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「その道のプロ」のルーツを探る ガイドの原点−origin-

vol.002

文房具が特別な存在に変わったきっかけは
幼いころ、母に買ってもらったグルービーケース

人生の折り返し地点に立ったときに考えた、「これからの自分」。小学生の頃から大好きだった文房具を仕事にしようと。その「原点」を探る。

「ステーショナリー」ガイド 土橋 正

文/山本初美 写真/金田邦男

ペンケースと万年筆

万年筆は2〜30本あり、その時々で、お気に入りのものを持ち歩く

道具としての文房具から、楽しみな存在へ

気に入った文具があれば、その日の気分がよくなり、お気に入りの文房具が、やる気を奮いたたせてくれるという土橋さん。その原点は小学生にさかのぼる。

「私の母は、家具やインテリア小物を扱う店が好きな人で、当時、よく一緒に出かけていました。そういった店の隅には輸入ものや素敵なデザインの文房具がおいてあるんです。あるとき、格好いいデザインのグルービーケース(厚紙でできたA4サイズほどのボックス)を見つけて、母にねだって買ってもらいました。これを塾に持っていくのが楽しくて、嫌いだった塾通いが楽しみになったんですよね」

人とは違う文房具は、友達への自慢ではなく、持っていること自体が嬉しかった。「単なる道具でしかなかった文房具が、特別な存在へと変わっていきました」

赤・青鉛筆

最近のお気に入りは三菱の赤・青鉛筆。薄くぬるとマーカーにも

32歳、人生の折り返し地点で

ずっと文房具は好きだったものの、この時はまだ仕事にしようとは思っていなかった。大学卒業の時は、展示会を主催する会社へ就職。「入社したのは10人。それぞれが違う業界の展示会に配属される中、私は偶然にも文房具の展示会に配属されたんです。そしてこの時期、展示会を通じたくさんの文具を見て触れることができました」

以降10年間、展示会ビジネスに身を置いていた。しかし、32歳を迎えた頃、人生70歳までだとしたら、今が折り返し地点ではないかと思うように。「今のままの仕事で同じ生活が繰り返されるとしたら、それは本当に幸せなのか……と自分に問いかけてみたところ、そうじゃないような気がしたんです。今、判断しないと、このまま進んでしまう。この時、自分で何か仕事がしたい、独立したいと強く思うようになったんです」

とはいえ、一体自分は何ができるのだろうか。そう考えていた時、元起業ガイドである藤井孝一氏の著書に感銘を受けた。そこには、自分の得意分野、好きなことをビジネスにすればいいと記されていた。自分の得意分野と思いめぐらせ、浮かんだキーワードこそが“文房具”だった。これまで多くの文房具に携わり、仕事で培った経験が、自分でビジネスをしていく上できっと役に立つ。そしてなにより、文房具が好きだという思い。土橋さんは、文房具をテーマに、独立することを決意した。

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