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「その道のプロ」のルーツを探る ガイドの原点−origin-

vol.040

もっとブッフェは楽しめる。マナー、楽しみ方、魅力を多角的に伝えて「食」の幸せを追求する

東龍さんが過去に行ったブッフェ数はなんと3,500!2012年にAll Aboutガイドになり、あっという間に人気はうなぎのぼり。その原点を探るとともに、ブッフェの魅力や最新事情などを伺った

「ブッフェ・食べ放題・バイキング」ガイド 東龍

文/むなかたようこ 写真/須藤明子

原点は、家庭料理にあり

台湾出身で東京育ちの東龍さん、幼い時から家庭料理と言えば、大皿にたくさんの料理が出て、自分でとって食べると言うスタイルだった。ほわほわと立ち上る湯気。食べきれない山のようなごちそう。自分で好きなものを取るワクワク感。家族の笑顔。そんな食のシーンの中で育った東龍さんが、食べるものが大好きで、ブッフェが大好きになったのも当然なのかもしれない。

高校時代は、部活動などの集まりで食べ放題によく行っていた。けれども、よく行く食べ放題の店は、凍ったままの肉が出たり、薄いドリンクだったりしたため「食べ放題=安くてまずいもの」という認識だった。

「高校3年生の時に行ったしゃぶしゃぶブッフェがめちゃくちゃおいしかったので、価値観が変わりました」

ところが、あるとき入ったブッフェレストランが、凍っていない肉で、惣菜もきちんとあって、とてもおいしかった。「ブッフェっておいしければ、お得じゃないか!」と、東龍少年は衝撃を受ける。

おりしも時代は東京ウォーカーができて、グルメ大衆化時代に突入したころ。若者の食欲をあおるようなスタイルで、毎週次から次へとおいしそうな店が紹介される。食欲旺盛な若者がじっとしていられるはずもなく、毎週のように雑誌を片手に食べに行っていた。そして20年近く。ブッフェの魅力にとりつかれた東龍さんが行ったブッフェの数は、なんと3,500にもなる。

いかに楽しむかを考える。それがブッフェの醍醐味

いったいブッフェにどれほどの魅力があるものなのだろうか。筆者にとってブッフェとは「お腹いっぱい食べないと元が取れない」とか「話の途中で中座しなければならず、落ち着かない」など、マイナスイメージだった。

ところが、東龍さんに伺うと様々なブッフェの魅力があふれ出てきた。

たくさんあるものを全部食べなくてもいい。山のようなごちそうの中から、「今日は何を選ぼうか」と自分の気持ちとお腹に相談しながら選択していくのがブッフェの醍醐味。前菜、主菜、デザートとチョイスして、自分のリズムで食べることができる。もちろん、前菜、前菜、デザートでもかまわない。その時の自分にとって大切なことは何か、自分と相談しつつ選ぼう。

ブッフェは、中座をしなければならない。が、初めてのデートや、まだよく知りあっていない間柄の人との食事など、それが、かえってガス抜きになって助かることもあるのでは?「こんなもの選びましたよ」「あ。それおいしそうですね」「それはどこにありましたか?」など、会話の糸口になったり、相手の選ぶものを見て、好みや癖がわかったりすることも。

子どもとレストランに行くのは落ち着かないもの。でもブッフェなら適度に歩き回ることができ、じっとしていられない子どもと行くにはうってつけ。しかも3歳までは無料としているところも多いのでお得感もあり。

3世代でレストランに行くときなど、祖父母の世代と若い者の世代とでは食べたいものが違って、店を選ぶだけで一苦労。けれどもブッフェなら量も料理もなにがしか食べられるものが見つかるはず。みんなが我慢せず、好きなものを食べられるのはブッフェならでは。

東龍さんのチョイスした前菜、主菜のプレート。東龍さんは、食材をいつくしむように、彩りを考え、位置を確かめ、丁寧に皿に盛っていた。

言われてみるとすべてがその通りで、いかに筆者を含め多くの人が、ブッフェについて誤解をしていたかがわかる。東龍さんは言う。

「なぜ、元を取ろうなんて思うのですか? そうではなく、いかに楽しむかということを考えましょうよ。今日はどんな組み合わせで食べようか。大好きな●●を2回食べようか。それともデザートに重点を置こうか。前菜、主菜、デザートとセットを作って食べる。何セット食べてもいいし、食べなくてもいい。前菜、前菜、主菜でもいいんです。お腹や時間と相談しながらうんと楽しんで食べてください」

軽やかでスマートな東龍さんのお話を聞いていると、元を取ろうなどと考え、皿を山盛りにし、血走っていたわが身を恥じ入るばかりである。

「ホテルのブッフェなどではカトラリーを楽しむのもいいですね。僕はカトラリーも好きですが、なかなか買えませんからブッフェで存分に楽しんでいます」

「そもそもレストランは、3割が人件費、3割が食材に費用を使っていると言われます。ブッフェは人件費をカットして食材に回しているのだから、実はお得なんですよ。そのなかでもカービングエリアで、肉を切ってくれるサービスなどがありますね。人件費をカットしている中でさらに人件費を使っているわけですからとってもお得なんですよ」

とのこと。あふれ出るブッフェの知識とその魅力についての話は尽きることがない。

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