Human dept. スゴイ人、そろってます。

「その道のプロ」のルーツを探る ガイドの原点−origin-

vol.035

カラオケを楽しむコツは、歌の上手さだけじゃない。苦手な人にこそ伝えたいことがある

All About「カラオケ」ガイドの唯野さんはその昔、「ジャイアン」とあだ名されるほどの音痴だった。今では日本で唯一の「カラオケ評論家」(商標登録済み)として、マルチに活躍している唯野さんの原点とは

「カラオケ」ガイド 唯野 奈津実

文/むなかたようこ 写真/平林直己

ついたあだ名は「ジャイアン」

唯野さんが音楽に親しんだ最初の記憶は、5歳のころのことだという。両親から教わったばかりの将棋に夢中だった唯野少年は、将棋をモチーフにした曲として、村田英雄の「王将」を知る。この「王将」が、唯野さんが初めて興味を持った音楽であり、その後のカラオケ人生の原点となる。当時、カセットテープを何度も巻き戻しながら、拙い平仮名で歌詞を画用紙に書き連ねていたという。

唯野さん

昔は1日8時間立ちっぱなしで歌うこともよくあったとか。今も週に2〜3回はマイクを握る。

小学校時代は、「ザ・ベストテン」や「歌のトップテン」などの音楽番組を見ながら歌うのが大好き。町内会のカラオケ大会や遠足のバスでもよく歌っていたとか。
その唯野少年が、初めてカラオケボックスに行ったのは中3の卒業式のあとのこと。その時の感動は今でも忘れられない。

「今までテレビの向こう側だった歌の世界にいきなりポンと行って、まるで自分が歌手のような気分になれたのです。部屋の雰囲気、歌本、マイク、リモコン、スピーカー、ステージ、そして注目を浴びて歌うということ、すべてが感動的でした」という。

それから、すっかりカラオケにはまってしまったものの、残念なことに唯野さんのカラオケは、お世辞にも決して上手とは言えなかった。あまりにも調子の外れた歌を繰り返すものだから、歌っている最中に四方からスリッパが飛んでくることもしばしば。にもかかわらず、唯野さん自身には自分の歌が相当に酷いものであるという自覚がなかったという。その結果、唯野さんは「ジャイアン」というあだ名をつけられてしまうことになる。

かあちゃん

「かあちゃん」は、カラオケ大会でほかの参加者が歌っているのを聞いて気に入ったもの。じっくりしみじみと歌い上げる唯野さんの一八番。

下手と言われながらも大いにカラオケを楽しんでいた唯野さんだったが、「ジャイアン」のあだ名は返上したいという一心で、日夜ひとりでカラオケ店に通いながら練習を積み、工夫に工夫を重ね、10年以上もかけてカラオケ道を邁進。もともと、凝り性だったということもあるが、好きこそ物の上手なれとはよく言ったもの。少しずつ歌は上達していった。

Next

Info

All About Human dept.とは、「人」にフォーカスし、人間が持つおもしろさを追求するウェブメディアです。様々な分野から、自分のスタイルを持ち、第一線で活躍している「その道のプロ」たちをご紹介します。