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vol.024

映画監督・西川美和×女性の幸せ(後編)

ひとつの道を選びとり働くこと
映画監督 西川美和の場合

28歳の時に『蛇イチゴ』で映画監督としてデビュー。以降、現在に至るまで『ゆれる』『ディアドクター』など秀作を撮り続け、2012年9月には『夢売るふたり』を公開する西川美和監督。女性が真摯に仕事に打ち込む、ひとつの事例。そこにある想いと覚悟とは?

All About「恋愛」ガイド 芳麗さんがリスペクト

西川作品の魅力は、その稀有な描写力。人が心の奥底に隠し持っている感情や自覚しがたい心理を、繊細に、時に大胆に描いていて、深みまで連れ去られます。デビュー作『蛇イチゴ』から毎回インタビューの機会に恵まれていますが、いち女性としても本当に楽しく興味深い方で、心より尊敬しています。

取材・文/芳麗 写真/三浦太輔

——もうひとつ。映画を拝見しながら、どの道を選んでも女は大変だと改めて感じました。登場する女性たちは、みんな生きづらそうだし、現実の女性もそうだと思います。仕事したいけど、結婚もしたいし、子どもも産みたい。女としても愛されたいし、そのためには美しくなきゃダメだというコンプレックスや強迫観念もあったりして……。

わかりますよ。今の女性は、いろんなものに翻弄されていますよね。「自立せねばならない」とか、「若くキレイであり続けるのが良い」とか。でも、その大半は、ここ数十年で生まれた価値観ですよね。祖母や母親がやってきてないことを急にあれこれやろうとしてもできない。DNAが慣れていないですから大変ですよ。

——恋愛結婚だって、日本人にとってはここ数十年のことですし。

昔は、顔も知らない相手のところに嫁いでいましたからね。

中谷美紀氏

——今の女性が苦しいのは、課題と情報がありすぎるからだろうなとも思います。すべてを手に入れることが素晴らしくて幸せであるというモデルケースに囚われて苦しんでいる。

隣の芝生は青く見えがちなんですよね。裕福な家に入って子育てしている女性は、端から見れば、すべてを手に入れたように見えますけど、独身で確固たる仕事をしている女性を見て、「自分は何もなし得ていない」とクヨクヨしていたりしますから。でも、それも、ここ最近のことじゃないんですか? 

——ここ20年くらいのことのような気がします。

あれこれ欲しがることで、集中力が散漫になってるのかなと思います。たとえば、女性の「好き」って、怪しい時がありますよね。男の人は、自分が没頭しているもののことが本当に好きだもん。そこは、すごく素敵だと思うんです。でも、女性の「好き」はそれに比べると散漫で移ろいやすいところがありますよね。例えば、付き合った人の趣味に染まって、別れると二度と触れなくなるとか。

——あります、あります(笑)

あれは女性ならではの適応能力でもありますよね。己を持たずに、何にでも流されようとするところとか、ずるくて器用でしぶとくて、嫌になっちゃいますよね(笑)

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