All About トップ    編集長インタビュー    第49回:「世界のエアライン」ガイド  秋本 俊二


「世界のエアライン」ガイド:秋本 俊二

第49回:「世界のエアライン」ガイド
秋本 俊二

2007年11月20日


「All About」を支える約490名のガイド。ガイドは一つのテーマに一人だけ。厳しいいくつもの審査を通りぬけ、そのテーマのナビゲーターとなる。彼らがそのテーマに魅せられた理由とは? All Aboutを通して発信したいこととは何なのか? このインタビューでガイドたちの素顔に迫ります。

エアラインに乗ったときから、旅は始まっているんです。機内で過ごす時間を楽しんで欲しい

「世界のエアライン」ガイド:秋本 俊二
「世界のエアライン」ガイド:秋本 俊二

左:「世界のエアライン」ガイド
秋本 俊二/
右:編集長 森川 さゆり

編集長:森川さゆりと「世界のエアライン」ガイド:秋本 俊二

Photo by Hideo Matsumura


ガイドインタビュー第49回目は、「世界のエアライン」ガイドの秋本俊二さん。「自分で飛行機を設計したい……」そんな少年の夢を叶えるべく、学生時代は航空工学を専攻。現在、日本屈指の「旅する」航空ジャーナリストとして活躍中の秋本さんに、ズバリ!エアラインの魅力を伺いました。

エアラインとジャーナリズムへの夢

オールアバウトで繋がりました

――
まずはじめに、エアラインとの馴れ初め(笑)を教えてください。

秋本
私はもともと理系出身なんですが、電子とか原子とかいわゆるミクロの世界があまり好きじゃなくて、何か大きなもの作りたいって思っていたんです。どうせ、大きなものなら旅客機が作りたい……って、そんな思いから学生時代は航空工学を専攻していました。子どもの頃から飛行機は好きでしたが、男の子はみんな乗り物が好きじゃないですか。なので、特別な「出会い」となると、これが最初の出会いになるのかなと思います。

――
でも卒業後、エンジニアの道には進まなかった……。

秋本
はい、「飛行機が好き。大きなものを作りたい……」、そんな気持ちと並行して、「物を書く仕事に就きたい」という気持ちが生まれてきてしまったんです。「世界を飛び回って、いろんな国の人たちと出会い、その感動を文章で伝えたい」って。迷いに迷った挙句、卒業後はフリーライターという道を選びました。半年くらいアルバイトをして、お金を貯めてLAに渡ったんです。向こうで、8カ月くらい暮らして、見たこと聞いたこと感じたことをどんどん文章にしていきました。それを現地から日本の出版社に送ったのですが、そんなもの採用してくれる訳ないじゃないですか。そのときの原稿は何にもなりませんでしたが、私のことを面白がってくれる編集者がいて、帰国後に別の案件で声を掛けてくれるようになり、仕事が貰えるようになっていきました。

――
特にどんなジャンルでの執筆が多かったんですか?

秋本
専門を一つだけに決めるのは抵抗があったので、なんでもやりましたね。広告の仕事でコピーも考えましたし、ビジネス書なんかもいっぱい書きました。クライアントのひとつに航空会社があったので、パンフレットを作ったこともあったんですが、「飛行機は楽しい、やっぱり大好きなんだな」と自分の気持ちを再認識したものでした。

――
では、いつから現在のような航空ジャーナリストとしての活動を始められたんですか?

秋本
実は、ノンジャンルのライターだった僕とエアラインをもう一度結び付けてくれたのは、オールアバウトなんですよ。僕は7年前にオールアバウトが始まるとき、「飛行機が専門でしょ」と誘って貰って。今では、仕事の7〜8割が航空ジャーナリストとして、エアラインに関することを書いています。

旅行は書けるけど、エアラインについても書ける人って実は少ないんですよ。でも一方で、いわゆる航空ジャーナリストは多いんです。例えば戦闘機に詳しかったり、航空事故が起きたら解説するような人達ですね。でも、「旅」という視点で「エアライン」を語る人は、あまりいなかったんじゃないかな。私は、飛行機が好きなんです。飛行機に乗って、海を越え海外に連れて行ってもらって、その先には旅がある。そんな夢のあることを書きたいと思いました。実際、オールアバウトで旅を切り口にエアラインについて書き出したら、読者も航空会社も乗ってきた。いろいろな航空会社から、次の取材テーマに結びつくような最新情報も届くようになりました。

先月、航空業界ではかねてからずっと注目されていたオール2階建てエアバスA380がシンガポール・シドニー間で世界初就航を果たしました。その初就航便にもシンガポール航空の本社から声をかけてもらい、私も実際に搭乗してきましたよ。その時のレポートは、近々記事でもご紹介しますね。

旅のスタイルが変わってきました

旅行者が、自分からエアラインを選ぶ時代に……

――
ガイドを始めてからの6年間で、読者がエアラインに求めているものに変化を感じますか?

秋本
海外旅行の主流がパック旅行から個人旅行にシフトしてきていますから、ユーザーのエアラインに対する意識というのは確実に変わってきていますね。かつて、エアラインは旅行者にとって選ぶものではなかった。ツアーを選んだ結果についてくるもの、という程度の認識。でも、今はユーザーが自分でエアラインやホテルを手配する時代です。そうすると、どこで情報収集するのかっていうと……、ネットが多いんですよね。

――
でも昔は、「○○社がシートを変えた」、とかそんな情報は一般読者に入らなかったですよね?

秋本
そうなんです。そんな情報は、月刊誌にも週刊誌にも載せる場所がなかったんです。でも、ユーザーが自分でエアラインを選ぶようになり、「どうせ同じお金を払うならこの機体に乗ってみたい」とか、エアラインに対し貪欲になってきたと思います。そんなユーザーのニーズに応えるように、航空会社も各社が個性あるサービスを提供するようになってきました。

――
ここだけのお話、おすすめのエアラインってありますか?

秋本
これ、よく聞かれるんですよ(笑)。

日本のエアラインには、きめ細やかなサービスや美味しい日本食、そして何より日本語が通じるという利点がありますが、私自身は海外に行くのなら、ときには渡航先の外資系エアラインも利用してみてほしいと薦めています。飛行機って単なる移動手段なんかじゃないんですよ。乗ったときから、旅は始まっている。そういう意味では海外のエアラインに乗ると、それはそれで面白い経験ができると思うんです。

これは日本も含めてですが、エアラインにはその国のお国柄が凝縮されています。例えば、キャビンアテンダント(以下、CA)と話していてもアジアのCAは本当にしっかり管理されているなと感じます。一方、欧米のCAはものすごく自由でフレンドリーだったり……はっきりした特徴があります。それはとても面白いですよ。

オールアバウトは時空を越えるメディア

距離・媒体、そして時間----

――
秋本さんにとって、オールアバウトはどんなメディアですか?

秋本
「3つの時空を越えるメディア」……かな。まず、ひとつが物理的な距離。航空会社って、世界のあちらこちらに支社があるんですが、意外に横の繋がりがないんですよ。だから例えば、海外の支社にはなかなか日本の情報が入らなかったりする。ある航空会社の男性なんですが、私の記事を読んで初めて、自社の他部署のことを知った!なんて言われることもあるんです。これはネットの特性ですが、自分が情報を発信すれば瞬時に世界中に届く。距離という時空を、いとも簡単に越えることができます。

2つ目の時空は、媒体。私は、エアラインに旅という切り口から入っているので、常に旅と関わりを持っていたいんです。でも、私個人が発信できる情報には限りがある……。だから私が自分自身の記事として書くのは、エアラインに乗ってから降りるまでのレポートに徹したいと思っています。それで最近は、海外旅行チャネルのほかのガイドと一緒に取材するようにしているんです。それで、私の記事でエアラインの中の旅を書き、「現地のグルメ情報はこちら」とリンクを貼って、他のガイドの記事に飛ばす。今度は、媒体という時空を越えることになります。そうすることで、私の記事の読者が他のガイドの記事も読み、他のガイドの読者が私の記事にも入ってくる。エアラインと現地の旅行情報と入り口が2つになる訳ですから、この相乗効果は単純な2倍ではなく、3倍にも4倍にもなるんです。

最後に越えるのは、時間という時空です。ガイドとして毎月3本の記事を書いているので、基本はいつも新着記事が人気ですが、突然過去の記事にアクセスが集中することがある。雑誌や新聞は、発売のタイミングを逃すと入手することができないけれど、オールアバウトでは記事がアーカイブ化されるから、過去の記事が必要に応じて蘇ってくることがあるんです。

こういったオールアバウトやインターネットならではの特徴を、今後もっと活かしていきたいと思います。もっとガイド同士のコラボレーションもやりたいですね。

――
最後に、秋本さん流「機内を楽しむコツ」のようなものってありますか?

秋本
私はエアラインに乗るとじっと座っていることが少なく、よく機内を散歩しています。外国人の乗客の名前を一生懸命覚えようとしているCAがいたり、態度の悪い乗客がいたり……人間模様がさまざまで本当に面白いんですよ。機内っていうのは、ある意味社会の縮図のようなものなんです。

フライト中に機長と話すことは難しいですが、CAには積極的に話しかけるようにもしています。CAっていうのはみんな、変な意味じゃなくて、出会いを求めているんですよ。声を掛けられて嫌だなと思う人なんてひとりもいないはず。それに、それぞれが自分の就航先には詳しいという自信があるから、「どこか美味しいお店知らない?」って聞くと、ガイドブックには絶対載っていないようなお店を教えてくれるんですよ。そうして教わったお店に行き、シェフのおすすめ料理なんかを食べて、出会いが繋がって……、また旅が始まる。旅の入り口っていうのは、いつもエアラインにあるんです。もっともっと楽しんでほしいですね。

秋本さんがよく利用するAll Aboutのサイト