All About トップ    編集長インタビュー    第43回:「タイ」ガイド  清水 千佳


「タイ」ガイド:清水 千佳

第43回:「タイ」ガイド
清水 千佳

2007年4月13日


「All About」を支える約490名のガイド。ガイドは一つのテーマに一人だけ。厳しいいくつもの審査を通りぬけ、そのテーマのナビゲーターとなる。彼らがそのテーマに魅せられた理由とは? All Aboutを通して発信したいこととは何なのか? このインタビューでガイドたちの素顔に迫ります。

タイと日本をつなぐ仕事でオンリーワンに。大好きなタイのいろいろな顔を伝えていきたい。

「タイ」ガイド:清水 千佳
「タイ」ガイド:清水 千佳

左:「タイ」ガイド
清水 千佳/
右:編集長 森川 さゆり

編集長:森川さゆりと「タイ」ガイド:清水 千佳

Photo by Hideo Matsumura


ガイドインタビュー第43回目は、「タイ」ガイドの清水千佳さん。学生時代からタイへ通い始め、現在はタイと日本をつなぐ会社の社長として精力的に活躍されています。今や年間130万人以上の日本人が観光で訪れるタイ。その知られざる魅力について、じっくり語っていただきました。

自分はアジア人

アジア人としてのアイデンティティを持ちたい

――
清水さんがタイと関わった、最初のきっかけは何だったんですか?

清水
18歳でイギリスに留学したんですが、それまで四国や九州で暮らしていて海外に出たことがなかったのに、そのとき突然、周りが欧米人ばかりになったんです。そこで初めて自分がアジア人なんだってことを自覚して、「アジア人としてのアイデンティティを持ちたい」って漠然と思ったんです。それから日本に帰って、どこかしらアジアに自分の足で行って自分の目で見てみたいなと思っていたとき、タイ国際航空のCMで「タイは若いうちに行け」というフレーズを聞いて、「タイに行かなきゃ」って。それがきっかけです。「若いうちにしか感じられないものがタイにはあるんだ」って信じ込んでしまって(笑)。それが大学2年の頃で、友達と1ヶ月くらい滞在し、タイを拠点にしてインドやラオスなどを回りました。その後は、特に気に入ったタイに1人でも行くようになりました。

――
そのとき、いろいろな人と接したのですね。

清水
そうですね。旅行やフィールドワークをしているときはゲストハウスに泊まり、出会ったタイ人とは英語を使ってコミュニケーションをとりました。文化について話すと日本とは違うし、日常生活に仏教や精霊信仰が普通にあるのが新鮮で、「これは何なんだろう、日本とどういう風に違うんだろう」と興味を持ち始めて…。だから、大学でタイの社会人類学に関する授業をとり始めたんです。先生もタイに住んでいた人だったので、私がタイに行くのはウエルカム。「あなたの目でタイを見てきなさい」と。当時はまとまった休みがあれば必ずタイへ行き、日本には時々帰ってくる感じでした。大学卒業後は単身でタイへ渡り、就職活動をしました。そしてバンコクYMCAで日本とタイを繋ぐコーディネーターや通訳、日本語教師という仕事に3年間携わりました。その後は、日本の大学院に行ってさらにタイのことを学びました。

――
そこまでタイに惹かれる理由は何なんですか?

清水
旅行に行くだけでタイを学問として勉強していなかったら、ここまで惹かれなかったと思います。でも、仲良くなったタイ人の言動が「どういう考え方からきているのか」という勉強を日本ですると、すべてに意味があるんですね。それが面白くてどんどん惹かれていきました。また、タイで働き始めた頃にかなり集中して言葉を勉強したのですが、言葉ができるようになると友達も増えて、ますますタイが好きになりましたね。あとは、日本にはないエネルギッシュなところにも惹かれます。

――
タイの人って、日本人に優しいですよね。親しみをもってくれるというか。
彼らから見て、日本人には何か共通するものがあるのでしょうか。

清水
同じ仏教、皇室があるって彼らは言います。あと、日本に対する漠然としたあこがれみたいなものがありますね。「観光に来ている外国人で一番礼儀正しいと思うのは何人か」というアンケートをタイ人にとったところ、「日本人が一番」という結果が出たんです。バタバタ大きな音を立てないとか、人に失礼なことをしないとか、大声を上げないとか、人に対して礼儀正しいとか、そういうところが好感を持てるようです。

大好きなタイを突き詰めてビジネスに

文化的なコンフリクトをなくすサービスがしたい

――
タイ関係でビジネスを始めようと思ったきっかけは何ですか。

清水
28歳で大学院を卒業するまで、タイにどっぶりつかっていたんです。でも、ふと自分がタイのことしか知らない、日本のことを全然知らないということに気づいて愕然とし、日本で普通に働いてみたいと思ったんです。それで、タイとは全然関係ないですが、外国語が好きだったので同時通訳の会社に就職しました。そこでの仕事はとても楽しかったのですが、自分でなくてはできない何かがなかなかみつけられなくて。しかも、自分では意識してタイを遠ざけようと思っているのに、周りの方が「清水=タイ」ということで、タイに関わる仕事を依頼してくれたりして…。それで、「無理してタイを遠ざける必要はないし、ここまでタイとつきあってきたんだから、とことん突き詰めよう」「この分野ならナンバーワンにも、オンリーワンになれるかもしれない」と腹をくくったんです。

――
「タイ・コンシェルジュ」という会社を興されましたが、どのようなことをされているのですか。

清水
タイに特化したフリーランスの人材を活用して、法人向けには、タイ語の通訳・翻訳、ビジネスサポート、研修、マッチング、個人の方向けにはタイ語の教室を開いています。タイの専門家はあまりいないこともあって、仕事をする上で日本人とタイ人との間にまだコンフリクトがあるんです。例えば、日本人がタイ人へ指示を出したり叱ったりするときはこういう風にした方がよいとか、日系企業でも何かの節目の際にはタンブン(※)という仏教の儀式を行った方がよい…など事例がたまっているのですが、ありがたいことにそこまで意識している企業がなかったので、サービスにしました。今後の課題は、そういうサービスをしているというPRと売り方ですね(笑)。
※タンブン…タイ独自の宗教的な休日、結婚、就職、会社の立ち上げなどのさまざまな節目でタンブンというお坊様を数名呼び、お経をあげていただくこと。

――
日本の企業がタイという異文化社会の中に溶け込み、経済的にも貢献していくその橋渡しをするお仕事なわけですね。
日本人がタイのことを理解するための情報を伝えていくことは、双方の国にとってとても意義ある貢献ですね。

清水
そう言っていただけると嬉しいです。タイにもまだまだ貧困問題や環境破壊など、社会問題が多くあります。私も何かの形で貢献したいという思いはずっとあって。せめて、まずは自分ができることからやろうと思っています。

タイはどんな年齢、性別の人でも楽しめる場所

観光スポットだけではなく、タイのいろいろな顔を伝えていきたい

――
今後、オールアバウトのタイサイトではどのようなことを伝えていきたいですか。

清水
タイのいろいろな顔を見て欲しいです。観光だけではなく、自分の足で歩けるタイ。あと、できれば女性向けにお土産やエステの情報をたくさん伝えていきたいですね。この人がおすすめするから行きたいなと思われる、質の高い情報を発信していきたいです。

――
まだタイに行ったことがない人にメッセージをお願いします

清水
観光スポットであるお寺や遺跡はもちろん、メトロポリタン都市としてのバンコクなど、2つの顔、3つの顔を持ったタイを見てほしいです。どんな年齢、性別の人でもそれぞれ楽しめる国であることを知ってほしいですね。あと、できればタイ人と話すともっとタイの印象がよくなるかなぁと。タイは、人としゃべると見るだけよりももっと好きになる国なので。お店で値切るときにでも、ぜひコミュニケーションをとってみてください(笑)。


清水さんがよく利用するAll Aboutのサイト

次回の編集長インタビューは【ステーショナリー】ガイドの土橋 正さんです。