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「その道のプロ」のルーツを探る ガイドの原点−origin-

vol.016

父親の子育てで重要なのは
妻を人として、ひとりの女性として敬うこと

リクルート勤務から一転。自宅を仕事場にしたおおたとしまささん。子育てをしていく上で、家で仕事をすることのメリットやコツは? パパの育児の悩みの原因は? 葛藤を恐れず、妻や子どもと向き合ってきたおおたさんのエピソード。

「子育て」ガイド おおた としまさ

文/三田村蕗子 写真/金田邦男

10歳の長男を連れてアフリカの大地へ

「子どもが10歳になったらアフリカに連れて行こう」
まだ結婚も子どもも遠い未来の話だった学生時代に、おおたさんはこう決意した。

「大学で教育学の授業を受けたときに、『子どものアイデンティティが確立するのは10歳の頃。そのときにどこにいるかが、その後の人生に大きな影響を与える』という話を聞いたんです。だったら、僕は時代や国境とも関係がない、何万年も同じ光景が続いているアフリカの大地に行って、子どもに『これが地球だよ』と話す機会を作ろうと考えました」

夢は今年7月に結実した。長男が10歳になったのだ。サファリを体験し、マサイ族に会い、人類発祥の地とされる渓谷に足を運んだ9日間は、おおたさん親子に地球のあるがままの姿を刻みつけ、忘れられない思い出を作った。

「サファリではヒョウが木の上に運んだヌーの死体を食べていた。息子にとってはショッキングな光景でしたが、食のサイクルをリアルに感じ取れるよい体験になったようです。

教育や貧困についてもよく話しました。僕は勉強も本能だと思うんですよ。でも日本にいると考える間もなく、周囲から与えられてしまい、勉強が単なる作業になってしまう。日本にいるとなかなか気づけませんが、生きていくうえで勉強や体力は欠かせません。それを伝えられて本当によかった。

本人がどれだけ理解したのかはわかりませんが(笑)、5年後、10年後にきっとこの話を思い出し、何らかの指針になると信じています」

おおたさんは、育児を3章に分けて考えている。誕生から6歳ぐらいまでは子どもを溺愛する第1章、そこから10歳までの第2章は親が子どもに哲学を注入する期間。第3章で、子どもは思春期に入る。

「そこで親ができるのは、大人同士として見守ることだけ」と一抹の寂しさを隠せないおおたさんだが、実は長男が1歳を迎えるまでは父親としての自覚はあまりなかったという。

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