
第39回:「NYファッション通信」ガイド
宮田 理江
2006年12月15日
「All About」を支える約450名のガイド。ガイドは一つのテーマに一人だけ。厳しいいくつもの審査を通りぬけ、そのテーマのナビゲーターとなる。彼らがそのテーマに魅せられた理由とは? All Aboutを通して発信したいこととは何なのか? このインタビューでガイドたちの素顔に迫ります。
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Photo by Hideo Matsumura
ガイドインタビュー第39回目は、「NYファッション通信」ガイドの宮田理江さん。物心ついたときから大好きだったというファッションを仕事にしていくまでのステップは? 自分に似合うスタイルの見つけ方は? ファッションを通して、自分を表現していくことの面白さは? 好きなことを一途に追い続けてきた宮田さんに、ファッションを愉しむコツを伺いました。
「好き」からはじまったファッションの仕事
半年のOL経験を経て、ファション業界に飛び込む

── 宮田さんはファション業界で長く働いていらっしゃいますが、ファションに興味をもたれるようになったのは、いつごろからですか?
宮田 子どものころから、ファッションに興味がありました。母親の若いころの写真でバービー人形みたいなミニスカートのワンピースを着ているのを見てウキウキしたり、ドレッサーの口紅をつけてみたり、女の子なら誰でも抱くお洒落の好奇心はありました。そこからお小遣いをためて自分で洋服を買いに行くようになったり、リカちゃん人形を毎日のように着せ替えたり髪の毛を切ったり。人に何かを着せて喜んでもらうのが大好きで、妹に洋服をつくってあげたりしていましたよ。ものづくりより、スタイリングが好きだったんです。
── 「ファッションが好き」というところから「ファションのお仕事をする」というところに至るまでに、専門の勉強をなさったりしたんですか?
宮田
いいえ、私は普通の短大の英文科に行ったんです。DCブランドの全盛期に短大時代をすごし、半年のOL経験を経て、ニコルの販売員になりました。ファションの業界のなかでも販売暦が長くて、店長、コーディネーターを経て、バイヤーになりました。
バイヤーはファションを扱う人にとって憧れのお仕事のうちのひとつなんですが、いきなりなれるものではないんです。現場でなにが動くかといった勘が身につくことをはじめ、マネジメント、コーディネートを経験してバイヤーというお仕事がスムーズにこなせるようになるんですよ。私の場合はバイヤーになりたい、というより、接客やスタイリングが楽しかったので、バイヤーのお仕事をするまでに9年以上かかっています。
アナ・スイ本人から、声がかかりバイヤーに
分刻みで駆け回る、華やかな世界の舞台裏

── 宮田さんがバイヤーになるときには、アナ・スイご本人から声がかかったとか?
宮田
最初は自分のほうからでNYのアナスイで働きたいとお願いしました。アナ・スイさんはビンテージが好きだったんですが、私もビンテージのお洋服が好きで、趣味が合ったんですね。「その洋服はどこで買ったの?」というところから始まって、NYに行くときはいつも一緒にお買い物に行くようになり、お洋服を選んだりもしていました。
当時、日本のアナスイで店長兼バイヤーのお仕事で年3回くらいNYに出張をしていました。そのころからいつかNYのアナスイで働きたいと思っていたのですが、その思いが通じたのか、「そんな希望があるのだったら、うちで働けば?」という話になり、自然な流れでNYのアナスイ社で働かせてもらえるようになりました。デザインチームに教わりながら、インターンとしての仕事をしていました。日本でのマーケットを知っていた強みもあり、「日本ではこういうものの方が受け入れられるよ」といったことも伝えたりしました。
── 楽しそうですね。お話を伺っていて「プラダを着た悪魔」を思い出しました。
宮田 まさに! 私もあの映画を観て、当時を思い出しました。雪の日にサンプルを取りに走り回ったり、ショーのバックステージを手伝ったり、華やかな舞台の裏で雑用としかいえないような仕事を分刻みでたくさんこなしていました。その仕事の合間を縫って、デザインや考え方などをいろいろと吸収することができました。好きだからできたことですね。
── 好きなことがお仕事になっていらっしゃるというのは羨ましいですね。日本に帰国されてからはどんなお仕事をされたんですか?
宮田 NY中心のアイテムを扱うショップのバイヤー、テキスタイルのプレス兼営業をしつつ自分のHPで記事を書いていました。そこに声がかかって、ファッションライターの仕事を増やしていったんです。各企業のファッションディレクターにNYファッションの情報を出したりしています。
ファッションを自分の味方にする方法
失敗を繰り返して見えてくる自分のスタイル

── NYにいる人たちと東京にいる人たちのファションに対する感覚の違いはありますか?
宮田
はじめてNYに行って驚いたのは、NYの人たちはトレンドを追いかける以上に、好きな服を着ているという印象です。いつもジーンズしかはかない人もいれば、古着が好きな人も、エレガンスな服が好きな人もいるなど様々です。季節感で言えば、真冬にノースリーブの人もいれば、真夏にポンチョの人もいるくらい極端です。それは、パーソナリティがそのまま服になったというか、自信があるからこその着こなしがありました。また、世界のいろんな国から集まった人が、それぞれを尊重し合っているのがいいなと思いました。
もちろん、日本でもスタイルを確立している方もいらっしゃいますが、まだ一般的には、自分のスタイルより流行を追ってしまったり、「これに興味があるけれど、歳だから着られない」と周りを気にしすぎてしまったりするところはありますよね。
── 確かに日本では「平均以上」を目指して、がんばっている方が多いですよね。そういった日本のファッションの感覚、お金の使い方について思うところはありますか?
宮田 ファッションは自己表現のひとつの方法なので、人それぞれ違っていいと思います。たとえば、私にとってファッションはビタミン剤のようなもの。落ち込んでいるときにノーメークでだらっとしていると、そのままの気分を引きずってしまいますが、ドレスアップして映画館や美術館に行くだけで気分が晴れます。身だしなみを整えること自体、それなりにパワーがいることなので、着替えたり、メイクをしたりしているうちに、本来もっている自分のパワーが引き出されるのかもしれませんね。
── 確かに、コーディネートが決まった日や、ネイルまで気を遣えている日は元気がでますね。ところで、ファッションが自己表現の方法のひとつとは言っても、自分が何を着たらいいのか分からないという人は、どうやって自分のスタイルをみつけていけばいいのでしょうか?
宮田
とにかく興味があるものには挑戦して、失敗を繰り返すこと。試してみれば「似合う」「似合わない」というところを自分で納得していったり、周りからのリアクションを受けたりしながら、自分に似合うものを見つけることができるようになりますよ。
私はトレンドを紹介する仕事をしていますが、トレンドにも無理して乗っかる必要はないと思っています。それ以上にまずは、自分の着たいものや体型など、自分を知ることが大切ではないでしょうか。好きなものを着て、心地よく過ごしていくことの積み重ねで自分なりのスタイルが出来て、徐々に格好がつくようになりますから。