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vol.033

ダンサー・平山素子×奇跡(前編)

奇跡を舞台で再現する
平山素子がコンテンポラリーダンスをつくる理由

コンテンポラリーダンスには明確な定義がない。時代の空気を、ダンサーの感性や身体を通して表現しているものが大きくコンテンポラリーダンスとして括られている。今回は新国立劇場での6月の公演『フランス印象派ダンス Trip Triptych』を控えている平山素子さんにダンサーになるまでの道のりを伺った。

All About「クラシック音楽」ガイド 大塚晋さんがリスペクト

平山素子さんのダンスに接することは「見る」という五感の一部の話ではなく「体験」という言葉の方がふさわしい。研ぎ澄まされた知的な身体と感覚が生み出す動きは、軽々と言葉を跳び越え、奇跡的な世界を現出させる。命そのものである「身体」の圧倒的な存在感を体験してみませんか?

取材・文/中村桃子(All About編集部) 写真/三浦太輔

——ダンサーのキャリアのはじまりは想像できるんです。幼少期にお稽古としてバレエを習ったり、若しくは、少し成長して仲間とヒップホップやジャズダンスを踊りはじめたりする。コンテンポラリー自体の定義もあやふやですし、それを目指すというのも稀有だと思うのですが、コンテンポラリーダンサーやコンテンポラリーダンスのクリエイターとしてのキャリアはどういった経緯ではじまりますか。

様々なタイプがあります。ダンサーとして活動し、後に次のキャリアとして振付をはじめる方もいれば、最初からダンスを創りたいと若くして目指したりします。ただ、コンテンポラリーダンスはまだ歴史も浅く、こうすればこうなるという道筋がはっきりと示されている世界ではありません。皆、自分で道を切り開いているんですよ。

平山素子氏

平山素子がコンテンポラリーダンスをはじめるまで

——平山さんの場合は、どういった経緯でダンサーになったのでしょう。

幼少からバレエを習いましたが、ダンス自体が好きかと聞かれると、答えは「微妙」なんです。ダンサーという仕事にも過度な夢や期待もありませんでした。私は進学校から当然のように大学、大学院に進学しました。大学の授業で、若松美黄氏と出会って自由な発想で身体を使って創造することに初めて興味を持ちました。これをダンスで表現したらどなるんだろうか?なんて考えているうちに続いて、いつの間にかダンサーということになっていました。

——それでも作品をつくり、発表する流れがあったんですね。

本音でお話しますと、振付を始めたのは自分が踊ってみたいものとなかなか出会わなかったことと、振付家に依頼する資金がなく、自作自演をしたのがきっかけでした。その作品『Revelation』で1999年の世界バレエ&モダンダンスコンクールにおいて金メダルとニジンスキー賞を受賞しました。この作品は後にボリショイバレエ団のプリマであるスヴェトラーナ・ザハーロワに踊ってもらうことになりました。初演時には、まさかそんなことになるとは思っていませんでした。

——そこまではソロ作品。そのあとに振付のキャリアも重くなってくるんですね。

2005年に新国立劇場の制作でデュエット 『Butterfly』を発表しました。人生は「積み重ね」だと思っていたのが、「カウントダウン」だと思うようになった時期に創作したものです。このあと、急に踊れなくなるかもしれない。いきなり全てが消滅する。そんな危機感のなかで、目の前のことに真摯に向き合い続けてダンスとして表すだけで精一杯になっているのに、客席の湿度がふーっと高くなっていくのが分かり、感動がこちらにまで伝わってきたのを覚えています。

小山進氏

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