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vol.015
切り絵作家・福井 利佐×子育てと制作(前編)
漆黒の線と鮮やかな色紙で構成される、繊細且つ躍動感溢れる作品。挿画や装丁のみならず、企業とのコラボレーションアイテムやステージ装飾など多方面で活躍中。切り絵作家 福井利佐の原点は幼少期にあった。
取材・文/中村桃子(All About編集部) 写真/三浦太輔
――切り絵を始めたのはどんなことがきっかけだったんですか?
元々絵が好きで、絵の関係のことをやろうということで多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科に行ったんです。
紙を使って構成する授業があったときに、小学校のときの切り絵クラブが楽しかったことを思い出して、やってみたら、面白かったんです。他の人と同じことをやってもしょうがないなと思うなかで切り絵をしている人はいなかったのもあり、「これだ」と思いました。
グラフィックを表現するには、色々な方法があったのですが、紙を切り抜いていくというのが性に合っていたというか……。というのも、実家が美容室だったので、小さいときから切るという動作や、床にたくさんの毛が落ちているので、黒い線を日常的に眼にしていたんです。親が手作業ができるということや、はさみという道具にとてもなじんでいたんです。
そのためなのか、自分が元々そういう感覚が強いのか、手でできる作業というのもとても好きなんです。パソコンを使って自分の加えた力がどうやって形になっていくか見えないものは不安なんです。
紙を切り抜いていくと、紙を切る感覚や、切ったものを抜いていく感覚もありますし、それが直ぐ見られるのも良いんです。紙自体に触れている感覚や、ざくっとはさみを入れていく感覚も好きですね。
――体感を重視していらっしゃるんですね。
そうですね。体感は大切にしていますね。あとは、紙という媒体を使うことで、表現に制限が出るんです。制限があって、そのなかでできる可能性を探るほうが、作品としての最終的な落とし込みがみえやすいです。
――切り絵ではシルエットを表現している作品を多く見るように思うのですが、福井さんの作品は、シルエットではなくて、そのものを表していますよね?
そうなんです。平面というより、空間を表したくて。平面だと広がりに限界があるんです。絵の中に、空間や、ものの本質が出てくるような奥行きのあるものにしたいんです。
「切り絵だな」というふうに見てもらうんじゃなくて、絵として良いなと思ってもらって、よくよく見たら切り絵だったというのができたら良いんです。他の絵と並んでも遜色ないものとして見てもらえるようになっていたら嬉しいですよね。