食と健康

ガイド:南 恵子

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掲載日: 2003年 02月 03日

飲酒でアルツハイマー予防は誤解

◆飲酒時に働く酵素がアルツハイマーを抑制
2003年1月29日、日本医科大学老人病研究所・太田成男所長グループは、お酒を飲んだ時に働く「アルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)が、アルツハイマー病と関係が深いとされる別の有毒物質も分解する」と報告しました。

アルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)は、アルデヒド脱水素酵素(14種類の類似の酵素がある)の一つで、お酒を飲んで顔が赤くなったり、頭痛や吐き気などの二日酔いの原因となる毒性の強いアセトアルデヒドを主に分解します。

◆お酒に弱い人はアルツハイマー病になる確率が高い?
3年前太田所長らは、「ALDH2の働きが弱い遺伝子を持つ人は、強い人より1.6倍アルツハイマー病発病の可能性が高い。統計的に99.9%確かである」という結果を発表しました。ところがそれ以来「お酒を飲めば予防になる」との誤解が目立ち、それを危惧してさらに詳しい仕組みを解明することになりました。

今回の調査対象は、愛知県大府市に住む40〜70歳代の2400人。血液検査から、「ALDH2の働きが弱い人には、有毒物質の4-ヒドロキシノネナールを生み出す物質が多い」傾向が見られました。

この有毒物質は● アルツハイマー病患者の脳細胞に多量にある● ALDH2が分解するアセトアルデヒドと共通した化学構造をもつということに太田所長らは注目し、ネズミの細胞実験で、ALDH2が有毒物質をも抑えることを確認しました。つまり、お酒に弱い人はALDH2の働きが弱いので、強い人と比べると、結果としてアルツハイマー病になりやすいとみられています。(しかし「1.6倍」という数字はそんなに大きくはなく、むしろ性格的、遺伝子的な因子の方がなりやすさは強いと言えるそうです。お酒に弱い人は落ち込まないでくださいよ!)

◆お酒とアルツハイマーの関係
確かに近年「お酒を飲めば、アルツハイマーや痴呆症の発症を抑えられる」という誤解につながるような海外の調査報告がいくつかありました。

たとえば、1997年3月フランス・ボルドー大学病院センターでは、地域の高齢者3777名を対象に3年間にわたり追跡調査をしました。対象者の95%以上は赤ワインを飲んでおり、調査の結果、ワインを毎日グラスで3〜4杯(250〜500ml/1日)飲んでいる人は、アルツハイマー病の発症率が、お酒をまったく飲まない人のわずか1/4。ワインを適量飲むことは何ら悪影響はないと報告しています。

またオランダのエラスムス大医学部が55歳以上の約8000人を6年間調べた結果、ワイン、ビールなどのお酒の種類にかかわらず、少量から適度の酒を毎日たしなむ高齢者は、アルツハイマー病などさまざまな痴呆症になる確率が最大70%小さくなると報告しました。

◆誤解の元となったのは・・・
こういうさまざまな研究報告なども混じりあい「お酒を飲むとアルツハイマーが予防できる」という思い込みが広がったのではないかと推測します。

ここでポイントなのは、「日本人と外国人は、体質が異なる」ということです。 日本人は、「ALDH2」の働きが弱いタイプが約4割いる一方、欧米人などの白色人種は弱い人が極端に少ないそうです。そういう遺伝的体質の違いを考慮すると、日本人の場合のそのままのデータはあてはまらないのではないでしょうか。

太田所長は「無理に酒を飲んでも予防にはならないので注意を」と話しています。「予防については、現段階では明確にはいえず、アルツハイマー病になりやすさは遺伝子が決めていて、飲酒は関係ない、また飲酒によって遺伝子型を変えることはできない」そうです。
「アルツハイマーを予防するため」と努力して飲んでいた方々、深酒にはくれぐれもご注意を!

関連リンク
「お酒とアルツハイマー病の関係」(日本医科大学老人病研究所)
痴呆症・アルツハイマー症とワイン飲酒の関係(メルシャン)
アルツハイマー病予防に和食(食と健康)

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