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「その道のプロ」のルーツを探る ガイドの原点−origin-

vol.052

住んでいる場所は簡単には変えられないが、
地域の災害特性をつかみ、
自分の被害リスクを下げることは誰にでもできる

「あなたの防災への備えは万全ですか?」災害危機管理アドバイザー和田さんは、災害に対する備えは、地域ごとに、家庭ごとに、違うのだと説く。誰でもわかりやすく防災について考えることができ、被害リスクを下げるためのノウハウを伝え続ける和田さんの、ガイドの原点とは。

「防災」ガイド 和田 隆昌

文/宗像陽子 写真/平林直己

週末に、講演がなければ山歩き。身近に自然を感じていることが緊急時にも必ず役に立つ。 体力をつけるためにも欠かせない

週末に、講演がなければ山歩き。身近に自然を感じていることが緊急時にも必ず役に立つ。
体力をつけるためにも欠かせない

住んでいる地域のことをもっと知る

和田さんは言う。
「すべての災害には、その土地特有の原因があるんです。それを知り現状を把握して、できることをやっておけば、命を守れるはずです。そしてそれは行政頼みではだめなのです」

災害対策は、全国一律ではありえない。
自分たちが住んでいるところは、海の近くか、山のそばなのか、都市部にも特有のリスクがある。過去にどういう災害が起きて、そのときどういった対応がされたのか、されなかったのか。
生死を分けた要因はなんだったのか。
何を優先しておくべきかはその地域ごとに違うと和田さんはいう。
東日本大震災のときも、津波教育がされていた地域とそうでない地域で大きく死亡率が違ったことは記憶に新しい。
さらに各家庭においては、どんな建物にどういう家族構成で住んでいるのかでまたリスクも対策も変わってくる。そのことを誰もがもっと認識するべきだと和田さんは説く。

メディア出演も増えて来た。ラジオ番組の収録時

メディア出演も増えて来た。ラジオ番組の収録時

とはいえ、大上段に「防災」をふりかざしても、誰もふりむかない。
遊び心を否定せず、楽しみながら「もし電気や水がなかったら」「もし、ふとんがなかったら」と状況を家族で想定し、経験しておくことも大切なことだと和田さんは感じている。

「お父さんが自慢げに、アウトドアの知識を教えておくだけでもいいと思いますよ。庭でキャンプのまねごとをするだけでもいい。そうやって楽しみの中で、少しずつ非常時に備えて考えておくことが必要だと思います」

「ほんの少しでも記事を記憶の片隅に置いてもらえれば、被害に遭う人が少しでも減るのではないでしょうか」

「ほんの少しでも記事を記憶の片隅に置いてもらえれば、被害に遭う人が少しでも減るのではないでしょうか」

防災は「伝わりにくく」「覚えておけず」「めんどうくさい」もの

「防災意識は『伝わりにくく』『覚えておけず』『めんどうくさい』ものなのは当然のこと」と和田さんはいう。
確かに筆者も、防災の日が近づけばあわてて防災袋の中身を確認して、しばらくは枕元に置いたりする。しかし1ヵ月も立てばいつの間にやら意識も薄れ、何がどこにあったかも忘れる始末。継続して防災意識を持つのは意外とむずかしい。

「だからガイド記事では、親しみにくい防災の知識を『わかりやすく』『身近で』『誰もがすぐに使える』内容を心がけています」

たとえば記事では、一般論として例を挙げたうえで、読者がそれぞれ自分の問題として考えられるよう文末に「ポイント」を挙げるなど工夫する。
危機をあおるのではなく、「自分に対する被害リスクを下げることは誰にもできるはず」というメッセージは、多くの人の心をつかむ。

防災教育へとつなぐ

さて、和田さんの活動は、将来的にどんな展開が予想されるだろうか。

和田さんは、自然災害の多い日本では、小学校のうちからもっと防災教育がなされるべきだと感じている。
現在和田さんがコーディネートしている小学生対象のイベントでは、水を節約しながら調理をさせ、自分で作ったダンボールベットで寝るなど、日常とは違うことを経験させる。子どもたちは大いに楽しみながら「不便を経験する」という。

「他にも、防災教育として行われているDIG(災害時想定図上訓練)を進化させたフィールドワーク検定と呼ぶアウトドアの知識を加えた防災訓練を各地で行っています。小さなお子さんから高齢の方まで、参加者が今まで見過ごしていた地域の自然環境を見直すことで、地元への理解を深め、楽しみながら被災リスクを下げることが可能になります」

「自然の恵みを享受しつつ、その環境を深く理解することで、命を落とすリスクを下げる」。
それは言ってみれば「当たり前のこと」だ。その「当たり前のこと」を忘れたときに、災害はいつの間にか背後に忍び寄っているのかもしれない。

All About「防災」ガイド 和田隆昌

災害危機管理アドバイザー。感染症で生死をさまよった経験から「防災士」資格を取り、災害や危機管理問題に積極的に取り込んでいる。長年のアウトドア活動から、サバイバル術も得意。主な著書に『大地震 死ぬ場所・生きる場所』(ゴマブックス)があり、講演会ほかTVなどマスコミ出演多数。

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