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「ビジネス英語」ガイド:竹村 和浩
第16回:「ビジネス英語」ガイド 竹村 和浩 2005年01月17日
「All About」を支える約300名のガイド。ガイドは一つのテーマに一人だけ。厳しい審査を何度も通りぬけ、そのテーマのナビゲーターとなる。彼らがそのテーマに魅せられた理由とは?All Aboutを通して発信したいこととは何なのか?このインタビューでガイドたちの素顔に迫ります。
ビジネス英語は人それぞれ。“2人のベスト”が実現できるように、私は書くことで応援したい!
「ビジネス英語」ガイド:竹村 和浩
「ビジネス英語」ガイド:竹村 和浩
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編集長:森川さゆり、「ビジネス英語」ガイド:竹村 和浩
左:「ビジネス英語」ガイド
竹村 和浩/
右:編集長 森川 さゆり
Photo by Hideo Matsumura
編集長インタビュー第16回目は、「ビジネス英語」ガイドの竹村和浩さん。高校での6年間の英語教員生活から現在のお仕事まで、常に英語に関わってきた竹村さんに、日本の英語教育について伺いました。
■「b」と「d」の違いがわからない高校生
6年間の教員生活で「教える力」がついた
森川:
高校で6年間英語の先生をされていたそうですが、その経験が今のお仕事やガイドの仕事につながっているようにお見受けしました。

竹村:
英語が好きで、英文科に入ったので、英語で食べていきたい、というのはずっと思っていました。でも、実は大学入試のとき、学部の選択を間違って…(笑)。「英語」を勉強したいなら「文学部英文科」ではなく、「外国語学部英語学科」に行かなきゃいけなかったんですが、「英語=英文科」だと思い込んでいて、英文科に入学してしまったんです。

でも、ビジネス英語を学び始めてから、その選択が幸いしまして…。欧米のビジネスマンは文学の知識があると知ると、態度が変わるんですよ。普通の大学の英文科は、コミュニケーション力重視という流れの中で、10年ほど前からシェイクスピアと聖書を必修科目からはずしているのですが、うちの大学は古式ゆかしく、しっかりやっていました。当時はつまらない授業だなあ、と思っていたんですが(笑)、無理矢理頭に入れていたのが今すごく役立っています。

「ビジネス英語」ガイド:竹村 和浩
森川:
その後、高校の英語の先生になられたんですよね。教員生活はいかがでしたか?

竹村:
楽しさ半分、厳しさ半分、かな。赴任した都立高校が、「教育困難校」と呼ばれる、いわゆる荒れた学校だったんです。高校3年生で小文字の「b」と「d」の区別がつかない生徒もいました。そんな生徒に高校の課程を教えるので大変でしたが、今思うと、「教える技術」が非常に身につきました。

ただ、実際に教員をやってみて、学校の訳読方式では、例えば翻訳者にはなれても、使える英語を習得することは無理だろう、学校英語にはどこか大きく欠けているものがあると思うようになり、体を壊したのをきっかけに学校はやめ、別のやり方で英語教育にたずさわる道を選びました。

■クラシック音楽を聴いていた子供は発音がいい
意外な英語上達の秘訣
「ビジネス英語」ガイド:竹村 和浩
森川:
その後、公文教育研究会に勤められた後、独立されてますよね。きっかけは何だったのでしょう?

竹村:
教員生活、公文式での経験から、自分の中でベストな英語教授法が何となくわかったので、独立して実現しようと、TLL言語研究所を設立したんです。

森川:
その「ベストな英語教授法」とはどのようなものだったのでしょうか?

竹村:
語彙を増やすには、学校英語の訳読法が実は一番効果的なんですよ。それ自体は間違ってない。でも、受験勉強で語彙が7000語以上になっても、簡単な会話はできない。そこで、学校英語に何が欠けていたのか考えたとき、「正確な音」の指導だと気づいたんです。子供を教えていて、会話レベルの英語ができる子は大体発音が良いんですよ。最初は「英語ができるから発音が良いのだ」と思っていたんですが、逆に、音や発音に敏感な子は、会話レベルの英語の上達が早いことがわかりました。音はすごく大事なんです。ですから、今は、英語の発音矯正を主な仕事にしています。

森川:
私も英会話スクールに通ったことがありますが、言いたいことは言えても、とにかく相手が何を言っているか聞き取れないので会話にならない。そこで、話すよりまず、英語を聞き続けることの方が大事だ、と思ったんです。でも、聞き取ることに執着するより、実は発音を練習するほうが良いんですね。

竹村:
発音を変えるほうが早いんですよ。語学には臨界期というのがあり、個人差はありますが、8〜14歳までが聞いた音を正確に真似できる年齢。しかし、成長するにつれて、耳が日本語の周波数で固まってしまうんです。日本語と英語は周波数の差が500ヘルツあり、そのせいで、日本語の周波数帯を外れた音は、日本人には聞き取りにくいんです。
でも、子供の頃に音楽を習ったことがある人、ピアノとか、バイオリンとか、フルートとか、音符を見ながら音を出すトレーニングをした人、そしてよくクラシック音楽を聴いている人は、大人になってもあまり臨界期の影響を受けないといわれています。

森川:
なるほど!子供の頃から英語を習わせなくても、クラシック音楽を聴かせるだけでもだいぶ違うということですね。オールアバウトのユーザは3、40代が多いのですが、自分は受験戦争世代で、良い大学に入り、良い会社に入ったけど英語は話せない。でも、自分の子供にはそういう思いはさせたくないと思っているんですね。なので、今の竹村さんのお話には、興味がある人、多いと思いますよ。

竹村:
誰もが留学したりインターナショナルスクールに入れるわけではないので、音の環境を小さいときに整えてあげるのが大事ですね。

■ビジネス英語、習得のコツは?
ポイントは「音」と「丸暗記」


竹村:
実は、今、幼稚園でも教えていて、このようなカードを使ってやっているんですが、(写真参照)これが非常に効果があるんです。このように、漢字で「蜻蛉」と書いてあり、その下に英語で「dragonfly」、そしてトンボの絵があれば、一度に「トンボ」というものの英語と漢字が頭に入る。絵があるので、忘れにくいんです。

森川:
最近では小学校での英語教育も導入されていますが、それについてはどうお考えですか?

竹村:
今、小学校への英語導入は賛否両論があります。反対派の大きな理由は、「まず日本語をきちんと学ぶことが大事だ」ということ。日本語の時間を削って英語をやるのは間違っていると。確かにその通りなのですが、私はやり方を考えれば、適性なバイリンガル教育は可能だと思うんです。

例えば、小さい頃から難しい漢字に親しんでいれば、漢字に対する抵抗なく大人になれるんです。また、漢文の素読とかそういう教育を受けた人は英語が非常にできたというデータがあるんですね。なので、先ほどの難しい漢字と英語、イラストを一緒に覚える学習をベースに、クラシックを聞かせ音感教育をして、さらに日本語とのバランスを取って教育していけば、バイリンガル教育はできると私は思っています。幼児は複雑なものに対する反応がすごくいいんです。難しいものを覚えるのが早いので、それを利用しないと。

森川:
これはすごいですね!この指導を受ければ子供は、絵や実物のトンボを見たときにすぐ「dragonfly」という言葉が浮かんでくるわけですね。では、英語ができないまま大人になってしまった人が、ビジネス英語を学ぼうとする時、どうすればいいんですか?

竹村:
ポイントは2つあると思います。1つは音。発音は呼吸が大事で、特に子音は全部息でできています。でも、日本語は、母音を全部後につける言語です。喉に手を当てて、「あいうえお」と言うと、声帯が振動しますよね。でも、英語にある「s」「t」などの無声音は、声帯が振動しないんです。息、口や歯の形で生成されている音なんです。その違いを理解することが必要ですね。

また、英語は音節を考えるとき、「1母音=1拍」という考えをします。例えば「bread」というのは、母音が1つ(ea=eだけ)なので、1拍。ところが日本人は、「ブ・レ・ッ・ド」とカタカナで覚えているので、4拍になるんです。そこで、ネイティブが1拍で「bread」というと、聞いたことない音なので聞き取れない。この辺は、体で音を覚えるしかないですね。

で、このステップを踏む間に、ビジネス英語の場合は定型文を丸暗記するのが効果的です。英文メールだったら、一回パターンを書いて、次からは形式を応用して中身を変えていくというやり方がいいですね。丸暗記は実は大事です。今は、「丸暗記しない方がいい」と言う人もいますが、間違いで、暗記したものを応用していくやり方が早いと思います。

森川:
今後、ガイドサイトでやりたいことなどあれば教えてください。

竹村:
ひとつは、自分のサイトがビジネス英語のデータベースになればいいな、と思っています。参考書など紙ベースのビジネス英語の情報は増えていますが、ネットではなかなかないんですよ。なので、WEB上でここにくればビジネス英語に関する調べものができるという、皆さんが長く使ってくれるサイトにしたいです。

もうひとつは、英語圏のエリートたちと対等に渡り合えるためのリソースとなる情報を提供したい。私が英文科で学んだシェイクスピアや聖書などですね。英語圏のエリートの多くはキリスト教徒であることが多く、それを誇りに思い、自分のバックボーンとして生きている、というのが私の印象です。なのでそういう「背骨」を持った彼らと渡り合える日本人としての「背骨」を持っているビジネスマンになるための知識や教養も提供していきたいと思っています。


■竹村さんがよく利用するAll Aboutのサイト
1位 子供のための英語
2位 よくわかるマーケティング
3位 TOEIC・英語検定


次回は【子育て事情】ガイドの河崎 環さんです。。