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vol.020

アーティスト・青木涼子×伝統と革新(後編)

能と現代音楽。ふたつのエッジから生まれるもの
能の可能性を広げる青木涼子の挑戦

能の要素のなかでも、謡(うたい)から、現代音楽との接点を見つけていく青木涼子。西洋中心に活動してきた理由と、今後の展開について。

All About「おけいこ」ガイド山口 佐知子さんがリスペクト

「好き」を仕事にする難しさと、「能」という伝統芸能特有のしきたりの重さ。それらを、まるで軽やかに越えたかのように見せてくれる青木さん。実はものすごいことをやってのけているのに声高に語らず、粛々と歩んでいくスタイルは、これからの私たちの生き方のお手本にもなりそうです。

取材・文/中村桃子(All About編集部) 写真/三浦太輔 ヘアメイク/田所千佳

――近々、大分で公演があるんですね。これもまた、「現代音楽といえば」で真っ先に名前があがってくる、作曲家 ジョン・ケージ。

今年は生誕100年ということで、ジョン・ケージ・イヤーなんです。現代音楽のスーパーカルテットである、アルディッティ弦楽四重奏団がイギリスより来日し、ジョン・ケージを主軸に日本の伝統の能や狂言とコラボレーションをする予定です。私は9月22日に故郷の大分で、彼らと共演します。ジョン・ケージの「4部の弦楽四重奏曲」と細川俊夫さんの「沈黙の花」に出演します。

――ジョン・ケージと能…どんな公演を考えられているんですか?

ジョン・ケージは、日本にインスパイアされた作曲家で、鈴木大拙に禅を学び、音楽の中で「沈黙」を考えた作曲家です。

「4部の弦楽四重奏曲」は四季をテーマに書かれた曲で、今回は京都・慈照寺(銀閣寺)花方の佐野珠寳さんに加わっていただく予定です。能には季節がテーマの曲が多いので、能の古典とお花という日本の伝統とジョン・ケージの音楽世界を対比させる作品をつくろうと思っています。

――細川俊夫さんの「沈黙の花」は既に発表したことがあるものですよね?

はい。2011年のミュンヘン室内管弦楽団と公演をやりました。能では「花」というのは大事な言葉ですし、「沈黙」は能の「間」の概念に通じるものなんです。

ジョン・ケージは「沈黙」を考えた作曲家だと言いましたが、日本人である細川俊夫さんの考える「沈黙」との対比も面白いのではと思います。この曲は、もともとアルディッティ弦楽四重奏団のために書かれた曲だったので、今回ようやくその曲を彼らとできるので楽しみです。

青木涼子氏

――この公演はどんな経緯で実現することになったんですか?

アルディッティ弦楽四重奏団のリーダーのアーヴィン・アルディッティと2008年にパリで細川俊夫さんの紹介で知り合ったんです。

それ以来、可愛がってもらっていて、ヨーロッパでも国内でも、都合が合うときは、よく食事に連れて行ってもらっていました。いつか一緒にやりたいね、と言ってくれていて。

とうとうそういう日が来たのかとわくわくする反面、やはり緊張しますね。

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