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「その道のプロ」のルーツを探る ガイドの原点−origin-

vol.037

自分にとって必要な靴を育てるには、まず自分を知り、靴を知り、マナーを知ること

飯野さんは、靴の歴史的背景、靴業界、靴の紹介から靴の手入れまですべてを知り尽くす「紳士靴の歩く辞書」のような人。手持ちの靴は160足あり、40年前の靴にも等しく愛情を注ぐ。そんな彼が持つ想いの原点とは

「靴」ガイド 飯野 高広

文/むなかたようこ 写真/平林直己

飯野さんは待ち合わせのカフェにきっかり5分前に現れた。最近はあまり見かけない厚手のツイード地でできたチェックの3ピーススーツをサラリと着こなし、靴は「いかにも! 」な感じの英国・チャーチ社の鹿革のフルブローグ。かれこれ15年は履いているという。

そして、品のいいイギリス紳士のようなたたずまいで、ゆっくりとわかりやすい言葉を選びながらインタビューに答えてくれた。

原点となるもの

似て非なるものを比較、分析するのが好き

その文章は、的確にして緻密。靴のみならず、靴にかかわるすべての人への愛と尊敬にあふれている。繊細で丁寧な記事の秘密はなんだろう。

聞けば小さいときから「似て非なるものをシリーズや系列でそろえるのが好きだった」とか。たとえばミニカーであれば、同じモデルで色違いのものを集めたり、筆記具なら同じシリーズのボールペンとシャープペンシルのセットを欲しがったり。ちょっとした違いが気になり、比較するのが好きだったようだ。そして、青春時代のころから、「流行ファッションを追いかけるのではなく、年をとっても今と同様に使える普遍性の高いもの」に興味があったという。

原点

お父さんがいつも「いざ!」というときに履いていた勝負靴。飯野さんが丁寧にケアをし続けて41年、今でもピカピカに光り輝いている。京橋イトー靴店で購入。

自分といっしょに年をとってくれる「靴」の魅力

そんな飯野さんは、なぜ「靴」に注目したのだろうか。

紳士靴に興味を持ったきっかけは、すでに亡くなっている飯野さんのお父さんにある。ライトベージュ色のスリッポンにダークブラウン色の靴クリームを塗って、古くなった靴を新たによみがえらせて、履きこなす。休日にはゴルフクラブと一緒に熱心に靴を磨く。そんな姿がまぶたの裏に焼き付いていた。

父親の姿を見て、飯野さんも中学のころから次第に自分で靴を磨くようになっていった。成長して社会人になると、いい靴を買い、手入れをして磨き、靴に更なる愛着を注いでいった。靴は常に飯野さんとともにあり、ともに人生を歩む存在だった。

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