
第37回:「暮らしの歳時記」ガイド
三浦 康子
2006年10月16日
「All About」を支える約450名のガイド。ガイドは一つのテーマに一人だけ。厳しいいくつもの審査を通りぬけ、そのテーマのナビゲーターとなる。彼らがそのテーマに魅せられた理由とは? All Aboutを通して発信したいこととは何なのか? このインタビューでガイドたちの素顔に迫ります。

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Photo by Hideo Matsumura
ガイドインタビュー第37回目は、「暮らしの歳時記」ガイドの三浦康子さん。忙しい毎日であっても、ゆとりを感じながら暮らすことはできるはず。その方法を提案していきたい、という想いから情報を発信し続けている。暮らしのなかにゆとりをもたらす歳時記とは? 季節と寄り添って暮らすことで、どんな変化が訪れるのか? TVや、ラジオ、新聞、雑誌などで、季節を取り入れたライフスタイルの提案をしてきた三浦さんに伺いました。
季節を意識して暮らすことは、特別なことじゃない
「こうしなきゃいけない」という発想は捨てて

── お着物は、普段からお召しになっていらっしゃるんですか?
三浦 京都でお茶を習っているので、ちょくちょく着ています。今日着ているのは、10月から着るお着物なんですよ。いちばん初めに着こなすコツをしっかり習って、あとは練習、そしてなにより着て街へ出る勇気が大事です。着慣れるとラクですよ。
── お着物も着る季節がはっきりしているから、季節感を暮らしに取り入れるのにいいですよね。さて、三浦さんはカラー&ライフコーディネーターという肩書きでラジオや雑誌で情報発信されているということですが、具体的にはどんな内容が多いのですか?
三浦 結局は歳時記、つまり季節の行事に結びついていくのですが、ゆとりを感じる暮らし方について話しています。忙しさに追われて、ぎすぎすイライラして周りの変化を見ずに過ごしているより、玄関のお花を季節で変えてみたり、会話に季節のことを取り入れたりして、周囲の変化を受け入れ、愉しんでいるほうが魅力的ですよね。ゆとりのある暮らし方のひとつの例として、歳時記を用います。
── 暮らしに歳時記を取り入れることで、ゆとりを感じ、それがその人の魅力につながっていくということですね。まさに、三浦さんのサイトで発信していることですね。
三浦 そうですね。でも、歳時記を取り入れるといっても、「こういう行事は、こうしなきゃいけない」といわれると億劫になりますよね。自分自身、ルールだとかしきたりだとか、あまり堅苦しいことを言われてもやらないなという実感があったので、やってみたくなるように、ちょっと面白い切り口でご提案していくことを心がけてAll Aboutで情報を発信しています。
歳時記を取り入れることで生まれるゆとり
まずは、知ること、気づくことから始めたい

── 私自身も暮らしの季節感やゆとりは大事にしたいと思うのですが、なかなか時間がなくて余裕がない気がします。読者のなかにも仕事や育児で、気持ち的にも、時間的にも忙しい生活をされている方が多いと思うのですが。
三浦 確かに、ゆとりがないからしない、とか、ガラじゃないとおっしゃる方もいらっしゃいます。でも、実は季節感を取り入れる暮らしは、ゆとりがあるからやるんじゃなくて、やることにより、ゆとりができるんじゃないかと考えています。「やらなければならない」と構えてしまうと面倒になってしまいますが、人とコミュニケーションをとるきっかけとして、さりげなく会話のなかに季節感のある話題を取り入れるだけで、気分が変わったりします。
── お月見だからお月見団子を作らなきゃいけない、ということではなく、その行事があること、その背景を知ること自体が、気持ちの余裕に繋がっていったりするんですね。
三浦 そうですね。今まさに、お月見という例が出てきましたが、私が季節を感じながら暮らすとゆとりが生まれることに気がついたのは、お月見なんです。育児と仕事に追われていましたが、スーパーで十五夜のお月見だんごを見つけて、家族とベランダに出て10分20分月を眺めました。そのときに、どれが月うさぎかなぁと月うさぎの話が盛り上がって。そういう時間って大事だと実感したわけです。
── 大層な準備なんていらないわけですね。
三浦 「そういえば、今日は、お月見だった」と、気付くことで十分だと思います。気付きさえすれば、会社の窓からだって、帰り道だって、月を見ることはできますし。空を見上げる、という普段しないことをして、ちょっと新鮮な気持ちになって肩の力を抜けることが大切なんです。歳時記、というとちょっと古臭いイメージもありますが、もっと気軽に取り入れられるものなんですよ。
季節を感じ、おおらかさに過ごす術を知る
自然の流れに抗わず、受け入れて暮らす

── 三浦さんのお話を伺っていると、もっと自然に季節を感じればいいというか、そういうことにちょっと目を向けるだけで心の豊かさに差が出てくるような気がしますね。
三浦
そうですね・・・ちょっと話はそれますが、自転車で子どものお迎えをするとき、夕立で土砂降りの雨だった日がありました。女性だと雨に濡れることに、嫌悪感や拒否感がありますよね。でも、子どもが待っているから「しょうがない。濡れて行こう」と、下を向いて走り出しました。だけど途中から、もういいやと思って上を向いて全部浴びていったら、本当に気持ちが良かったんです。
同じ状況に居るのに、上を向くか、下を向くかで全然違うことを痛切に感じました。そして、子どもが水溜りに入りたがるのも分かった気がしたんです。それからは、「濡れたっていいじゃん。拭けば良い。洗えばいいんだもん」というふうに気楽に考えるようになりました。
── そう言われれば、雨の日に空を見上げるってありませんね。子どものころは、水たまりを選んで歩いていたのに。そういう気持ちは、忘れてしまいがちですね。
三浦 靴が濡れてしまうとか洗濯物が増えるとか、そういうことに気がいってしまうんですよね。でも、「自然ってそういうものだし、季節ってそういうものだ」と思うと、おおらかになれますよ。自分ではどうにもならないものを意識して暮らしていると、自分の置かれた状況や、ひとつの捉え方からだけで見るのはやめよう、と改めて思うようになります。人それぞれの季節の感じ方があるはずですから、肩の力をちょっと抜いて、周りを見回してみてはいかがでしょうか?