
第36回:「ハワイで暮らす」ガイド
上野 元
2006年09月15日
「All About」を支える数多くのガイド。ガイドは一つのテーマに一人だけ。厳しい審査を何度も通りぬけ、そのテーマのナビゲーターとなる。彼らがそのテーマに魅せられた理由とは?All Aboutを通して発信したいこととは何なのか?このインタビューでガイドたちの素顔に迫ります。

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Photo by Hideo Matsumura
ガイドインタビュー第36回目は、「ハワイで暮らす」ガイドの上野元さん。ハワイ暮らしを始めて今年で13年目を迎える上野さんは、30歳を過ぎてから移住を決意し、ハワイ・パシフィック大学でMBAを取得。現在はハワイの日本語情報誌『アロハストリート』の社長兼編集長として活躍しています。ハワイ移住に至るまでの上野さんの経験を交えながら、ハワイの魅力やハワイ暮らしの実情などについて伺いました。
旅行で行ってみたらすっかりハワイが気に入った
それがハワイで暮らすようになったきっかけ

── ハワイに移住して今年で13年目だとか。どのようなきっかけでハワイで暮らすようになったのですか?
上野
私が32歳のとき、世の中はバブルがはじけた頃で、私の働いていた広告業界は雰囲気が悪くなっていました。仕事を辞めることを考えたときに、10代からアメリカに憧れていたこともあり、外国へ出て行くのもよいかのではないかと。ちょうど日本で一生を過ごすということに疑問を持ちはじめていた時期でした。当時ハワイへはまだ行ったことがありませんでしたが、一度旅行で訪れてみるとすぐに好きになって、ここなら住めそうだと感じました。
バブルの頃から、世間ではハワイで働くとか、移住するといったことがブームになりつつありましたが、当初私はずっとハワイにいるつもりはなく、「ちょっと行ってみようか」という軽い気持ちだったように思います。
── 「ちょっと行ってみようか」というつもりが、どうしてその後長期で移住することになったのでしょう? 何か決定的なことがあったのですか?
上野
ハワイには学生ビザで行くのが楽だったので、最初はハワイ大学付属の英語学校に入りました。周りは10代〜20代後半の若い人が多く、32歳の私は少数派。もともと英語は喋れたので、周囲からのMBAに進んだら?という助言を受けて、ハワイ・パシフィック大学に入学したんです。年齢的にも遅いほうだったので、学位など、何かを持って帰らないと!という気持ちがほかの若い人より強かったと思います。ハワイでの暮らしを単なるブランクにはしたくなかったので。MBAに入るのは意外と簡単でしたが、入ってからが大変で、かなり勉強しましたね。英語で新しいことを学ぶなかで、飛躍的に英語力は伸び、終了時には大学院レベルの英語力が身に付いていました。
MBAに入学してすぐ、地元のPR会社でインターンとして働き始めました。日本で広告代理店に勤めていた私は、日本の媒体に詳しく文章も書けるということで重宝され、クライアントである観光局の日本向けのPRの仕事に携わったりもしました。勉強と仕事を一所懸命やっているうちに、何となく居場所が見つかったという感じです。気付くと、日本に帰らなくてもいいかなと思うようになっていて。
── 留学を終えると日本に帰りたがる人が多いですが、ずっと暮らしていけると思えたのはハワイだからでしょうか?
上野 私の場合はたまたま仕事があったのでよかったですが、チャンスがなくて帰らざるをえない人もいますね。それと、日本と比べるとハワイは退屈かもしれません。気候はいいけれど日本のように四季がないので飽きたり、旬の味覚がなかったり、居心地が悪く感じる人もいるようです。それから、旅行で行く分には日本語も通じるし、日本の生活の延長として楽しめますが、暮らすとなるとやはりアメリカですから。日本語が通じない場面も増え、何事も英語でこなしていかないとなりません。
ハワイは日本とは違う
それをどう捉えるかがハワイ暮らしを楽しむカギ。

── 確かに旅行者の視点では、ハワイは日本語が通じるというイメージがありますね。実際にハワイで暮らし始めると、どんな点で苦労があるのですか?
上野
今はインターネットという便利なツールがあるおかげで、あらかじめ情報を得たり、行ってから情報を得ることができる時代になったので、私が移住した頃とはだいぶ環境が変わってきましたが、それでも日本語だけの環境にいると世界が狭くなってしまいますね。
また、ハワイの中にだけ留まっていても、自分の世界が狭くなってしまいます。なので、私は3ヵ月に1度は日本に帰ってきて、日本の変化を感じるようにしています。例えば、ウェブの変化にしても、ハワイは非常にのんびりしているので、新しい情報がなかなか入ってきません。Web2.0にしても、ちょっと前まで、ハワイで知っている人はほとんどいなかったんじゃないでしょうか。自分から求めていくようにしていかないと、情報から取り残されてしまうかもしれません。
── なるほど、それにしても世の中には「ハワイフリーク」が多いですよね。上野さんが考えるハワイの魅力って何でしょう?
上野 第一に気候がいいこと。自然が多いこと。そして、何度行っても行きたりないということでしょうか。やることもいっぱいありますし、自分の興味のあるテーマがいっぱい見つかるんでしょうね。日本人にとって、ハワイは特別なところだと思いますが、それはアメリカ人にとっても同じのようで、最近はアメリカ人の間でもハワイブームが起こっていますよ。
── 海外での暮らしは日本とは事情が違うので大変なことも多そうですが、苦労を補って余りある魅力があるということなのですね。
上野
そうですね。逆に、日本との違いを苦労と思うのではなく楽しめる人が、ハワイでの暮らしを満喫できると思います。ハワイ暮らしに向いている人のタイプは、大らかな人、心の広い人、心のきれいな人。新しい体験をいいこととして楽しめる人。細かいことを気にしないこととか、ないものを見るのではなく、あるものを見つけるということも大事ですね。自分から手を広げて求めていける人は、ハワイ暮らしに向いていると思います。
あとは言葉ですね。英語にアレルギーがないことも大切です。ハワイの人はブロークンイングリッシュに慣れているので、英語が完璧でなくても、差別されるということはありません。時々、英語ができないから差別されたとか意地悪をされたと思ってしまう人もいますが、そういう考え方の人は暮らしにくいでしょうね。
まずはハワイの生活を体験
移住する前に、ロングステイでハワイ暮らしを試してほしい

── 「ハワイで暮らす」ガイドサイトの読者からの反応はどういったものが多いですか?
上野
『アロハストリート』は日本人観光客向けですが、ガイドサイトは本当にハワイに移住したい人や、ハワイに住んでみたいと考えつつあるヘビーリピーターをターゲットにしています。旅行情報と生活情報という違いもあり、読者層もだいぶ違うように感じますね。
「ハワイで暮らす」ガイドサイトでは、ハワイでビジネスをしたいとか、起業したいといった夢のある方など、一般的な観光客とは違った人たちから相談のメールをいただくことが増えています。
── ハワイでは、日本人はどういった業界で働く方が多いのですか?
上野 旅行会社やホテルといった旅行業界や、飲食店など、日本人相手の仕事が多いですね。勤務地としては、ワイキキがほとんどだと思います。かなりの部分で日本語でビジネスができる、という点でハードルが低いのでしょう。
── ハワイで暮らしてみたいという人は、まずは何から始めればよいのでしょう?
上野 長く休みを取れる人や、50代、60代の方におすすめしたいのがロングステイです。いきなり移住を考えるのではなく、まずはハワイでの生活を試してみるのが良いと思います。日本から旅行でハワイに来ると「こんなに日本のものがある」「日本語が通じる」と思うのですが、住んでみると逆に「こんなに日本のものがない」「日本語が通じない」というように、ないものが見えてくるのです。そういったことを気にしない人であれば、ハワイでの生活も楽しめると思いますが、まずはハワイでの生活を体験してみてほしいです。
── ハワイが好きで、いつかハワイで暮らせたらいいなという読者の方にメッセージやアドバイスをお願いします。
上野
ハワイは間違いなく暮らしやすい国。日本人が海外でも心地よく暮らせるところです。ハワイの人は優しく、自分から心を開いていけば受け入れてもらえます。誰も拒みません。
ハワイで暮らしたいという思いがあるなら、あせらずに計画を立ててほしいと思います。ロングステイから始めて、「いつかはハワイに移住しよう!」と夢を見るのも楽しいものです。老後にハワイで暮らすのもおすすめなので、じっくりと考えて夢を実現してください。