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大学卒業後、ずっと編集のお仕事をされていたとのことですが、最初からデジモノの編集をされていたんですか?
阿部
いえ、実は最初は編集プロダクションで料理とか冠婚葬祭とか、主婦向けの雑誌の編集をやってたんですよ。その後、フリーになって。ムックなどの出版企画を立てて、出版社に売り込んで本を作ってました。僕が企画を立てて、ライターやカメラマン、デザイナーを集めて作っていたのですが、みんなに払う原稿料の計算が非常に面倒くさくて(笑)。泣きそうになりながら電卓で計算していたのですが、あるとき「パソコンがあるじゃないか」と気がついて。早速買いに行ったんですよ。
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それはいつ頃のお話ですか?
阿部
1983年ぐらいでしょうか。まだまだパソコンとは呼べないようなシロモノでしたね(笑)。
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個人で使うということでは結構早い時期ですね。
阿部
そうかもしれませんね。でも買ったはいいものの、いざ原稿料計算しようとしたら、プログラムがなくて。「プログラムを買わないといけないの!?」って(笑)。でもそんなお金ないし、どうしようとか思ってコンピュータ雑誌を見ていたら、ちょうど「計算機を作ってみよう」というページがあったので、自分で作ってみたんです。四則演算ができるだけの本当に簡単なプログラムだったんですけど、これがなかなか面白かったんですよ。
パソコンを買ったはいいけど、今度はそのお金を回収しなければいけない。でも当時はかなり高かったので、なかなか回収できない。じゃぁ、せっかくだしパソコンを使った企画を雑誌社に持ち込んだんですよ。当時はちょうどコンピューター雑誌が広がり始めていて、パソコンのことが書けるライターを探していたところで、企画もすぐに決まりましたね。
――
プログラムも作れて、パソコンを使った企画も立てられて、ということは、昔からデジモノが好きだった?
阿部
そうですね。それでもまだパソコンなどのデジモノ系の仕事だけには絞らず、相変わらず料理事典とかの仕事もやってたんですよ。ただ、仕事の度にプロジェクトは組んでいたものの、基本的にはひとりでずっとやっていたので、だんだんまわらなくなってきて。そんなときにコンピューターの書籍の仕事が来て、かかりっきりになったんですね。それがきっかけになって、デジモノ系のライターに集中することにしました。
――
最初は主婦向け、そして次がコンピューター。ではデジタルビデオや動画の執筆を始めたきっかけは?
阿部
パソコン系の書籍を書いていたときに、ビデオをパソコンの中に表示するというのを見たんですね。1992、3年頃かな。表示といっても当時はまだ切手ぐらいの大きさだったのですが、それを見たときにすごく感動して。「これからは動画だ!」って(笑)。早速企画を立てて売り込んだんですけど、「なんでパソコンで動画編集をしないといけないの?」と、どこも買ってくれなくて。やっと買ってくれるところが見つかったものの、これが売れない。「やっぱり動画はまだ時期が早いかも」とか言われましたね。
――
その頃は、今のように誰でも手軽に動画を撮って楽しむようなことは考えられなかったわけですね。
阿部
そうですね。でもそのうちターニングポイントとなるような出来事がいくつかあって。例えば記録するものも最初テープでした。これがデジタル化されてDV(デジタルビデオ)に変わった。そのときにまず流れが大きく変わりました。その後、DVDが出てきて、また大きく変わった。そんな風にして、ある時はゆっくり、ある時は急激に、と変化して来ましたね。いまもちょうど来てますね。
――
そうなんですか? どういう波が?
阿部
映像記録用の媒体(メモリー)の小型化と大容量化ですね。テープに比べ、扱いも楽ですし、デジカメでも使えるものもある。その手軽さが受けて、また広がりつつあるようです。
YouTubeなどの動画投稿、共有サイトも増えてきていますね。
そうですね。ちょっと前だと、撮って誰かに見せようと思ったらDVDに焼いて、配ったりしないといけなかったのですが、いまだとアップロードしておけば、みんなで見ることができますからね。動画の撮り方だけではなく、見ることもすごく手軽になりました。
動画って携帯でも撮れますし、デジカメでも撮れますよね。そういうのを見ていると動画の楽しみ方が一般的になってきているのが、手に取るようにわかります。
阿部
いままでだとどうしても「動画の撮影や編集って難しい」というイメージがあったのですが、それがなくなってきていますね。もう別に特別なものではなくなってきました。
――
そうやって一般化していくと、マニアックとはまた違った面白い使い方をする人も出てくるでしょうね。
阿部
そうですね。僕もガイドをしていく中で、できるだけ1ユーザーであるようにしています。たとえばカメラを使ったときに、1ユーザーとして使い心地とか特徴とかを見たり考えるようにしています。やっぱり僕も1ユーザーなので、プロじゃない、マニアックじゃない、普通のユーザーの目線で書かれたものも読みたい。プロの目線でみて画質がいいとか、ボタンの位置がどうとかというのももちろんありますけど、そういう記事やカタログは世の中にたくさんありますし。僕は生活の中での使い心地とか便利さを伝えていきたいですね。
だから読者目線が見つけられないときが大変で(笑)。そんなときに知識だけで小難しく書いちゃうと全く読まれないですね。すぐにバレちゃう。そういうところは読者の方は本当に敏感ですね。それと最近はお母さんが撮るということも多いです。お父さんは昼間会社に行っているので、なかなか撮れない。普段の子供の姿を見たくても見られないわけです。そうするとやっぱりお母さんが撮ることになりますから、いかに普通のユーザーの目線で伝えられるかということが大事になります。
――
確かに夫婦二人で生活している人とかは、なかなかビデオを使う機会がないと思うのですが、やっぱり子供がいると撮りたくなりますよね。
阿部
そうですね。僕の仕事もそうなんですよ。子供が生まれてから、急にビデオ関連の記事や書籍の仕事が多くなりましたね。子供を撮ったビデオを素材にして編集の本を書いていたんですけど、ビデオのソフトってだいたい毎年バージョンアップするんですよ。それに合わせて本を書いていたら、そのうち子供の成長記録みたいになって(笑)。出版社の人にも「あ。お子さん、幼稚園に入ったんですね」とか言われてました。
――
読者のニーズで言うと、カメラの選び方、撮影テクニック、あとは編集のやり方というものがあると思うのですが、買ったはいいいけど、うまく撮れないという人も多いと思うんです。撮り方のコツってありますか?
阿部
そうですね… 構え方とか、いろいろ気にする方も多いですけど、とりあえずまずは撮りたいように撮ればいいと思うんですよ。乱暴な言い方かもしれませんが(笑)。ただ「何を残したいか」ということは意識した方がいいと思います。
――
「何を残したいか」ですか。
阿部
そうですね。そこが一番大事です。例えば子供の遊んでいるところを撮りたいとか、何を撮るのかというのは割とすぐに決まると思いますが、ただ撮るのではなくて、遊んでいる笑顔を残したいのか、友達と話しているところを残したいのか、転んで泣いてしまったところを残したいのか(笑)、そういうことを意識した方がいい。それを意識して撮影しておけば、編集はそれをピックアップするだけですから。
――
これから動画を始めたいという方に「こうすればいいよ」といったアドバイスはありますか。
阿部
まずは動画を撮ってみること。別にいきなりビデオカメラを買わなくてもいいんです。いまではデジカメでも携帯でも動画は撮れますから。そこで動画を撮ることが楽しければ買えばいい。じゃないと、せっかく買っても使わなくなりますから(笑)。それに自分が求めるポイントのようなものもわかってきます。もっとキレイに撮りたいとか、もっと簡単に撮りたいとか。そうすると自分が欲しいカメラもすぐに見つかりますよ。
残すということで言えば、こんなに面白いモノはないと思います。例えば写真や音楽は、その瞬間や時間を残すことができますが、動画は空間も残すことができるんですから。