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「その道のプロ」のルーツを探る ガイドの原点−origin-

vol.043

和文化を、もっと生活に取り入れよう。四季を楽しみ、行事を慈しむ豊かな暮らしのヒントを伝えます。

「暮らしの歳時記」ガイドの三浦さんは、若いころの肩書は「カラー&ライフコーディネーター」だった。暮らしや生活をもっと素敵にと提案するうちに、行き着いた先は「和文化」だったという。現在「和文化研究家」として活躍する三浦さんにお話を伺った。

「暮らしの歳時記」ガイド 三浦 康子

文/むなかたようこ 写真/須藤明子

「暮らしの歳時記」ガイドの三浦さんにお会いしたのは、サクラが散り、ピンク一色だった街がさっと様変わりして新緑に包まれるころだった。

取材場所の古民家カフェにあらわれた三浦さんは、銘仙の着物がしっとりとよく似合った。昭和の雰囲気漂うカフェに合わせて着物を選んできたという。子どもの頃から着物に着なれていたのかと思えば、意外なことに着物を着だしたのは30代半ばからだとか。

大正から昭和にかけて流行した銘仙の着物は、京都の古着屋で購入。

転勤族の悲哀を糧に

結婚後、もともと興味のあった色彩について本格的に勉強を始める。その後、仲間と「カラリスト」として活動を開始。毎月セミナーを企画し、これからというときに夫に転勤の辞令がおりた。

既婚女性の働き方を大きく制限するものの一つが夫の転勤だ。転勤族の妻たちは、今まで築いてきた仕事や人間関係がぷっつりと切られてしまう悲哀を何度も味わう。三浦さんも例外ではなかった。

その後も続く転勤で、都度新たな人間関係を作っていかなければならなかった三浦さんは仕事に対して「いつ、どこに行ってもできる仕事」を求めるようになった。けれども、それが今の三浦さんを形造ることになるのだから、人生はわからないものだ。

福岡時代に買って気に入ったカップ。毎日このカップでお茶を飲んで仕事を開始!

転機となったラジオ番組

転機となったのは、ラジオの仕事だった。「カラー&ライフコーディネーター」として活動中に縁があり、FM横浜の「THE BREEZE」のライフアップコーナーにかかわることとなる。すてきな暮らしのためのちょっとした工夫やヒントを毎日提供する仕事で、これは全国どこにいても電話とファックスがあればできる仕事だった。

とはいえ、季節感や行事を考え、毎回違うネタを提供するのは大変なこと。様々な物事について視点を変えて見なおし、深く掘り下げて勉強をする必要があった。10年継続するなかで台本まで任されるようになり、この仕事が三浦さんに大きな影響を与えることになる。

ラジオの仕事はビジュアルでごまかすことができない。パッと聞いて理解できる言葉ですべてを伝えなければならない。一言一句に気を使い、言葉の響きを選んでいくことで、知らず知らずのうちに三浦さんの文章力はアップしていった。

そして、10年以上継続しながら、同じネタは使わず様々な切り口で暮らしをよりよくすることについて調べ、考え、アウトプットしていったことがいつの間にか三浦さんにとって大きな財産になっていった。さらに、この仕事が、単にネタの集積にとどまらず、「和文化」の魅力に気づくきっかけとなった。

20年以上苦楽を共にして愛用しているシャープペンシル。ドクターグリップ(メーカー:パイロット)。今でも原稿の下書きなどは、このシャープペンシル以外では書けない。

たとえば十六夜。昔の人は満月に比べ月の出が少し遅いことを、月がためらっているようだと考えて「いざよい」(なかなか進まないという意)という言葉で表現したという。現代人が忘れかけた感性は、五感のアンテナを立てていれば磨かれてくるはず。

「暮らしをすてきにする」ということは、見かけだけではなく人生を潤すということ。ひとつの物事を深く調べていけばいくほど人生を豊かにするヒントは「和文化」にこそある、そしてそれは私たち日本人の根っこを育んでいるということに気付いていった。

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