Human dept. スゴイ人、そろってます。

AllAboutガイドがリスペクト プロの流儀-mode-

vol.001

放送作家・小山薫堂 × 日光金谷ホテル(前編)

ホテルマンではないからこそ、客の目線から、
日光金谷ホテルを変えるヒントが生まれた

いまや放送作家としてだけなく、映画「おくりびと」の脚本やラジオパーソナリティーなど、多彩な顔を持つ小山薫堂氏。その彼が、活気のなくなっていた老舗ホテルの再建に着手した時、何を思い、どう動いたのか。

All About「ホテル」ガイド村上 実さんがリスペクト

「泊まるだけで元気になれるビタミンホテル」、このコンセプトは既存のホテルにはない極めてユニークなインパクトのあるメッセージです。ホテル業界は新たなトレンド作りのために新たなイノベ―ターの登場を常に期待しています。

取材・文/永堀アツオ 写真/三浦太輔

テレビ番組を企画する放送作家として、キャリアをスタートさせた小山薫堂氏。現在は、コラムや小説の執筆、ラジオパーソナリティーやブランドアドバイザーとしても活躍中。03年には、現存する日本最古の西洋式ホテルである日光金谷ホテルの顧問に就任し、同年にホテル・イン・ホテルをコンセプトにした「N35ルーム」をプロデュース。08年には「オレンジ・スイート」をオープンし、多くのメディアから注目を集めた。プロのホテルマンではない彼が、どうやって老舗ホテルを再建させたのか。多方面のフィールドに活躍の場を広げ続ける彼の仕事のなかでも、あえてホテルとの関わりに焦点を絞り、仕事における姿勢と発想の源を聞いた。

小山 薫堂氏

——改めて、小山さんが金谷ホテルの顧問になられた経緯からお伺いしてもよろしいですか?

7年前くらいになりますかね。もともと金谷ホテルが大好きで、学生時代もよく行っていたんです。でも、大人になってから、約20年ぶりくらいに行ったら、ずいぶん変わっていました。ホテル自体に元気がなかったんですね。

——創業者のひ孫さんで、自由の森学園の事務局長をやっていた井上槇子さんが社長に就任された時期ですよね。

そうなんです。僕の友人が井上さんの知り合いだったのですが、井上さんが社長になったということで挨拶にいらしっしゃいました。

そこで、例えば「天然のスケートリンクに面している倉庫をサロンにしたらいいんじゃないですか?」とか「倉庫から出てきた昔のメニューが面白いから復活させたらどうですか?」という話をしたら、いろいろ教えて下さいという話になりました。最初は電話で対応していたんですけど、そのうちに相談の内容がへヴィなものになってきたんです。

「僕も忙しいので、これ以上はあんまり……」ということで、「では仕事として、ホテルに顧問として入ってくれませんか?」という話になりました。 “良質なクレーマー”みたいなところから始まっています。

——日常的に周囲をよく観察されてるということですよね。

これは、著書の『考えないヒント』にも書いているんですけど、「勝手にテコ入れ」というのをよくやっています。「もっとこうしたら、効率よくできるのにな」とか「あの空間はもったいないな」ってことをつい、考えてしまうんです。まぁ、せっかちなんですよ(笑)

そこで働く人たちが、
自分のホテルに愛着をもてるように

——では、顧問に就任されてから、最初にどんな仕事をされましたか?

「名刺を作る」ということですね。これは、ホテルに向かう東武特急スペーシア号のなかで思い付きました。

——直前だったんですね(笑) 名刺をつくることでどんな効果がありましたか?

そのときに必要だったのは2つ。ホテルマンが自分のホテルに愛着をもつこと。そして、お客さまともっと積極的にコミュニケーションをとること。

そのためにまず、社員全員に金谷ホテルのなかで好きな場所を聞いて、カメラマンに撮ってもらいました。その中から30カ所を選んで、それぞれの名刺の裏面にプリントすることにしました。

いままで名刺を持ってなかった厨房の若手や掃除の従業員にも作ったんですね。それぞれが好きな絵柄を選んだ名刺を作ることで、自分の好きな場所を自分に問い直し、ホテルへの愛着を確かめることができたのが大きかったですね。

日光金谷ホテルのスタッフ名刺

日光金谷ホテルのスタッフ名刺

日光金谷ホテルのオリジナルピンバッジ

日光金谷ホテルのオリジナルピンバッジ

  • 1
  • 2

Next

Info

All About Human dept.とは、「人」にフォーカスし、人間が持つおもしろさを追求するウェブメディアです。様々な分野から、自分のスタイルを持ち、第一線で活躍している「その道のプロ」たちをご紹介します。