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vol.002

放送作家・小山薫堂 ×日光金谷ホテル(後編)

誰かの喜びが、自分の幸せに
小山薫堂が仕事で大切にしている3つのこと

いまや放送作家としてだけなく、映画「おくりびと」の脚本やラジオパーソナリティーなど、多彩な顔を持つ小山薫堂氏。その彼が、活気のなくなっていた老舗ホテルの再建に着手した時、何を思い、どう動いたのか。

All About「ホテル」ガイド村上 実さんがリスペクト

「泊まるだけで元気になれるビタミンホテル」、このコンセプトは既存のホテルにはない極めてユニークなインパクトのあるメッセージです。ホテル業界は新たなトレンド作りのために新たなイノベ―ターの登場を常に期待しています。

取材・文/永堀アツオ 写真/三浦太輔

テレビ番組を企画する放送作家として、キャリアをスタートさせた小山薫堂氏。現在は、コラムや小説の執筆、ラジオパーソナリティーやブランドアドバイザーとしても活躍中。03年には、現存する日本最古の西洋式ホテルである日光金谷ホテルの顧問に就任し、同年にホテル・イン・ホテルをコンセプトにした「N35ルーム」をプロデュース。08年には「オレンジ・スイート」をオープンし、多くのメディアから注目を集めた。プロのホテルマンではない彼が、どうやって老舗ホテルを再建させたのか。多方面のフィールドに活躍の場を広げ続ける彼の仕事のなかでも、あえてホテルとの関わりに焦点を絞り、仕事における姿勢と発想の源を聞いた。

前編「ホテルマンではないからこそ、客の目線から、日光金谷ホテルを変えるヒントが生まれた」はこちら。

日光金谷ホテル「N35ルーム」

日光金谷ホテル「N35ルーム」

——金谷ホテルに、他の部屋とはコンセプトが異なる「N35ルーム」を作ったきっかけを教えて下さい。

当時、ダイニングからフロントに移動になった男性がいました。結構、若手だったのですが、参加自由のオープンな会議のときに、「小山さんが好きな部屋を1つ作ったら話題にならないですか?」と提案してくれたんです。

——彼の何気ないひと言が企画の出発点になったんですね。

そうですね。そこで、僕はただ作っても面白くないなと思ったので、部屋を改装するまでのプロセスをコンテンツにしようと考えたんです。

その時の広告予算は、年に4回、地元の地方新聞に広告を出すレベルだったので、その広告費を使って、傾いた床やはげた壁紙をリノベーションしました。あとのものは、タイアップとしてもらってくるような発想から、「N35ルーム」が誕生しました。

「N35ルーム」の成果、そして「オレンジ・スイート」の誕生

——部屋作りのなかで特にこだわっていたことはありますか?

まずは自分が好きなもの、自分が心地いいもの、僕が人に勧めたいものを体験できる部屋にしようと思ったんです。例えば、「日本に入ってきたばかりのネスプレッソがお勧めなんだけど、一度、飲んでもらえたら、良さが分かるよな」ということで、ネスプレッソを提供してもらいました。ソファーはアルフレックスがいいなとか、オーディオはLINNがいいなとか。

雑誌の連載と連動させながら、少しずつ備品を集めていって。完成後に、僕の事務所「N35」にちなんだ「N35ルーム」という名前をつけました。

小山薫堂氏

——「N35ルーム」が様々なメディアに取り上げられたことが金谷ホテル自体のPRにもなり、集客アップにもつながる結果となりました。そして、08年には、「ホテル・イン・ホテル」の第2弾として「オレンジ・スイート」を手がけられていますが、この経緯は?

「N35ルーム」は、もともとあまり使っていなかった部屋だったのですが、稼働率が上がったことで、「このやり方は良かったね」という話になりました。

ある日、会議中に全部屋の稼働率と売上高を見ていたら、一部屋だけ極端に売上のない部屋があったので聞いてみたら、実はホテル内で一番広い部屋だけど少し修繕が必要なので普段は稼働させていないということでした。「じゃあ、今度はその部屋の改装費を僕の会社に出させてください」というお願いをしました。

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