
第40回:「リフォームにかかるお金」ガイド
大野 光政
2007年1月15日
「All About」を支える約450名のガイド。ガイドは一つのテーマに一人だけ。厳しいいくつもの審査を通りぬけ、そのテーマのナビゲーターとなる。彼らがそのテーマに魅せられた理由とは? All Aboutを通して発信したいこととは何なのか? このインタビューでガイドたちの素顔に迫ります。
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Photo by Hideo Matsumura
ガイドインタビュー第40回目は、「リフォームにかかるお金」ガイドの大野光政さん。大野さんは住宅のリフォーム・メンテナンス会社、大金興業(だいきんこうぎょう)の代表取締役として業界の第一線でご活躍中。そんな大野さんに、リフォームの魅力、家と家族の関わり、同業者から見た業者選びのポイントなど、長年リフォーム業界に携わってきた経験に基づいたお話を伺いました。
リフォームで刻む「家族の歴史の証」
家族の思いやりから始まる家づくりをサポートしたい

── 大野さんはどんなきっかけでリフォーム業界に入られたのですか?
大野 両親が地元の千葉で住宅のリフォーム・メンテナンスを手がける会社を経営していたので、産まれたときからリフォーム業界です。大学を卒業して3年ほどは、外の世界を知るためにOA機器メーカーで営業を経験しましたが、それ以降は両親の元で現場を経験してきました。そして昨年、私が正式に引き継いで社長に就任しました。
── 家業を継ぐことを嫌がる人も多いですが、大野さんは二代目になることに抵抗はなかったんですか?
大野
それは全くありませんでしたね。これはOA機器メーカーでの経験があるからこそ実感できるのかもしれませんが、家という一生モノを扱ってお客様と末永いお付き合いができるリフォーム業界はとても魅力的でした。
家の改築という一家の一大事を任されているという責任感、そして完成したときのお客様の喜びは、私にとって最高のやりがいになります。先日も高齢のおじいさんのために手すりをつけてあげたところ、 たった1本の手すりのことなのですが、大喜びしてくれました。
── そのおじいさんの話にしても、リフォームの根底には、家族が暮らしやすい家にしたいという人間の温かさ、家族の思いやりがありますよね。
大野 ええ。子どもの成長や高齢化など、家族の変化に合わせて家も進化させるために、リフォームが必要になります。そうした家族の歴史の証を家に刻むのがリフォームなんです。
── なぜ、「リフォームにかかるお金」のガイドになろうと思ったんですか?
大野
きっかけは友人の紹介です。以前から社員に向けたブログのようなものを書いていたので、「もっとたくさんの人に読んでもらえる場で書いたら」と、友人がAll Aboutのガイドになることを勧めてくれました。最初は自分にはできないと思ったのですが、一方では多くの読者に読まれるものを書きたいとも考えていました。そうなれば、文章も自分自身も更に磨けるじゃないですか。そうした経緯で応募したんです。
また、先ほどお話した家族の思いやりのような精神もリフォームには大切ですし、お金だけがすべてではありません。しかしそうはいっても、リフォームの際にかかるお金は誰しもが気になりますよね。ですから、リフォーム料金への不安を減らすために、「リフォームにかかるお金」を選びました。
ちょっとしたリフォームでも雰囲気は大変身
目的に合ったリフォームプランを見つける

── テレビ番組の影響などでリフォームが注目を集めていますが、人気が高まった一方で、リフォーム詐欺も多発してニュースにもなりましたね。
大野
はい。家は一軒一軒別物ですので、どうしてもリフォーム料金は不透明になりがちです。それを悪用して、多額のリフォーム料金を請求する許せない手口です。実際に私の会社の名を騙ったリフォーム詐欺も起こりました。すべてのお客様に個別に連絡をしてどうにか収束しましたが・・・・・・。
── そんなことがあったんですか!? 怖いですね。メディアで取り上げられ人気が出てくると、いろいろな穴が露呈してくるんですね。
大野
そうですね。みなさんのリフォームのイメージもふくらんでいるので、メディアで取り上げられるような大規模なリフォームを想像しがちです。しかし、部屋の床を変えたり、玄関のデザインを変更したりという比較的手軽なリフォームでも、住まいの雰囲気はガラッと変わります。
ですから、たくさんのお金が必要になる大掛かりなリフォームを無闇に検討するのではなく、しっかりと目的と予算を考慮したうえで、現実的なリフォームプランを考えることから始めてほしいですね。
── リフォームの場合は完成しないと出来上がりがわからないので、イメージの共有が難しいのではないですか?
大野 そうですね。リフォームはすべてがオーダーメイドなので、完成イメージ図やモデルルームを見てもらっても、そのままそっくりにはできません。どうしても多少は期待と実際の仕上がりにギャップが生じます。そのギャップをどう埋めるかが、お客様とリフォーム業者との信頼関係のポイントです。うちの会社では期待以上のサービスで、いい方向にお客様の期待を裏切りたいと思っています。「こんなに綺麗になるなんて思ってなかった!」となれば、継続的にお客様とのお付き合いができますから。
「リフォーム業者=悪徳業者」ではない
お試しリフォームで業者を見定める

── 悪徳業者の存在もあってリフォームに踏み切れない方も多いと思います。ぜひリフォーム業者の賢い選び方を教えてください。
大野
確かにリフォーム詐欺の影響もあって、リフォーム業者はすべてが詐欺か悪徳業者のように見られてしまう傾向があります。お客様に会うと皆さん肩に力を入れて身構えているんですよ。騙されないように、余計なことをしゃべらないようにとね。
でも、敢えてリフォーム会社と積極的にコミュニケーションを図ってください。気になる料金のことも、率直に「どのくらいかかりますか?」と質問してください。しっかりと見積もりを組んでいる業者であれば、ある程度の幅はあるにしても標準料金は提示できるはずです。
── 「○万円〜」と最低価格だけが書かれていても上限がわからないので、素人としては不安になります。それに対して大野さんの記事では、「○万円〜○万円」という形で料金の目安を紹介してくれているのでありがたいです。
大野 それはガイドとして記事を書いていく途中で気づいたことです。読者の視点に立てば、上限が示されていないと金額の心配がいつまでも頭に残るなと。それと同時に、当社では実際の現場でもきちんと料金の上限の目安を伝えるようにしました。ガイドとして読者の気持ちを深く考えることで、同時に現場でもこれまで以上にお客様の視点に立てるようになったんです。
── 「自分が普段、仕事の現場で接しているお客様と、All Aboutの読者は同じ目線だということに気づきました」と、よくガイドさんたちがおっしゃいますね。
大野 そうなんですよね。その視点でもう一点、リフォーム会社とのコミュニケーションについてアドバイスがあります。営業マンだけでなく、職人や事務員ともコンタクトを取ってください。営業マンの話だけを鵜呑みにしていると、その話にどれだけ信憑性があるかは判断が難しいですよね。そこで、会社の別の人の話から見定めるわけです。矛盾した話をしていないか、それぞれの行動を把握できているかなどを確かめます。例えば、事務員に問い合わせをしても「営業マンがいないのでわかりません」ばかりを繰り返して、いつ連絡が取れるかも教えてもらえない会社は要注意です。
── なるほど。営業担当一人ではなく、会社全体として信頼できるかどうかをチェックするんですね。
大野 はい。それでもまだ不安ならば、お試しリフォームをオススメします。初めての業者にいきなり数百万のリフォームを依頼するのではなく、まずは10万円くらいのお手軽リフォームで業者を見極めてください。満足できるサービスだったら、改めて追加のリフォームを依頼すると安心です。
── 最後にリフォームに関心をお持ちの読者に向けてメッセージをお願いします。
大野 いまリフォーム業界には、業者とお客様の間に大きな溝ができてしまっています。この不信感という溝は、放っておくとさらに拡がっていきます。お客様の気持ちがわからないから満足してもらえるサービスができない、それによってさらに距離が離れるという悪循環です。これを解消すべく、業者もお客様の声により一層耳を傾けていきますので、みなさんも業者とコミュニケーションを取るようにして欲しいですね。そして、一緒により良い家づくりをしましょう。