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vol.031

作家・伊集院静×大人の男

男を大人にしていく仕事とは?
伊集院静の語る大人の流儀

大ベストセラーエッセイ『大人の流儀』では、誰もが漠然と感じていた何かを、グッとくる日本語で突いてくれる。そんな伊集院さんに、人を大人にしてくれる「仕事」について伺うことにした。

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「会社を選ぶな、人を選べ」という伊集院氏の指摘は、人生を切り拓くための大原則である。変化が激しい時代だからこそ、目先の損得勘定ではなく、人の感情や志に注目した者だけが生き残れる。「先行きを不安がる暇はない、ただやるだけでいい」、現代を生きるすべての大人に聞かせたい。

取材・文/今井早智 写真/三浦太輔

——エッセイを拝読していると、仕事が人をつくるという考え方をお持ちのようです。

そうですね。もちろん、小学生も高校生も若者はすべて社会の中の大切な人です。でも、それは、人間として生きていくうえの道の途上の人であって、人は、社会人になって働こうとするとき初めて、その人自体の生きる姿勢が表にあらわれるものなんです。子供時代や学生時代は、社会に出て働くことの序文に過ぎない。

なぜかといえば、大人になるというのはね、自分のした行動に対して責任をとるということ。そのうえで、「自分だけのために生きない」ということです。子供は皆一生懸命だけれど、それはまだ自分に対して精一杯だから。己以外の誰かのために生きるというのは、いちばん豊かな生き方で、大人になりきれないうちはできません。正しい仕事というのは、必ず誰かの役に立っているんです。

作家・伊集院静

就職するときに、企業を見るポイント

——正しい仕事を、それができる企業を、私たちはどうやって選べばいいんでしょう。

周りの人を見なさい、たとえば先輩社員を。経営者を。企業の価値というのはね、資本金や株価じゃない、そこで働く人間なんです。企業というのは、一個の大きな車輪のようなものが動いてる、それをみんなで押していくんです。車輪には芯の棒があります。それを動かすためには気迫、情熱が要るんです。その熱は、働く人間一人ひとりが持っている熱です。企業の底力は人間力なんですよ。

その熱の集約で動く方向も変わってきて、熱が強ければ、風が吹いても、登り坂でも、車輪は動く。しかも、動きやすいほうに動くんじゃなくて、動かさなきゃならないほうに動いていくんです。車輪をどんなふうに動かしていくかという「形」、それが企業理念であって、そこで他利──他の人のために役立つということが大事になってくるんです。

——ただ儲けるだけが目的なら企業と呼べない。繰り返しそうおっしゃっていますね。

金儲けでやっても続かないんです。そこが仕事の凄いところで、「うちはもう千年になります」という商店が日本にもたくさんあるけれど、共通しているのは単なる儲けでやっていたら続かない。そこには必ず仕事の理念という軸があります。

もうひとつ、その商店に勤めた人たちがきちんとした人生を送れたということですね。自分が家族をもって十分に生きていけたから、子どもたちもまたそこに送りだそうとする。ヨーロッパの歴史でいうとギルド制度がそうやって(人と仕事を)守ってきたわけで、だから、終身雇用制度は大事なんですよ。企業がすばらしいのは、働く人の人生も背負っている点にあるんです。年功序列はね、全部いいかっていうと、一生懸命働いてるそばで爪切ってる人もいますから(笑)。でも、そういうことは淘汰されていくんです、今までの雇用制度では。

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