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「ラーメン」ガイド:大崎 裕史

第30回:「ラーメン」ガイド
大崎 裕史

2006年03月15日


「All About」を支える約300名のガイド。ガイドは一つのテーマに一人だけ。厳しい審査を何度も通りぬけ、そのテーマのナビゲーターとなる。彼らがそのテーマに魅せられた理由とは?All Aboutを通して発信したいこととは何なのか?このインタビューでガイドたちの素顔に迫ります。

ラーメン業界に新風を巻き起こしたい。通算1万3000杯以上ものラーメンを食破!

「ラーメン」ガイド:大崎 裕史
「ラーメン」ガイド:大崎 裕史

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左:「ラーメン」ガイド
大崎 裕史/
右:編集長 森川 さゆり

編集長:森川さゆり、「ラーメン」ガイド:大崎 裕史

Photo by Hideo Matsumura


編集長インタビュー第30回は、「ラーメン」ガイドの大崎 裕史さん。年間800杯以上ものラーメンを食べ続けること、早10年。おいしいラーメンが食べたいという純粋な気持ちで全国津々浦々のラーメン店を駆け巡る大崎さんは、いまやラーメン業界において欠かせない存在です。そんな大崎さんが思い描くラーメン業界の未来。第一人者が語るラーメンへの揺るぎない想いとは・・・。

「私にとってラーメンは、子供の頃から日常食でした」

1時間あれば、ラーメン3杯は平気で食べられます。

「ラーメン」ガイド:大崎 裕史

森川:
All Aboutでのガイドをはじめ、さまざまなメディアでご活躍されていますが、いつ頃からラーメンを好きになったのですか?
大崎:
小学1年生の頃、母親が働き始めたのを機に、ほとんど毎日、夕飯代を持たされていまして。小学生でしたので、気軽にフラッとひとりで食べに行くようなお店があまりなかったんです。それで、よくラーメンを食べに行ったり、出前で取ったりしていたんですよ。ラーメン好きの父親の影響もあったのか、ラーメンを食べることは、いたって普通のことだったんですよね。ですから、「今日の夕飯は何にしようかな?」と考えた時に、常にラーメンはファーストチョイスでしたね。
森川:
確かに子供の頃って、ラーメン好きですよね。私も子供の頃、誕生日に何が食べたいかと両親に聞かれた時に、「ラーメン!」って答えた記憶があります(笑)。それにしても、ラーメンを年間で800杯以上も食べるって、圧倒されます。「ラーメンばかりで飽きませんか?」って聞かれませんか?
大崎:
ええ、よく聞かれますね(笑)。仕事柄、ラーメンしか食べないイメージなんでしょうね。でも、私の場合は1時間もあれば、平気でラーメンを3杯食べられるので、ランチでラーメンを食べたら、夜はイタリアンやフレンチなど、ラーメン以外にもいろいろなものを食べてますよ。実は年間800杯を食したのには諸事情がありまして。以前、広告代理店の営業職でしたので、当然、外回りが多かったんですね。しかも、ゆっくりとランチタイムを楽しんでいる余裕がなかったこともあり、私にとっては早くて、うまい食べ物と言えば、ラーメンがベストでした。たとえば、他の人が新宿でアポイントがあるから、あそこのお店でランチを食べようと考えるのと一緒で、アポイントの場所によってラーメン屋をセレクトしていましたね。そんな毎日でしたので、本当に変わっているという意識はなく、当たり前のことでした。それと、広告代理店勤務の頃、「東京のラーメン屋さん」(通称とらさん)というラーメン情報に特化したサイトをスタートしたことで、いただいたラーメン店の情報を順番に食べていたら、800杯に達していたという感じですね。
森川:
大崎さんが監修されている「とらさん」は、有名なサイトですが、もともと何がきっかけでサイトを始めようと思ったのですか?
大崎:
当時は、広告代理店に在籍していましたので、会社自体が新しい企画を受け入れる体質でした。ちょうど、インターネットが普及される少し前のことで、会社がインターネットの研究のために立ち上げたのが「とらさん」なんです。ラーメンの食べ歩きで得たお店のリストがありましたので、仕事をふまえながらサイトをスタートしたんです。
森川:
サイトをはじめ、さまざまなメディアに大崎さんが関わる前と後で、ご自身のラーメンに対する意識や考え方に変化はありましたか?
大崎:
サイトを始めた頃は、本当に日本人はラーメンが好きだということを実感しました。実はラーメンファンなら、とらさんをある程度は知っていると思っていたのですが、All Aboutでガイドをさせていただいて、それが大きな勘違いであることに気づいたんです。とらさんを知らない人がかなりいたことを思い知らされたんです。私の中ではラーメンファンの半分くらいの人達に情報が届いていたと思っていたところ、実際はラーメンファンの2〜3割程度にしかたどり着いていない現実を目の当たりにしました。その時に、さまざまな形でもっと情報を発信しなくてはいけないと改心しましたね。

ラーメン業界の底上げが、私の使命

ラーメンのイメージを変えるために。

「ラーメン」ガイド:大崎 裕史

森川:
サイトをはじめ、さまざまなメディアで情報発信をするほかに、大崎さんはラーメンとどのような関わりを持っておられるのですか?
大崎:
まず、一般消費者の意識として、イタリアンやフレンチに比べて、ラーメンはステータスが低いと世間一般では思われがちです。そのイメージを何とかして、払拭したいと考えています。ですから、少しずつでも業界自体のポジションを上げるために、ラーメン業界の改革が大事だと考えています。たとえば、女性一人でも入りやすいお店を増やしていくとか、お子さんでも食べられる味を提供するお店とか、逆にお年寄りの方に対しても同じです。その結果、ラーメンがよりよい食べ物として認知されるはずだと思います。もちろん、私一人ではできませんが、少しでも力になれるように、そういったことを率先してプロデュースしていますし、今後も続けていきたいですね。
森川:
ラーメンが好きという理由だけでは、そう簡単にはできない大きなチャレンジと言えますね。
大崎:
確かに、そうかもしれません。超えなければならない壁はたくさんありますから。しかし、おこがましいかもしれませんが、私に課せられた使命だとも思っています。特にAll Aboutでガイドをやらせていただく中で、私に対する期待を感じたこともあり、改革への気持ちが強くなったと思います。
森川:
ところで、テレビなどで、「人気のラーメンベスト100」といった番組などを見かけますが、若い店主が切り盛りするお店も随分増えていると感じました。最近は、弟子入りからのスタートではないのですか?
大崎:
最近の傾向として、専門書やインターネットを見れば、おいしいラーメンは作れるようになっています。ですから、修行をせずにお店を出す人が増えていますし、そういう人の方がさまざまな工夫を凝らして、オリジナリティ豊かなラーメンに仕上がっているんですよね。特に20代を中心とした若い世代がお店を出すことは、とても良いことだと思います。斬新な発想でラーメンを開発したり、新風を巻き起こす寵児ともなりうる可能性を秘めているので、彼らの活躍は、業界の活性化につながると思います。
森川:
お店自体の在り方も、昔に比べて変わってきていますよね。集合施設がオープンしたり、有名店がチェーン展開していたりしますが、大崎さんはどのようにお考えですか?
大崎:
ある程度人気が出たり、お店を大きくしたいと考えた時に、店舗を増やしていくわけですが、いろいろな場所でおいしいラーメンが食べられるのは、とても良いことだと思います。北海道でしか食べられなかったラーメンが、集合施設に入ったことで、東京でも食べられるようになったりしますから。ただ、各店は一生懸命に本店の味をそのままに出店しようとしているのですが、店舗を増やすと、残念なことに味のクオリティが下がってしまうことが往々にしてあるんですね。ラーメンは基本的に職人技ですので、今後は技術でカバーできるしかけを考えなければいけませんね。
森川:
集合施設ですと、行列ができているお店とそうでないお店が顕著のようですが、お互いのお店が切磋琢磨して盛り上げようという雰囲気はあるのでしょうか?
大崎:
それはあると思いますよ。施設によっては、随時ランキングを発表しているところもありますし。ただし、ラーメン店をやれば儲かるというような不純な動機で出店したお店は、ダメになってますね、逆に、ラーメンに愛情を持って、ムーブメントを起こすんだというくらいの気持ちを持っているお店は大成功しています。そうは言っても、施設自体の集客力も大切ですから、各店のがんばりや熱い想いだけでは、どうにもならないこともあるんですね。
森川:
そういった時に、アドバイスやフォローをしてくれる業界の団体ってないんですか?
大崎:
ないんですよ。将来的には作りたいですね。スケールが大きい話ですので、なかなか簡単にはいかないと思いますが、ぜひとも実現したいですね。作りたいと言えば、ラーメン学校も作りたいと考えています。調理師のための専門学校はありますが、そのラーメン版も作りたい。学校ができるということは、特に20代の若い人たちに門戸が開けてくると思うんですね。と同時に、資格も作って、制度化できれば、ラーメン職人の技術も地位も向上しますから、業界の活性化につながると思うんですよね。
森川:
実現したら、ラーメン業界がガラッと変わりそうですね。ぜひ、大崎さんの力で実現できるように応援しています。

おいしいラーメン屋を見分けるために

消費者にはおいしいお店へ足を運んでほしい。

「ラーメン」ガイド:大崎 裕史

森川:
All Aboutの読者に向けて、おいしいお店を見分ける方法を教えてください。
大崎:
全てのお店に当てはまるとは言えませんが、ポイントは3つ。まず、外観が質素であること。ベタベタと貼り紙をしているようなお店は望ましくないですね。2つめは、暖簾がきれいなお店です。暖簾は、お店の顔と言えますので、清潔感を保っているお店は、ラーメンに対する愛情もしっかり注いでいると思います。最後に3つめは、香りですね。個人の好みもありますので、一概には言えませんが、外で嗅いだ香りが食欲をそそるような類のものであれば、間違いないと思います。それらが欠けているお店は望ましくないですし、ラーメンに対する愛情を疑ってしまいます。
森川:
今後注目しているラーメンってありますか?
大崎:
ありますよ。味が変化するラーメンですね。食べ始めたときは醤油ラーメンだったのが、味噌玉を入れることで、味噌ラーメンに変化したり。あとは、つけ麺ですが、麺自体に味付けがされていて、そのままで食べられるし、スープに浸けても食べられ、さらに、スープを麺の方にかけても食べられるというメニューもあります。そういった味の変化を楽しめるメニューはこれまでになかった斬新さがありますし、おいしいですよ。
森川:
味はもちろんですが、ラーメンを食べた時に胸がワクワクするような楽しさもポイントになりそうですね。
大崎:
そうかもしれません。これまでは、どんぶり1杯で完結していたラーメンが、どんぶりの中で変化があったり、小皿などを使っていろんな楽しみ方ができるというのは、とても画期的だし、おいしいと思いましたね。あとは、記事のほうにも書いたのですが、表参道ヒルズにあるラーメン店が大きなチャレンジをしています。というのは、ラーメン1杯で1200円なんですね。
森川:
高級ラーメンですね。
大崎:
ラーメンとして考えたら、確かに高いかもしれません。ラーメンは1000円を超えてしまったら、ダメだと言う人がほとんどですから。しかし、私は、そういう意識を覆したい。1000円を超えるラーメンが一般消費者にメニューとして認識してもらえない限り、イタリアンやフレンチのイメージにはいつになっても追いつけませんし、勝てないですよ。もちろん、390円とかの低価格ラーメンの存在も悪いとは思いません。低価格、通常価格、高価格に分けられたおいしいラーメンがバランス良く共存することが、さらなるラーメン業界の発展、底上げにつながると思っています。そして、消費者がおいしいお店に足を運べるように正しくナビゲートすることで、良いお店は残りますので、今後もどんどん私がしかけていきたいですね。
大崎さんがよく利用するAll Aboutのサイト

次回の編集長インタビューは【美しい姿勢・歩き方】ガイドの長坂 靖子さんです。