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「その道のプロ」のルーツを探る ガイドの原点−origin-

vol.015

旅行会社から旅館の事業再生、オプショナルツアー作りへ
旅行会社に依存しない、本当にいい宿を伝えたい

これまで見てきた旅館は1,000軒以上。観光地や旅館の事業診断、事業計画、商品開発を仕事とする傍ら、プライベートでも各地の旅館を訪れている全国の旅館を知り尽くした旅館の専門家。旅館マエストロ 井門隆夫の原点とは。

「旅館」ガイド 井門 隆夫

文/山本初美 写真/金田邦男

宿に興味を抱いたのは中学時代

「小学生の頃は鉄ちゃん(鉄道が趣味)。中学生になるとユースホステルを利用して全国を旅するようになりました」と、宿に興味を持ち始めた頃を振り返る。ユースホステルとは全国にある1泊2000円程度で泊まれる宿。中学時代の作文には“ユースホステルのオーナーになりたい”とさえ綴っていたという。

キャプション文:沖縄支店を希望するも旭川支店の配属に。しかし、ここでの経験が旅館を知るきっかけになったと井門さん。

沖縄支店を希望するも旭川支店の配属に。しかし、ここでの経験が旅館を知るきっかけになったと井門さん。

大学生の頃、運よくも先生の鞄持ちに任命された井門さんは、京都・祇園界隈にある一見さんでは滅多に泊まることのできない片泊まりの宿(1泊朝食のみ)に毎年足を運んだ。築数百年もの歴史を刻む木造の小さな宿、夕食は出ず近隣の料亭や小料理屋で京の夜を楽しむ―はじめて体験する京都の旅館に、こんな世界もあるんだと心が躍ったという。

旅行会社に入社して知った旅館の姿

旅が好きだから受けてみるか―気軽な気持ちで受けた大手旅行会社に採用されたものの、配属されたのは旭川支店。

「とにかく小さな支店だったので、営業や切符の手配、修学旅行を手掛けたりと、あらゆることを行いました。団体旅行の添乗もしていたので、多くの旅館を泊まり歩けるようになったんです」

旅館を知れば知るほどわかったのは、旅館のマイナス点。けれど、決して旅館を嫌いになることはなかった。むしろ旅館の経営者とも知り合いになると同朋意識が芽生え、もっとお客さんを満足させるためにできることはないか―そんな思いが悶々と積み重なっていったと語る。

30歳を前に東京の本社勤務となり、旅館やホテルを相手に商品を作ったり、品質管理をする仕事に就いた。

「品質管理とは、お客様からのアンケートを集約して統計的な評価をとる仕事。次第に2000軒の旅館の総合評価が頭に入りました」

この2000軒の旅館には、アンケート評価を上げるための説明を行いに足を運んだという。しかし2000軒を管理するうちに、あることに気づく。

「旅行会社に依存している旅館は決していい宿とはいえない。本当にいい宿は、なじみ客やファンがいて、広告をださなくても成り立っている。旅館はそれを目指すべきだし、旅行会社もそういった旅館とも付き合っていくべきだと思ったんです」

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