人は軽く超えるという。

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